神田川のふたりのレビュー・感想・評価
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神田よ、ありがとう
誰かが亡くなると、何かしら考えるものだ。
故人のことを考えたり、死そのものについて考えたり、死と対になる生について考えたり。
もちろん何度も誰かの死を経験していくと故人を偲ぶくらいしかなくなっていくものであるが。
本作の主演である二人は、亡くなった神田のことを考えた。と同時に、青春らしい自分の恋愛について考えていた。
一見、全く関わりのないふたつの事柄に思えるが、神田の恋心について考えることで見事な融合を見せる。
神田の想いを伝えたいという行為は、自分の想いを伝えたいことと同じだ。
当人二人も自分で気付いていないのだろうが、神田に起因するのか自分から出るものなのか分からないけれど「想いを伝えたい」という部分で一致する。
そして、黒子であった神田の後押しにより二人の想いが成就するエンディングは良かった。
神田の存在は後ろ姿しかないけれど、二人が神田を追悼したように神田もまた二人を思いやっていたことは微笑ましい。
とても葬儀のあとの物語とは思えないほど甘酸っぺぇ作品だった。
作品冒頭、かなり長い長回しで、ちょこちょこ失敗している感じも見受けられる。
予算が潤沢なメジャー作品ではないので色々と拙いのだ。
しかしその拙さが青春という拙さとリンクしているようで、逆に微笑ましい。
どうでもいいことに見える全ての展開、映像が、二人のエンディングに収束していくエモーショナルさが良かった。
最後まで行くのかと思った
いまおか監督作品はたくさんあるので全部は見てませんが、1番好きかも知れません。失礼ながら「れいこいるか」より面白かったです。 やっぱり主人公たちに感情が入るかどうかが大事なんでしょうか。自分の◯◯年を思い出し、不器用なやりとりにクスクスしたり、同情したり、ドキドキしたり、そんな気分にさせてくれました。エンディングのまとめ方も最高に良いです。 キャストは誰一人知りませんでしたが、二人ともいい笑顔です。特にヒロインの方は記憶に残りました。 冒頭、あのまま最後まで行くのかと思いました。 コロナ前に、初恋の方と30年ぶりに会う機会がありました。その時の感覚が蘇りました。
恋するふたりのミニマムなロードムービー
「あいたくて あいたくて あいたくて」、「遠くへ,もっと遠くへ」に続くいまおかしんじ監督の新作。40代半ば、アラサーときて、今作は高校生の「恋」の物語。 中学時代のクラスメイトの葬儀で再会した高校2年生の舞と智樹。別々の高校へ進学した二人は会うことが少なくなったようだ。 東京都杉並区永福町の幸福橋から高井戸方面へ、神田川沿いを自転車で流す二人をとらえたカメラの超長回しに度肝を抜かれる。 そして下高井戸八幡神社、井の頭公園に至る二人の小さな小さな旅。ぼんやりとしていた「恋」の輪郭がくっきり見えた気がした。
映画がつまらないのはしょうがない。しかし、トークショーでは観客ときちんと交流しましょう。
要約すると、友人の死を利用して好きな男に接近していく女の子の話。 神田川を遡ろうと言うのも、神田の恋心を伝えてあげようと言うのも、家に帰りたくないから一緒にいようと言うのも、主体的に選んだのはすべて女の子・マイちゃんの方。最終的に目論み通り、トモキくんからの告白をつかみ取る。 だから、神田からお姉さんへのプレゼントとして買ったはずのモンブランをカラオケで食ってしまう描写にはマイちゃんの本心が表れていて、本作の唯一面白い部分となっている。 映画の終盤、恋を成就させた二人をモブ一同も集まって祝福するシーンで、突然金髪眉なしの神田が金属バットを持って現れ、「てめえら何オレの死を利用して幸せになろうとしてんだ!なんでモブのてめえらまでこいつら祝おうとしてんだ!(自粛用語)!」と全員をシバき倒す。 生者の勝手な都合で理想化され、それに同調した観客の期待によって作られた死者の偶像を、死んだはずの神田本人が破壊する。それにより観客は、生者が死者を清らかな存在として理想化することの欺瞞性を突き付けられると同時に、予想を超えた、しかし必然的なエンディングに映画的カタルシスを感じる…。 というラストを期待したのだが、なんと実際はその真逆。神田は主役二人と(僕以外の)観客の期待通り、二人の幸せをお祝いしておわり。くそしょうもねえオチ。 まあ映画がつまらないのはしょうがないから良いとして、その後のトークショー。 これは本当に最悪だった。 監督とモブの演者2人が登壇したが、神田川の思い出は~とか、井之頭公園のジンクスで~とか、本当に無意味なことばかりくっちゃべって、一向に映画の内容とか、制作上の技術とかの話を始めない。ようやく監督が少し話し出して、監督した経緯は、AFF(文化庁の制作費支援事業)に通った既成の企画を演出しないかと委嘱されたとのこと。 じゃあ、神田は本当に二人のこと祝福すると思いますか?死者が生者の期待通りの振舞いをするのは、果たして倫理的ですか?面白いですか?これは本当に監督がやりたかったエンディングですか?もっと別のアイデアがあったりしませんでしたか? と聞いてやろうと思ったら、なんと質問タイムがない! アップリンクのスタッフが、写真タイムです~とか言って、3人が壇上で並んで、客はパシャパシャ撮りだして、SNSで拡散してください~とか言って、 撮るわけねえだろ!拡散するわけねえだろ!早く帰らせろ!(自粛用語)ボケ! と思った。怒りというより、監督として映画に向き合う姿勢の不誠実さに心底絶望した。 仮に制作上の制約で自作の出来に不満を持っているなど、自作について深く掘り下げたくない心情であったとしても、映画の制作方法も碌に語らず、観客との質疑応答も設けないようなら、トークショーなんて出るべきではないです。 映画への誠実さについて、自分への戒めというか教訓にしようと思いました。
映画のマジックだけで良い!創意工夫がかけたラストに余韻
だぁぁ!!好きすぎる、どタイプすぎて今勢いでレビュー中…。好きな主演ふたりにいまおかしんじ監督のマジックを描けるとこんな魅力的になるとは。 キュートでファニー。一見すると、低予算な感じは否めず、なんだか不思議だなぁ…と思って観ていたけど、その分仕草が恋しくて恋しくて…。40分ワンカットで生まれる独特の空気感、低予算を引き連れてグイグイと引っ張ってくる圧巻の演出力、そしてキュンとするシーンが引っ張るラスト…。どこを取っても今は愛おしい。 井の頭公園を始めとした都会のロケーションには生活感が漂っていて、撮影を知らない人たちがマスクをして通っていく。自転車で通るには狭い道も多いし、公園の空気感もほんのり温かい。リアリティがあってくすぐったいし、微笑ましい。そして、そこに入ってくる友達の死が、悲しくも前に進ませる。実に単純な世界の中、差し込む光が胸を躍らせる。 主演は、インディーズ界の金子大地こと(?)平井亜門くんと、最優秀上京ガールが似合う女優・上大迫祐希さんのW主演。これが自分の中でも大きな加点だが、そのふたりがありのまま演じきっている辺りがまた楽しい。噛んでも、言い回しが上手く出来なくなっても、それが作品を引き付けてくれる。無垢さが際立ち、ファニーなギアも引き受けやすい。その不思議さが程良い余韻に変わる。 いまおかしんじ監督の作品を観たのは初めてだったが、ここまで器用だとは。傑作名高い、『れいこいるか』も観てみたい!
清楚な女子高生の「あるある」日常を切り取った恋話だが
今まで観た、いまおかしんじ監督作品で一番好きだ。
中高生のデート・ムービーにも文部省推薦!?
告白できない人を応援する、神様の波動が入っている。
川をまっすぐ進むうちに起こる様々な「あるある」も、長い人生の一端を示唆し
イケメンや、清楚なセーラー服の女子高生は、ただ動いているだけで観ていられる。
不用心な女子高生が、犯してしまうあやまちも
おばあちゃん世代の曲も
かぐや姫 - 神田川を暗示させ
今も昔も、みんなを見守っている神田川。
sexシーンはないので、友人を誘って安心して観れた。
相手役の男子高校生はブレイクするかも。
恋だけでなく
あなたの背中をそっと押してくれる。
迷いが晴れ、一歩踏み出せ
心洗われ、心温まり、前向きな気持ちが2日間持続する。
お勧め映画。
みたらしは何処から?
中学の同級生の葬式に参列した帰り道、神田川沿いの道を一緒に帰る付き合ってはいない高2男女の話。 女の子の友人の策略で女の子が想いを寄せていた男の子と2人自転車で一緒に帰ることになってという流れですね。 昔のことや今のこと、そして将来のことや日常のことを、ぎりぎりイチャイチャな距離感でみせていくけれど、コンビニの件でアレ!? スタートから40分ワンショットなんですね。 さわやか恋愛物語なのは判ったけれど、途中から画角弄りまくりで何の為のワンショット?そうすることによって安っぽさや設定のぐちゃぐちゃさをごまかした? 臨場感がどうこういうつくりじゃないし、爽やかさ?初々しさ? 特に前半縛られたオッサンあたりからグズグズで、以降何をみせたいんだ?となってしまった。
なんだこれなんだこれ???…泣いたわ
中学の頃の旧友の突然死、その葬儀の帰り道のお話。
序盤40分はワンショットの長回し、
少し退屈?
と思いきやコンビニ?透明?
黒子出てきた?
え、オレンジのおじさんこわ、やばくない?笑っていいの?どっち?きもちわる…
え、消え方シュール、、
終盤、なんだこれ?なんだこれ?なんだこれ?
最後どうなったと思います?
…泣いた。
とにかくヘンな作品。
好き嫌いばっちり分かれると思う。
わたしはラストでぜんぶ許せたけど。
きっと、実はマイもトモキも神田とけっこう仲よしだったんだろうな。葬儀の帰り道、ふたりが神田のことを話しはじめたからうれしくなって、ふたりを応援しようと八幡さんにも協力してもらって、きっといろいろいたずらしたんだろう。
最後のみんながお花持って現れるのはやりすぎな気もしたけど、あれも神田が見せた幻視なのかな?
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