劇場公開日 2024年1月12日

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「漫画原作映画に必要なもの、揃ってます。」カラオケ行こ! uruさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5漫画原作映画に必要なもの、揃ってます。

2024年1月20日
iPhoneアプリから投稿

面白かった。
終始ニヤニヤしっぱなし、ところにより笑い声を抑えるのが大変だった。
心の中で何度も何度も『なんでやねん』『なんやねん』と似非関西人がツッコミを入れていた。

でも、ただ面白いだけじゃ無い。
先んじて言えば自分は原作の大ファンで、映画決定前から愛読していた。
だから不安を超えて諦めていたのだ。
この妙に可笑しい間と空気感と、どう考えても映画一本には足りない尺をどうするんだと。
絶対無理だろと。

しかし、私はこの映画で痛感したのだ。
漫画原作映画を活かすのも殺すのも、脚本家の腕次第だと言うことを。
すごいな野木亜希子(敬称略)。
漫画に全く無い設定や人物や場面たちを、まるで最初から話の一部だったかのような、当たり前のような流れで組み込んでいく。空気感も温度感も、原作に一分の狂いなく合わせていく。
今まで漫画原作の映画で感じていたモヤっと感、歯痒さを、微塵も感じさせないその緻密さ。
すごいぞ野木亜希子。

そしてもう一つ。主演の斎藤潤、綾野剛。
彼らの演技の塩梅が、これまた原作の脱力感と驚くほどマッチしているのである。まさに字の如く、塩加減がぴったり一緒なのだ。
漫画原作に必要なのは、髪型だの服装だののコスプレ要素では無い。原作に忠実な熱量と空気感を纏うこと。それだけで、顔の造作や年齢の壁なんてものは消え失せ、そこにいるのは変声期に悩む中学生男子と人たらしの歌下手ヤクザなのである。

この映画には漫画原作映画に必要なものが、全て完全な形で揃っている。

uru