発語が出来ない障害を持つオリヴァーを主人公に、駐車場管理をしている父親が忘れ物のタブレットを持ち帰った事から、それに取り憑いていた怪物が迫ってくる物語。
怪物ラリーは目に見えないが、モニターに映り、センサーはラリーを検知する。舞い散る新聞紙が引っ掛かる実体を持ち、一瞬で照明を消したり、ランプに電球を取り付けたりする。電気を伝えるものやモニターのあるものを媒介にあちらこちらに現れる能力を有しオリヴァーを連れ去ろうとする。
恐ろしい怪物ラリーと息子を奪われまいとする夫婦の奮闘を描く内容かと安易に思っていたが実情は障害児を抱えている母親と父親の想いの差などが浮き彫りになる内容だった。
ラリーの恐ろしい能力による演出はしっかり見せてくれるが現実なら焦るものの、映像で観たときに大人が怖がるほどではないと思うので、この作品は低学年児童と親子での鑑賞がベストではないかと思う。
冒頭から不仲だったクラスメイトの少年達もラリーを通して理解を深めた後は優しい関係になっているなどちょっとだけ恐いドラマとして見られる。
ただし、ホラー作品として恐くて仕方ない作品ではないし、何回も観たい気持ちは起こらない。
ラストも賛否両論ありそうだがあれでなければ説得力がなくなる。
ご都合主義のメチャクチャなハッピーエンドでなかったのも良かった。
この手の作品で父親が役に立たないのはよくある話で、家族内での意志疎通や協力の度合いから見ても、父親の協力が弱かった様に見えるし息子の環境を考えていたのも母親が一番であることは間違いない。ラストの選択はそれがそうさせたと思う。母の愛は強し。
個人的に家族は言葉を交わし意志疎通を図らないと何かあったときに赤の他人より関係が悪化するもんだと改めて感じた作品だった。