「目頭が何度も熱くなった」劇場版 荒野に希望の灯をともす ターコイズさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0目頭が何度も熱くなった

2022年8月27日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

彼を突き動かすのは、怒りなのだと思った。
不条理に一矢報いる、という言葉を口にされていて、凄まじいまでの信念に基づいた行動の根底にはこの不条理な現実への怒りがあることがよく伝わってきた。それを支えたのは火野葦平の甥であり、花と龍のモデル玉井金五郎の孫でもある彼の並大抵ではない根性、心意気、強さなのだと思う。筋を通す生き方というのは、強くないとできないことで、病を解消するには抗生物質では足りない、貧困であり、水だ、と気づいた時、井戸を用水路を掘ろうとできる医師がいったいどれだけいるかと思う。稀有な筋の通し方に、心を洗われる思いがした。
現在でも灌漑地域の農業は順調だという。小麦の収穫や酪農の光景、そして中村哲医師の亡き今も新たな灌漑水路工事がすすめられていることが、彼が残すことができた「なにか温かいもの」なのだ。そう思うと胸にぐっときた。

ターコイズ