ヴィクラムのレビュー・感想・評価
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インド産映画にしては⋯
インド産のアクション映画と言えば、とにかく荒唐無稽で派手で、あり得ないシーンの連続で、笑わせたいのかツッコミを入れさせたいのかようわからん、ハチャメチャなイメージがあるのですが(私は大好きです)、今作品は「ん?何か違うぞ」と思わせる、いつもとはひと味違う面白さがありました。
「あくまでも従来のインド映画と比べてですが」(この括弧付きの一文は以下の感想の大前提です)、アクションもどこかしらスマートで洗練されていて無駄がなく合理的で、物語の構成や登場人物の相関関係も少し入り組んでいて(観ている途中少しはぐれそうになります)、ちょっとした謎解きの妙味もあり、それに伴いスリルも加味されていて、派手なアクションだけに頼らない、いつもとは違う面白さを作りだそうとする制作者側の意図が垣間見えたような気がしました。インド映画の売り(?)である集団ダンスシーンもたった1つ!まあ、物語の性質上、ダンスシーンなど入れる余地などありませんでしたが、それはサービスというか、なんか無理やりねじ込んだ感はありましたね。
もっとも、そんな私が考えるような従来とは違う意図など制作者側には全くなかったかもしれませんが⋯。それでも観客を楽しませようという強固な意志は感じられます。
とにかく、3時間の長尺でしたが(これは通常運転)とても楽しめる作品でした。これだからインド映画はやめられないですね!
インターバル無しの3時間でも楽しめました!
残虐性とのバランスが絶妙💜
剛毛インド
回想の入り方が分かりづらくて・・・
予告編の惹句にあるとおり血で血を洗うアドレナリン全開の大乱闘クライムアクション。ストレスのたまった現代人の「ブチギレ」を代行してくれるのだそうでR15+のやりたい放題。コカイン、銃器にナイフ、爆弾、鉄拳と全てのヤバイ要素がこれでもかと盛り込まれた171分のボリウッド大作である。のどをかき切られたり首が落ちたり、なんというか殺られる前の風情が無いというか待ったなしで特に新婚ほやほやの準主人公の奥さんがピンチで助けに行ったら既に殺られていたシーンとクライマックスのさあこれから集団戦という時に4人しかいないチームのメンバー1人があっさり撃たれて死んじゃうシーンには唖然とさせられ、さすが仏教の本場、諸行無常の諦念観に恐れ入るばかりである。特に気に入ったのはジョーズ署長が癪に触って床を銃でバンバン打つシーンと足に刺されたナイフを手で抜いたら柄だけが抜けて鉄の軸部分をさらにドンと押し込まれる痛いアクション演出。インド映画に欠かせないミュージカル要素も楽しくてお腹いっぱい。
Spurt
インド映画、無条件で観に行っちゃう体になってしまっています。
3時間近い尺ももう慣れてきました。
前半はしっかりサスペンス、後半はぶっ飛びまくりのアクションと緩急の激しい作品で楽しかったです。
序盤はかなりの登場人物と、それぞれの入り乱れがあってかなりややこしい作りになっており、カマル・ハーサンをはじめ主要どころはパッと分かるんですが、これまた見事にみんな立派なお髭をたくわえているのでもう誰が誰なんだ状態でした。
それに加え時系列行ったり来たりが襲ってくるのでややこしさに拍車をかけていました。
サスペンス要素はガッツリありますが、特殊工作員という立場での暗躍をしっかりと見せてくれるので臨場感たっぷりでしたし、点と点が線で繋がっていく瞬間はかなり気持ちよかったです。
舐めてたジジイが実は…という感じの復讐劇でもあるので大好物が突然目の前に現れたかのような興奮がそこにはありました。
明らかにヤバいだろうと思ってた奴が違うベクトルでヤバかった時の興奮は異常です。
インド映画お決まりのミュージカルも今作ではかなり控えめで、その分ストーリーの大筋に力を入れているのでそういう点でもかなり異端な方のインド映画でした。
インターミッションを機に別映画へとジャンルを変えたんじゃないかっていうくらい派手なアクション映画になるので、心の中のインド人が思わずナートゥを踊り出してしまいました。
とにかく銃でぶっ放しまくる大暴れっぷりで、R指定らしく血はドバドバ流れ、首は吹っ飛んでいき、骨はボキボキ折れまくりの暴れっぷりに見事にやられました。
2丁拳銃はいつ観ても痺れちゃいますし、近接戦闘もお手のもの、果てには砲弾で爆発させまくるとかいうイかれた戦闘シーンがやってくるので、こういうのが観たかったんだろ?って言われてその通りです!と答えてしまうくらい大正解を叩き出していてやられました。
割と緊張するシーンもあって思わず口をつぐみながら観ていたりと従来のアクション映画では感じられないものもあったりとで豪華でした。
惜しい点を挙げるとすればやはり3時間近い尺なのもあってちょいちょい間延びするシーンがあったりして、ミュージカル無しでこれなのでもうちょっと削れなかったかなぁとは思いました。
あと黒部隊の初代メンバーがたくさん出てくるのは良いんですが、割とすぐにやられてしまうので見せ場少なっ!と思った人は自分だけではないと思います笑
しっかり1本でまとまっていてかつ続編も見込める作りなのは直近のインド映画のいくつかよりかは絶対的に良い部分になっており、あるならば続編を期待したい内容でした。
鑑賞日 6/3
鑑賞時間 13:45〜16:50
頼むから、大河ドラマみたいに役職と名前を字幕表記してくれないだろうか
2025.6.5 字幕 MOVIX京都
2022年のインド映画(171分、R15+)
麻薬捜査官の不審死を起点とした暗躍を暴く様子を描いたクライムアクション
監督&脚本はローケーシュ・カンガラージ
原題の『Vikram』は、劇中に登場する亡霊的な伝説のエージェントの名前
物語の舞台は、2019年3月9日のインド・チェンナイ郊外
そこでは、麻薬捜査官のスティーヴン・ラージ(ハリーシュ・ベラディ)とプラバンジャン(カリダス・ジャヤラム)が、麻薬ブローカーのアンブー(アルジュン・ダス)とアダイカラム(ハーリッシュ・ウタマン)から押収したコカインの原料をとある場所に隠していた
そこは、かつて何かの製造工場だった跡地で、追跡装置を切ったブツは人知れずの場所に眠ろうとしていた
それから6ヶ月後、チェンナイにて、3件の殺人事件が勃発する
それは「黒い仮面を被った数人の男たち」による犯行で、その犠牲者はラージとプラバンジャンと、彼らの養父であるカルナン(カマル・ハーサン)という一般人だった
警察本部長のホセ・ジョーズ(チェンバン・ウィノッド)は、警察長官のナガラージ(G・マリムトゥ)を差し置いて、「黒部隊(ブラック・スクワッド)」に捜査を一任することになった
黒部隊のリーダー・アマル(ファハド・ハシル)は、彼らの近辺調査を行なって行くものの、有力な情報は得られない
そんな折、PWDの公共事業で暗躍している事業局の職員ヴィーラパンディアン(ゴーサム・スンダララジャン)が次の標的になってしまった
そして、その捜査の過程にて、黒部隊の一人・ビジャイ(ナレイン)を捕まえることができた
アマルは尋問を行うものの、一向に情報は得られない
ビジャイは「社会の粛清を行なっている」と言い、家族が殺された苦しみをアマルに切々と訴えていった
その後映画は、ヴィーラパンディアンとつるんでドラッグ取引をしていたルドラ・プラタップ(Aruldoss)の娘(Girija)の結婚式へと物語が移っていく
そこには、麻薬王として知られるサンダナム(ヴィジャイ・セトゥパティ)も参列していた
アマルたちもその式場に紛れ込むものの、そこには黒い仮面の男たちも紛れ込んでいて、ルドラを拉致してしまう
アマルは一連の事件には裏があると読んでいて、さらに黒い仮面軍団はメッセージを投げかけていたことに気づいていた
そして、逃げる男に対して、堂々と姿を晒せと宣うのである
映画は、ここまでが前半部分でインターバルが入る仕様になっていた(日本ではそのまま続行)
最大のネタバレは、黒い仮面軍団のリーダーが伝説のエージェント・ヴィクラム(カマル・ハーサン)であり、実はカルナンの死は「偽装」で、同一人物というものだった
だが、Wikiを含めて「一人二役」がわかるようになっていて、観る前からわかってしまう状況になっていた
それを避けて観ることができた人は良いと思うが、カマル・ハーサンがヴィクラムとわかっている以上、シークレットでもなんでもないと思う
物語はそこまで複雑ではないのだが、とにかくキャラの識別がものすごく難しい作品となっている
インド人の顔を見分けるのが得意な人だと良いのだが、初見でキャラのビジュアルを正確に暗記して、その関係性を頭の中で構築できる人は少ないと思う
シナリオの稚拙さも相まって、とにかくキャラの名前を呼ばない(冒頭のダンスではモブの友人の名前は呼んだりする)ので、誰が誰かを把握するのに時間が掛かる
主要キャラであるホセも劇中ではほぼ全員がジョーズと呼んでいるし、これが「ホセ・ジョーズ」なのか、彼の怖さを表現するあだ名のようなものなのかもわからない
キャラの関係性としては、カルナンの実の息子がプラバンジャンで、彼の子どもが本当の孫となっていて、彼に「ヴィクラム」という名前が付けられていた
また、サンダラムの3人の妻に名前があるのに、プラバンジャンの妻だけ名前がないのも変な話で、そこにいるティナ(ヴァサンティ)も妻の母なのか、プラバンジャンの母なのかもわからない
最終的に潜入していた家政婦という設定なのだが、あの家庭に家政婦が必要な理由がわからない
麻薬取締官の給料はめっちゃ良くて、妻も子育てに専念という感じなのだが、この妻の理解度も弱いので、後半のドタバタ劇に少しイラッとしてしまった
逆に、アマルの婚約者(のちの妻)であるガヤトーリ(ガヤトリー・シャンカール)は察しが良すぎて最悪の展開になるのだが、この温度差はなかなか凄かったなあと思った
R15+はこのシーンのせいだと思うが、決定的なものを見せないのは配慮だった(おっさんのは普通に見せてたけど)のかも知れません
いずれにせよ、長いしわかりにくいし疲れるしという内容で、3時間終わって「戦いはこれからだ!」で脱力した人は多いと思う
一応は「Vikram 2」がインドにて2025年11月30日に公開予定なので、順調にいけば来年頃には日本でも公開されるのだろう
どんなシナリオになるのかは想像に難くないのだが、今回「かっこいい紹介」をハブられたティル(シュリクマール)とビジョイにも何か用意してあげて欲しい
次作は、アマルも登場して、共闘するか別働隊で単独行動をすると思うのだが、そのあたりも含めて、「ブラック・スクワッド」の活躍を楽しみに待ちたい
黒部隊という翻訳ははいくらなんでもダサすぎるので、TWINにまたひとつ黒歴史ができたなあと思ってしまった
やっぱり 長い!濃い!回りくどい!重い!とは前半思ったけどw 期待...
トータルで考えると続編が楽しみになるくらいに面白かった
考えてみると「RRR」から後のインドのアクション映画は盛り上がりに欠ける(あくまで個人的感想だけど)。続編ありきの脚本に、わかりづらい設定と展開(登場人物の多さも影響している)。アクションはそれなりにすごいけど意外と退屈な映画が多かった。本作はそういう意味で久々に結構面白く観ることができた。
殺人ではない声明だとのメッセージを警察に送りつけてくる犯人グループ。役人ばかりが狙われる連続殺人は何が目的で誰の犯行なのか。って序盤なのだが、予告編で息子を殺された男が復讐に走る話って説明されているので、いやいやこの人が復讐するんじゃないの?と思ってしまう。序盤の流れを大事にして復讐劇を隠した予告編を作るとカマル・ハーサンの映画としての宣伝ができない。予告編の作り方って難しいと感じる。
正体が分かってからの後半は、アクションのてんこ盛りで楽しかった。バッタバッタ倒して、ドカドカと撃ち殺していく。細かい展開の粗さはあるけど気にしないことにした。そしたら気持ちよく観ることができた。あぁ、この流れは孫が引き継ぐ流れかーなんて思っていたけど、そんなフラグを平然とスルーしてくるところも笑える。
そして続編があると宣言しないのも久々かもしれない。いや、続編はあるはずなんだけど。他の人レビューを読むと他の作品と世界観を一にした映画なんだとか。そしてやはり続くみたいだね。一安心。久々に次を楽しみに待てるインド映画が現れた。
頼む,も少し分かりやすく作ってくれ(^^)。話がよく分からなかったので物語が面白く感じられず,分からないままアクションシーンだけ見て最後までいっても結局,話が分らないまま終わるのでラスト25分で帰った
主要人物の目的とか、何をやろうとしてるかは分かるのだが、いろいろな各場面、各場面で、「コイツらは、この場面でいったい何をやろうとしてるんだ?どうしてこういう展開になったんだ?コイツらはナゼここを襲撃したんだ?よく分からん」というのが幾つかあった。
だから結局、内容がよく分からないから物語が面白くなくて、25分残して帰ってしまった。
序盤は話がなかなか見えてこないが、分からないながらも一所懸命見ているうちにインターミッションで前半終了。
・日本上映でも5分でイイからトイレ休憩いれてくれい m(_ _)m
インターミッション後からは、色々な真相が明らかになってきて、話も見えてくる。
前半含めて整理すると、
カルナン(酔っぱらい)は、前半冒頭でナイフ&手榴弾で爆死と思いきや、実は黒マスク団のボス・ヴィラクム。 イヤ驚いた。 偽装爆死だったのか ( ゚Д゚) 。 そういえば足しか残らんかった。インドの麻薬犯罪を根底からなくそうとしている。
アルマ達は黒マスク一味を追っている。 どういう組織集団だかちゃんと説明があったが忘れた。 アルマがボス。 ちゃっかり彼女がいる(結婚してたかも)。 彼女には自分の仕事は内緒にしてる。
麻薬王サンダナムは、麻薬の素2トン(キロ?)を奪われて一所懸命に探してる。奪われたのは麻薬の素なので、1000倍の2000トン(か2000キロ)の麻薬になる。 そりゃ懸命になって探すよな。 在りかを知ってるヤツを、キレてつい殺してしまう。 ← アホかサンダナム (^^)。 サンダナムの上に、ラスボスだか、顧客だかがいる。
一番よく分からなくて混乱したところは、カルナン(=ヴィクラム)の養子(実子らしい)の警官プラバンジャン界隈
黒マスクの最初の犠牲者なのだが、ヴィクラムが自分の養子を殺すワケがないから、絶対何かを見逃してしまった (^^)。
次に分からなかったのが、麻薬組織の倉庫みたいな所(昔の武器庫の跡?)に潜入してる場面だ。 たびたび出てきたが、今考えるとあれは、生きてた頃のプラバンジャンだったのではないかと思う。ということは、時系列が戻ってたのか?
そうすると、これも今思い付いたのだが、麻薬王サンダナムから麻薬の素を奪って、その在りかを知っていて捕まってしまって、キレたサンダナムに殺されてしまったのは養子のプラバンジャンだったのかもしれない。
鑑賞中は、時系列が戻ったりしてるとは思わなかったので、ナゼか突然出てくる謎の潜入捜査場面にしか見えず、ワケが分かんなかった。
そのほかにも、結婚式で花嫁を人質に取る場面、カーチェイスのあと黒マスクが警官たちと大立ち回りする場面、ティナの場面などなど、どういうワケでそいうい展開になったのか理由が分かってないので、物語が全然オモシロクないのである。
結局、最後は麻薬王サンダナムがやられて終わるだろうと思いながらも、物語がよく分かってなくて面白くないから、終了まで25分ぐらいを残して帰ることにした。何かアクションシーンでグシャグシャしてたようだ。
ちなみに、貸切状態だったので、無観客のまま終わりまで上映したと思われる。
前半から寝落ちする失態(汗)
「アクションがインド映画特有」
インド映画らしい圧倒的な熱量が炸裂!
【イントロダクション】
インド、タミル語映画界の国民的スター、カマル・ハーサン主演・製作のアクション・スリラー。謎のテロリストによるテロ行為の犠牲者となった中年男性、彼の死の謎を追う若き特殊工作員、事件の鍵を握る巨大麻薬組織のボス。3人の複雑に絡み合う運命、激しい肉弾戦と銃撃戦が炸裂する。
監督・脚本のローケーシュ・カナガラージによる、ローケーシュ・シネマティック・ユニバース(以下、LCU)の第2弾(第1弾は2019年の『囚人ディリ』)。
【ストーリー】
覆面姿の謎のテロリストによって、麻薬取締局(NCB)の関係者らが次々と殺害される3件の連続テロ事件が発生していた。事件を追うジョーズ長官は、法に縛られない特殊工作部隊・ブラック・スクワッド(黒部隊)に捜査を依頼した。リーダーのアマル(ファハド・ファーシル)は、部下と共にIT企業事務所を偽装して街に潜入し、捜査を開始。彼は、一連の事件で唯一取締局関係者ではない2番目の犠牲者カルナン(カマル・ハーサン)の死に疑問を抱き、彼の素性について捜査を開始する。
調べると、カルナンは事件の1人目の犠牲者であるプラバンジャン警部補の養父であり、息子の死後、孫を溺愛して一日中酒を飲み、毎朝ゴルフに出掛け、娼婦の館に出入りするという自堕落な生活を送っていた。また、カルナンは麻薬中毒者の疑いもあった。
さらに捜査を進める中で、アマルは麻薬組織のボス、サンダナム(ヴィジャイ・セードゥパティ)が自身の縄張り内で消えた2つのコンテナの行方を必死に探している事を突き止める。サンダナムは、麻薬シンジケートのボスであるロレックス(スーリヤ)に政界進出の後押しをしてもらう代わりに、彼に2兆ルピーにも及ぶ大量のコカインの原料を提供する手筈となっていた。しかし、積荷が消えた事で取引に暗雲が立ち込め、自身や家族の身が危なくなっていたのだ。
アマルは、結婚を控えた恋人ガーヤトリの一言からカルナンの生存説を考えるようになり、彼の一連の自堕落な行動は、サンダナムをはじめとした麻薬ルートの活動を追う為の偽装工作だと考える。
一方、公共事業局職員のヴィーラは、劇場にてサンダナムの部下達と取引を行おうとしていた所をテロリスト達に襲撃を受ける。現場に駆け付けたアマル達は、テロリスト達と銃撃戦とカーチェイスを繰り広げる。ヴィーラは殺害されてしまうが、アマル達はテロリスト一味の1人・ビジョイ(ナーラン)の確保に成功する。調べると、その正体は麻薬摘発で功績を上げた果てに妻と子供を殺害された捜査員だった。
アマル達は、テロリストの次の標的が請負業者のルドラだと確信し、彼が出席する娘の結婚式に潜入する。ルドラはサンダナム達の護衛を受けていたが、テロリスト達は式の最中に行動を開始するーー。
【感想①】
本作は、LCUの第2弾として製作されているが、本作のみでも問題なく楽しめる作りとなっている。調べると、LCUの前作『囚人ディリ』(2019)から続いて登場するのは、麻薬捜査官のビジョイであり、彼の存在が今後のユニバースの拡張を示すのだそう。また、ラストで登場したスーリヤ演じる麻薬王ロレックスは、『囚人ディリ』でその存在が示され、本作で初めて姿を現した、MCUの『アベンジャーズ』シリーズにおけるサノスのような役割を持つ人物なのだそう。
更には、本作は主演のカマル・ハーサンが出演した1986年の同名映画の精神的後継作でもあるそう(続編という事ではない)で、ヴィクラムの過去はそこにオマージュが捧げられているのかもしれない。
話自体は、前半がミステリー要素を含んだアクション・スリラー、後半が謎の種明かしとアクションに分けられており、真相が判明する後半からはアクションも一気に加速していく。
ブルース・ウィリスの『RED』(2010)、シルヴェスター・スタローンの『エクスペンダブルズ』(2010)、『ワイルド・スピード ICE BREAK』(2017)におけるジェイソン・ステイサム演じるデッカードのパートを足したような作りとなっており、全体的に既視感はある。しかし、これらハリウッドアクション大作の要素を配合し、工作員による謎解き要素やインドらしい地域性を盛り込んでおり、単なるフォロワー作品に留まらない個性を放っている。
【情報の整理】
散見される「内容の複雑さ」という意見については、主にカルナンの素性と彼の起こしたテロ事件の真相に関する部分だと思われるので、ここで一度整理しておこうと思う。
カルナンは、本当の名をヴィクラム(Vikram)といい、1981年に創設された黒部隊の隊長だった人物。80年代に100を超える任務を成功させてきたが、1991年のたった一度の任務失敗が原因で、政府によって犯罪者に仕立て上げられ、部隊全員が命を狙われる事になってしまう。その後、彼を含んだティナ、ウッピリ、ローレンスの4名が消息不明となっていた。彼らは名前を変えて社会に潜伏しており、殺されたプラバンジャン警部補はヴィクラムの実の息子である。プラバンジャンはカルナンが実の父である事を見抜いており、養父として迎え入れ、孫の名付け親として生まれた息子(孫)に自身と同じ“ヴィクラム”と名付けさせた。
ヴィクラムは、プラバンジャン達とサンダナムのコンテナを強奪し、隠していた。コンテナの行方を追うサンダナムと、彼と癒着関係にあったジョーズ長官はプラバンジャンを捕え、コンテナの隠し場所を吐かせようとしていたが、カッとなったサンダナムが誤って彼を殺してしまう。
ジョーズは、事件をテロリストによる犯行に見せかける為に覆面姿で動画を撮影(1件目のテロ事件)し、警察に送った。ところが、ヴィクラムはプラバンジャンを殺害した真犯人を突き止め、麻薬のない社会を実現する為に、ジョーズ達が作った偽のテロリストと同じ姿で犯行を行い、まず自身の死を偽装(2件目のテロ事件)し、続いて麻薬取締局(NCB)の汚職捜査官ラージを殺害(3件目のテロ事件)し、その映像を警察に送ったのだ。そこで、ジョーズはアマル達現役の黒部隊に捜査を依頼し、2件目以降のテロ事件が誰の仕業かを探ろうとしたのだ。
【感想②】
主演のカマル・ハーサンは、御年70歳(撮影当時は67〜68歳)を迎えた大ベテラン俳優であるが、効果音やワイヤーアクション、スローモーションといった演出の補助が加えられているとはいえ、筋骨隆々な肉体と肉弾戦アクション、銃撃戦シーンは迫力がある。
クライマックスでM2機関銃を担いで仲間の援護に向かう姿ど、そこからのダイナミック自己紹介がアツい!また、彼だけが唯一、死亡フラグであるダイナミック自己紹介のフラグを回避した人物でもある。
アマル役のファハド・ファーシルは、ジュード・ロウを彷彿とさせる甘いマスクの正統派なイケメンといった風貌で画力があり、作品の前半部を引っ張って行かなければならない役割を十分に果たしていた。妻を失い、ビジョイと同じテロリストの道を進む事になった彼が、今後どのような活躍をするのか非常に気になる。
サンダナム役のヴィジャイ・セードゥパティは、麻薬組織のボスとしての厳つい風貌を披露しながらも甘い美声の持ち主。家族思いな一面から、アマルによって爆弾が仕掛けられた自宅から全員を避難させる件はクスリとさせられた。そんなサンダナムのキャラクターが面白く、青く光る結晶型のドーピング剤を摂取する事でパワーアップするというのも、ラスボスらしいハッタリが効いており良い。
彼の部下であり、息子の1人でもある小人症の男性キャラの、ペンチで相手のアキレス腱を切るという姑息な戦い方も印象的。
音楽のアルニド・ラヴィチャンダルによる楽曲の数々が素晴らしく、ノリの良いEDM調の楽曲からハリウッド的な壮大な楽曲、インドらしい民族的な歌曲までバラエティに富んでおり、作品を効果的に彩っている。絶えず音楽が掛かり続ける作風は好みが分かれるかもしれないが、個人的には大賛成。
特に、中盤のIntermission(休憩)前のサンダナムとカルナンが繰り広げるアクションの裏で掛かる『Sandhanam Theme(サンダナムのテーマ)』がお気に入り。“take it DOWN!(ぶちのめせ!)”という歌詞が繰り返される中での、それぞれの肉弾戦の要素はテンションが上がった。
スパイ映画のような前半の推理パートと後半の激しいアクション、全編を彩るノリの良い楽曲等、非常に濃密でテンションの高い一作なのだが、それ故にツッコミ所も多いのは確か。
・何故、ジョーズは冒頭でカルナンの誘拐事件を認知しており、部下を派遣して現場に向かわせる事が出来たのか?
・カルナン(ヴィクラム)は如何にして、息子の本当の死因を偽装した偽のテロリストの犯行動画を知り、彼らの手法を真似る事が出来たのか(酔ったフリをして警察署に厄介になった際に、ギャングの情報と共に入手した可能性はあるが)?
・ヴィクラムからの指示を待たねばならないローレンスが、独断専行したばかりにピンチに陥ってやしないか?
とはいえ、それら全てを帳消しにしてしまう程の熱量が炸裂しているので、結果的には「面白かった」という結論になってしまうから凄いのだが。
【総評】
インド映画らしさとハリウッドアクション大作映画らしさのハイブリッドな作風、それぞれの良いとこ取りをした本作は、171分の長尺をものともしない非常に見応えのある作品だった。
一本の作品として纏まってはいるが、今後の続編の可能性、強烈な個性を放っていたロレックスの単独作品の実現含め、続編製作とその日本公開を願うばかりである。
約3時間、ぶっ通しのバイオレンス!
まず言いたいこと!劇伴のキックが重い!IMAXでもないのにお腹にズシズシ…🫨ウッ…
「デーヴァラ」や「ジャワーン」の時も思ったのですが、この激重キックはインドでは流行りなのでしょうか…。まぁ、ノリが良いので許す。
さて、いつもの相棒と観に行ったのですが、二人で出した結論は「これはマサラ式でバカ騒ぎしながら観る映画なのでは…?」でした。なにせ約3時間、ぶっ通しでバイオレンスしちゃってるんですから。ショッキングなシーンが多くて、真面目に観てたらちょっと心臓に悪かったです。クラッカーぶっ放しながら「ヒィー!」とか「うわー!」とか叫んでれば気が紛れてもっと楽しめたかなぁ、と…。インドが羨ましいです🇮🇳
実は、最後まで鑑賞しても登場人物の相関図が頭の中で出来上がっておらず、さらにストーリーも複雑に感じて「あ、やばい。私この映画全然わかってないかも」とめちゃくちゃ焦りまして。パンフレット買って補完しようと思いまして。でも、読んでみたらネタバレしない程度のあらすじまでだったので、未だによく分かってないことがチラホラ…。
回想シーンが多くて時系列が掴みづらいのと、3つくらいの組織が同時に出てくるのが分かりづらかった要因かと。もしくは単に私がアホなだけかと。うん、後者です、ごめんなさい。
でもやっぱりボリウッド!アクションシーンはパワフル!ハイテンション!パンチ・キックで5メートルくらい吹っ飛んでるの観ると「あぁ、素晴らしきかな、インド映画」と思ってなんだか安心。これよ、こうでなくちゃ。ただし、今作はガンアクション(?)とギャングらしい暴力シーン多めなのでかなり過激。苦手な方は注意が必要かも。
ストーリーは前述の通りちょっと分かりづらかったですが、クライマックスへ向かっていく後半はかなり楽しめました。高火力ハチャメチャやりたい放題でありがとうございました😊
全体通してお話が重めだし、画面も暗め。もう少しヒロインとの絡みとか、孫とのほのぼのパートとかあれば気軽に楽しめたかなぁ。その点「ジャワーン」のバランス感覚は私に合ってたなぁって改めて思いました。あ!ミルク作るのに悪戦苦闘するおじいちゃんはすごく良かった!ミルクの温度とかね、加減がね🍼
イケおじ大活躍
長いのはもう分かってたw
キャラクターが多くてわかりづらい…
誰がどういう立ち回りをしているか、どういうキャラかを整理しながら見ないと混乱する。
あれ、これはどっち側の人だっけ?みたいな。
ストーリーはよく出来ていて、面白くはある。
だけど、インド映画でありがちというか二転三転以上に話が回るので、それが長くなっている要因でもあり、少しダレるところ。
もう少しシンプルにできる、見せる事もできそうだけど。
お決まりなのかわかりませんが、続編を匂わせて終わるという、モヤモヤした最後でもありました。
主演の方はかっこよかったですね。立ち回りもアクションも良かった。
面白かったけど分かりにくい
とにかく強い、カッコいい
カマル・ハーサンがいかにカッコいいかを魅せるための、インド版『キングスマン』『ミッション・インポ~』と『ランボー』を足したような秘密工作員映画。
悪役たちから侮られていて、殺害されたはずの人物が、実は最強生物という『イコライザー』や「『沈黙』シリーズ」みたいな側面もあり。
孫に絡むシークエンスで仲間というか部下の連中の死に方がテキトーすぎるのと、そもそもどこから活動費が出ているのか、という難はあるものの、「とにかく強い」「とにかくカッコいい」で押し通す感じは心地よい。
作品としてはコレ単独で終わってはいるが、「人気あれば続編もやるよ」な仕舞い方。
同じ監督の『囚人ディリ』も関連づけ可能にしていて、「カナガラージ・ワールド・クロスオーバー」展開狙いを感じ、アーナンド監督が『PATHAAN パターン』で主人公の助けにタイガーが現れたことを思い出しました。
全32件中、1~20件目を表示
映画チケットがいつでも1,500円!
詳細は遷移先をご確認ください。