「日本美術のエッセンスを詰め込んだ映像作品」劇場版モノノ怪 唐傘 bionさんの映画レビュー(感想・評価)
日本美術のエッセンスを詰め込んだ映像作品
アイナ・ジ・エンドのエンディングを聴きながら思う。ずっと極彩色の異界に迷い込んでいて、ようやく正気に戻りつつある自分を感じる。
襖絵が閉じるまで、誰一人として席を立つ観客はいない。浮世絵、狩野派、琳派など、日本美術のエッセンスを詰め込んだ映像作品を最後まで見ないなんて選択肢はない。
ふすまが開き、物語が始まると、2007年から進化した『モノノ怪』がスクリーンに映し出され、美の極地とも言える大奥世界に圧倒される。薬売りの声優が神谷浩史に変わったが、むしろ神谷さんの方が合ってる気がする。
長いクライマックスのアクションシーンで、今まで見たことがない薬売りの姿も。
「大餅曳」が始まり、黒沢ともよの腹の底から発せられた声が、隅々まで届く。なんとも言えぬ感動で、涙が出てくる。
鳥獣戯画で始まった物語絵の系統樹が、美の極地に伸びようとしている。次の話もあるの?
楽しみでしょうがない。
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