「愛とは与えること」カラオケ行こ! tomatoさんの映画レビュー(感想・評価)
愛とは与えること
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ヤクザの狂児が、ハイエナの兄貴のようにカラオケ教室に通わないのは何故だろうとか、他の組員の歌を聞く限り、最下位になることを恐れなくてもよさそうなのに、(優勝を目指すのならいざ知らず)そんなに歌の上達にこだわるのは何故だろうとか、色々と疑問に感じるところはある。
そもそも、ヤクザと中学生の友情なんて、現実離れし過ぎていて、いくらなんでもあり得ないだろうと思ってしまう。
ただ、そうしたことが気にならないくらい、最初からボケとツッコミで息が合っている主人公2人の掛け合いが面白いし、綾野剛の本気度が感じられる狂児の熱唱シーンや、組員たちによる歌唱とそれを中学生の聡実が指導するシーンには、吹き出してしまうような楽しさがある。
何よりも、ご飯の上に乗せられた鮭の皮のアップの映像に、愛を歌う合唱をかぶせてくるセンスには、思わずニヤリとしてしまった。
キティちゃんの入れ墨や、小指を送ってきたヤク中のヤクザのエピソードが、ちゃんと回収されるのもいいし、合唱部や「映画を見る部」の面々も、いいアクセントになっている。
聡実が、ヤクザのカラオケ大会で「紅」を歌うことになるという、ラストの予想外の展開にも違和感がなく、演じる本人が実際に変声期にあると思われる聡実の熱唱からは、「上手く歌うことよりも、心を込めて歌うことが大切だ」というメッセージが確かに伝わってくる。
観客の「あり得ないだろう」という感想を逆手に取った、エンディングでの、「幻じゃなかったんだ」という名刺のオチにも、してやられてしまった。
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