「『スノーマン 雪闇の殺人鬼』で大失敗した巨匠の新作は自虐ギャグにすら見えるほどほのぼのとしたピカレスクコメディ」ギャング・カルテット 世紀の怪盗アンサンブル よねさんの映画レビュー(感想・評価)
『スノーマン 雪闇の殺人鬼』で大失敗した巨匠の新作は自虐ギャグにすら見えるほどほのぼのとしたピカレスクコメディ
『スノーマン 雪闇の殺人鬼』で大失敗したトーマス・アルフレッドソン監督の新作はこちらの勝手な期待を斜め下に見下ろすヘンテコなピカレスクコメディ。怪盗グループのイェンソン一味は盗むものがショボすぎるのでリーダーのシッカンが逮捕されても100日で出所してくるので“ギャング“と呼ぶのはちょっと乱暴。余りにも儲けがなさ過ぎるので一味は解散、シッカンだけでとある盗みの依頼を請けて国家規模の陰謀に巻き込まれるという話ですが冒頭から独特のゆったりしたテンポで物語が展開します。犯行計画は全部シッカンが綿密に計算しますが、駆使されるのはピタゴラスイッチみたいなローテク。犯行ごとに選定されるBGMが終わるまでに犯行を完遂出来るかというキュートなサスペンスはドミノ倒しでも眺めているようで楽しくて小さなお子さんも安心して楽しめます。しかしそんな作品にさりげなく滲んでいるのは結構辛辣な社会風刺なので鑑賞後の満足感は格別です。
過去作とは全く異なるテイストにビックリしましたが、巨匠の作品がこんなささやかな規模で上映されているのはホントにもったいないです。
しかしとにかく残念なのは邦題。これでは本作の魅力がこれっぽっちも伝わらないです。過去作の邦題も全部ダメなので、邦題にことごとく作品を毀損されてしまっている不運な巨匠です。
コメントする