「いろいろな論点が多数にバラバラ…。こういったアプリは存在するので注意。」シーフォーミー yukispicaさんの映画レビュー(感想・評価)
いろいろな論点が多数にバラバラ…。こういったアプリは存在するので注意。
今年255本目(合計531本目/今月(2022年8月度)31本目)。
さて、こちらの映画です。まずタイトルにもかきましたが、 iOS では「こういうアプリ」は存在します。もちろん、映画内で使われているような不正な使い方を想定していないものです(アプリの「例」として、牛乳に賞味期限は書いてあるか?書いてあるなら、いつと書いてある?というものがあります)。
多くの方が気にされた点はやはり、主人公の「自分勝手すぎる」部分が多々あるのかな…という印象です。「身体障がい者はバカにされているし、こんなことくらいで刑務所にはいかない」など、本人自体の「福祉行政に対する諦め」が背後に見える映画です。これはまぁその「こんなことくらいで刑務所にはいかない」は国次第でしょうが、確かにどの国でも福祉行政、特に聴覚・視覚など、「本人の努力が完全に無意味な障がい類型」では、そういった「諦め」ムードになることも、ままあります(日本も同様)。
映画という「娯楽」という観点ではありかな、とは思ったのですが、皆さん書かれているラストの部分…。そこですね。その部分に違和感を持たれた方がかなりいるんじゃないか…と思います。
ただこの映画、ソフィの「次の活動」の描写のほうを優先させたのではないか…と思います(オリンピック、パラリンピックとも、出られる前の予選というのは毎年やっているし、1か月でもやっていないと腕がなまる)。この点に関しては理解は可能です。逆に思い切ってその部分、換言すれば「ソフィの次の活動」を前面に押し出したために、「まずソフィに何をさせるべきか」という論点が抜けているようには思います。ここは多くの方が書かれた点です。
ただ、この映画が前者を選んだ、という点に過ぎません。
私自身も当事者(手帳上2級)ですが、そのような行為を認めるということは絶対にありません。
さて、この映画には特殊な論点があると思うので、さっそく採点いきましょう。
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(減点0.2 ※減点幅は勘案して決めました)
実は、この映画内で使われているようなアプリは、現実のリアル社会にも存在します。日本でもiOSを持っていればダウンロードが可能です(確認済み)。
ただ、実際にお試しでもやるとわかりますが、日本人ユーザーは案外少ないです。日本ではプライバシーの問題があるので、「当事者であっても、あれこれ撮影しちゃダメ」という点はわかりうる話だからです(だから、日本で見られる数少ない利用使用例も、「この服は何色ですか?」というような単純な例しかないのです)。
そもそも日本ではリアルでユーザーが大半見当たらないこと、もう1つは、さすがにこれを用いて犯罪を…というのはもっと想定されていないところで、実は「タイトルと描写からわかる、「リアルでどうなっている?」と「実際の結果」はかなり異なる特殊な例です。
つまり、本来書くべき「リアルにもこの手のアプリがありますが、悪用して使わないようにしましょう」といったことを書くべきなのですが、それを書くと(よからぬ人に)イタズラされることになるので(「視覚障害者と「だけ」出会いツールなんだ、とか思われる)、それらの面倒な論点を全部消した結果、「そういうアプリもある」という点も伝わってこず…。ただここは民事も刑事も、下手に存在を伝えるのは非常に難しいところはあるのは、もうどうみても明らかなケースです(そして公式が避けているのに、日本だけが足していくこともできない)。
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(参考: 12時の方向にに3m走って、などの指示)
・ 視覚障害の方に方角を示すとき、その方の正面に時計ができたものとして考えます。このとき、手前は「6時」であり「12時」は「向こう側」ということになります(同様に3時や9時、10時などもわかる。これを「クロックポジション法」といいます)。
特に道案内などでは「もっと」「もう少し」「ちょっと」といった表現がよく使われがちですが、眼が不十分なこの障害をお持ちの方には理解がしづらいのです。そのため、実は、「3m」「50cm」と「数字で」言い切ったほうが良いのです。