「何度でも見たくなる愛すべき作品」カラオケ行こ! mokuさんの映画レビュー(感想・評価)
何度でも見たくなる愛すべき作品
遅ればせながらゴールデンウィークに初めて劇場で鑑賞し、すっかりハマって大生誕祭を含め、合計5回見に行ってしまいました(笑)
コメディーとして笑える所がたくさんある一方で、ヤクザと中学生の友情や、出会いと別れを通して中学生の男の子が成長していく様を描いたヒューマンドラマ。
最後まで心地よく見ていられ、見終わってからもずっと温かなものが残る素敵な作品です。
原作は後から読みました。原作の良さを生かしての映画化だと思いますが、原作にない場面や人物をこんな風に生き生きと描ける野木さんの脚本はさすがだなと思います。
巻き戻せないビデオテープと戻ることのない青春。「紅」の歌詞と狂児を想う聡実の心。幻だったのかな…と思っていたら見つけた名刺。伏線があちこちに散りばめられていて、ストーリーがとてもステキでした。傘や音叉やお守りなどなど、小道具の使い方も秀逸。
キャスティングもとても良かったです。どの役もみんなハマり役で味わい深くて良かったですが、何と言っても、主役の2人が最高でした!
狂児役の綾野剛さんはとにかくかっこよくて(黒ワイシャツのスーツ姿か似合いすぎ)、ヤクザの陰や凄みを見せつつも、終始お茶目で温かな雰囲気。聡実くんに向ける大人の優しさは、何度見てもキュンとしました。
狂児が熱唱する渾身の「紅」も、もちろん良かったけど、カラオケの練習で「紅」以外を歌うシーンは、素の綾野さんが歌っているような感じで、それも素敵で良かったです♪
聡実役の齋藤潤くんは、狂児に怯えながらも徐々に心を開いていくピュアな少年の感情を繊細に表現していました。悩める思春期の中学生でありながら、家庭で愛されて育った子ども故の素直さや優しさも滲み出ていて愛らしかったです。
ヤクザに囲まれて狂児の腕にしがみつく姿は本当に可愛かった!
屋上のシーンや、カラオケボックスでの「肘さとみ〜」のシーンなど、ほっこりする2人の場面は山ほどあるけど、聡実くんの熱唱とそれを片隅で見ている狂児の顔、狂児が涙ぐむ聡実の肩を抱くシーンが最高に心に沁みました。
終わり方はちょっと切ないけれど、これも青春なのかな。連絡を断って身を引いたところにも、狂児の優しさを感じます。
エンドロール後は、またちょっとほっこりしました。