特別編 響け!ユーフォニアム アンサンブルコンテストのレビュー・感想・評価
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おかえりユーフォ!
新宿ピカデリーで鑑賞。
私は中学〜高校のオーケストラクラブ、大学の吹奏楽団を経験したことがあります。そのため、このアニメと出会って以降はテレビシリーズや劇場版を全て観るぐらい好きになりました。久々に新作ということで、発表されたときは「早く観たい!」と思うぐらい心から楽しみにしていました。
美しい作画は勿論、劇中の音楽は各場面にふさわしいリズム感溢れるものになっていました。それゆえ、練習風景の中でも映画館の音響と一体となり、まるでその場にいるような生々しさが漂っていました。特に、オープニングで流れる「オーメンズ・オブ・ラブ」は躍動感ある楽曲で、ノリノリになること必至でした。さらに、北宇治高校吹奏楽部の活動を振り返る映像と共に、とても懐かしくて涙が溢れ出ました。
主人公の久美子は、今作では部長に就任しています。部員の悩みを聞いたり、メンバーを取りまとめるのに苦戦する様子が描かれており、彼女が部活トップとしての責任感を負う大変さが伝わってきました。
また、パーカッション担当の釜屋つばめにも共感できました。久美子を含む8重奏のメンバーとして練習に励みますが、自分に自信を持てずに悩んでしまいます。そんな時、久美子から大丈夫だよと励まされたことで、前向きになろうとする姿勢に感動しました。声優はパーカッションつながりなのか、ドラム経験のある大橋彩香さんが演じていました。全体的に控えめな性格でありながらも、少しずつ成長していこうとする演技が印象深かったです。
とても懐かしく、ユーフォの再始動を予感させる物語になっていました。例の事件から約4年が経ち、続きは一体どうなるのかと心配していました。しかし、長い時を得てついに待望の新作が公開され、それを劇場で観れただけでも嬉しかったです。
2024年4月にはテレビアニメ3期が放送されるので、待ち遠しくなるぐらい楽しみです。
いつもの安定感好き
京アニの作品を見てると何故が心が癒されて仮に一時的にも「この世界はそんなに悪くないなあ」と思わずそう感じました。響けのTVも全部見ました。繊細な心理活動の描写と生活感溢れたキャラクターの動き、毎回こういう細かく描かれるシーンを見るたびに涙が出そう(個人によると誇張すぎるかもしれませんが)
そして何より、現実でコンクールを見ようと考え始めて、実際にも見て、そういう青春が素晴らしい、輝かしいなあと心が刺されるような複雑な感情も出ました、笑
顔と名前を知っていれば楽しさ倍増
『リズと青い鳥』の傘木希美と鎧塚みぞれを探しながら観た。登場していて良かった。
『劇場版 響け!ユーフォニアム〜誓いのフィナーレ〜』の黄前久美子と久石 奏は今作でも主役級でした。見れば見るほどキャラクターの顔と名前を覚えてドンドン楽しくなってくる。
特別すごいことが起こるわけでもないのに、私の目と耳と頭を楽しませてくれるアニメ映画。
黄前部長デビュー編ってとこか。アンサンブルコンテスト、そういやR高...
黄前部長デビュー編ってとこか。アンサンブルコンテスト、そういやR高校でもそんなのあったなぁ。
いつも通り、いいのはいいのだが、劇場で見る分にはさすがに物足りないのでは。次の劇場版ってあるのかな。シーズン3の総集編ってとこかな。
シーズン3はちゃんと見てみよう。
正直映画にするほどの内容だったのは思えない。 アンコンの演奏シーン...
正直映画にするほどの内容だったのは思えない。
アンコンの演奏シーンも期待していたが、演奏の音楽だけが流れ映像が割愛されており残念。
3期が始まる少し前に公開されていた様な気がするので、その宣伝上映かなという感じ。
ただオーメンズオブラブを演奏してくれたのは個人的にはアツかった。
新部長黄前久美子の奮闘記
とにかく素晴らしいシリーズ
やっと鑑賞できました。
黄前久美子が部長となり、これまで先輩や同級生に翻弄されながらいた過ごしていた立場からリーダーシップを求められる真逆の立場で彼女はどう立ち振る舞うのかが見どころです
部長らしくならなくちゃという公の部分
仲良しグループと一緒の時にホッとする
こんな二面性が見えてきます
実力主義の麗奈
和を大事にする久美子
その2人は親友というバランスの良さ
1時間弱の特別編ですが、次の音楽が始まるのがいつも待ち遠しくなります
獲るんてしょ?金。……全国で!
こんな作品有ったの知らず、見つけた事に僥倖感じた。
アマプラで劇場版を観ては、テレビシリーズを全話通しで観て、その僅かな増減シーンを味わうほとんどファンで、前作ラストの新部長の挨拶で終わってて、続きを熱望してたから、ホント嬉しい。
おもしろいとか愉しいじゃなく、この作品を観てる事が嬉しい。
他のレビューで散々言われてるけど、短いっ!
もっともっと観ていたい。
言葉では形容し難いけど、氣持ちをいろんな方向にねじつけられたり、スパッと斬られたり、厭なチクチクされたり、でもホンワリさせられたり、めちゃくちゃ忙しい作品だ。
キャラの成長だけで熱い
部長となった久美子は少人数編成でのコンテストに向けて、部員同士で自由に編成を組むように通達する…。
劇場公開された中編作。ここまでが長かったこともありメインキャラ達の成長ぶりだけで既に熱い。春からの3年生編も楽しみです。
続く!京都アニメーション
吹奏楽に打ち込む高校生たちの青春を描いた同名小説を基にした京都アニメーション作品。
劇場版の前作『~誓いのフィナーレ』のラストで、いよいよ部長になった久美子。
いざ、悲願である吹奏楽コンクール全国大会で金を目指す!
…の前に、ちと間奏。原作小説の人気エピソードを映像化した1時間弱の中編。
このシリーズは未だTVシリーズは見ておらず、スピンオフ含めた劇場版のみ。
一応劇場版は全て見ているが、スパンを置いて製作されるので、時々誰が誰だっけ?…となる。
だけど、見ていく内に思い出す。前作で登場したちとクセある1年生の奏やスピンオフの『リズと青い鳥』で主役だった鎧塚先輩は窓からこっそり顔を出す。
話は…
アンサンブルコンテストが開かれ、その代表チームを決める校内予選。
チームは数名編成。部員投票と一般投票の総合結果上位が代表に。
チームの振り分け、各々の諸問題などで、新部長・久美子は早速大忙し!
部員たちの人間模様がメイン。それぞれの思いや意気込みで音楽に向き合う。
久美子もコンテストに。誰と組むか。
そんな時声を掛けてきたのは、麗奈。
いや、私も誘おうと思ってたんだけど~!
いざ誘おうとすると、お互い何故か切り出せない。見てていじらしい。
久美子はユーフォニアムで、麗奈はトランペット。部は同じでも担当楽器が違う。
各々の担当で共に頑張る姿はこれまで描かれてきたが、二人一緒にやる姿は何だか久し振り。
ナチュラルとストイック。親友二人のやり取りも見ててほっこり。
人間模様メインの1時間弱。練習シーンはあるものの、本格的な演奏シーンは今回お預け。予選結果もテロップで簡潔に。
演奏シーンが見たかったと物足りなさもあるが、彼女たちには次の演奏がある。
吹奏楽コンクール全国大会で金!
彼女たちの曲は続く!
この春に3年生となった久美子のアニメ第3期がスタート。
最終楽章近付く。
その前にTVシリーズを見て、劇場版も再見して、壮大なフィナーレの演奏に備えよう。
久美子の戸惑いと成長が心地よい
アンサンブルコンテスト出場に揺れる北宇治高校吹奏楽部を描く物語。
京都アニメーション製作、「響け!ユーフォニアム」シリーズの最新映画ですね。
アンサンブルコンテストが表のテーマとなっていますが、物語は主人公久美子の成長譚。
部長となった自分の立場に迷い、戸惑いながら、それでも一歩ずつ進む久美子を丁寧に描いています。
映画という扱いですが、久美子3年生編へのイントロダクションになるような作品でもありますね。
その分、物語としては起伏が乏しく、盛り上がりに欠けると感じられた方もいるのかもしれません。
しかし、久美子の成長譚としてみると、とてもしっかりとした出来栄えだったと思います。
作画は「神」レベル。表情等の感情表現や何気ない仕草等もとても丁寧で拘っているのがわかります。そして、演奏シーン。これだけしっかりと動かすのに、どれだけ労力をかけているのでしょうか。
ラストが部員紹介のようになったのは、亡くなられた池田晶子さんへの敬意でしょうか。殆ど出番のない、声も当てられていないキャラもしっかりとデザインされたと聞いています。彼等を映像で紹介することが、この映画のもう一つのテーマだったのかもしれませんね。
私的評価は5にしました。
かわいい。みんなかわいい。 原作追ってないから久美子が、いつの間に...
かわいい。みんなかわいい。
原作追ってないから久美子が、いつの間にか部長に、、、
アドバイスしっかりしてて
うわぁ〜部長やぁ、、、ちゃんと部長してるぅ、、ってなった
やりづらそうなの可愛い
お互い嫉妬して欲しい久美子と麗奈
アニメしか見てないから先輩たち恋しい
推しは緑ちゃんなのでちゃんと先輩してて尊かった。
ちっこいコンビがでっかいコントラバス扱うのほんとにかわいい
青春
テレビアニメ振りに本作品をみたので、知らない間に代替わりが行われ、新入部員の新キャラもいて少し驚いたが、映画の内容を理解する分には差し支えなかった。
私自身久美子たちと同じように吹奏楽部員として高校生活を謳歌していたのだが、卒業して大学生となった私に、当時感じていた様々な情景を思い出させてくれた。教室の匂い、譜面台越しの窓から見える風景、教室に響く自分の音と遠くから聞こえる誰かの音、もう二度と戻ることの出来ないその世界を懐かしみながら、久美子たちの日々の生活を見ていると本作の表現・技術力の高さに至極驚かされる。
絵の綺麗さは言うまでもなく、葉月ちゃんがチューバを吹きおわった後に口元を拭うシーン(管楽器は息の水分が口元に付着する)やマリンバを慎重に運ぶシーン(重厚感や車輪が軋む音)などの楽器的な表現から、脚や瞳孔の動きで表す登場人物の心情表現まで、さすが京都アニメーション様としか言いようがない。原作を読んだことはないが、おそらく原作では文字として表現されている吹奏楽部員特有の人間関係のぎこちなさを、アニメーションのみで表せるのは本当にすごい。
本作は1時間ほどとかなり短い作品となっているが、十分に満足できた。
かなり我儘を言えば、久美子たちの本番の演奏シーンを見たかったことと、他のチームがどんな演奏をしたのかが気になるが、そこは想像で補うことにする。来春新作が公開されるらしいので楽しみだ。
神々しく美しい「なにげない日常」。それは、京アニが取り戻したかった日常でもある。
そろそろ終映になったら嫌だなと、新宿のレイトショーに重い腰を上げて観に行ったら、もう公開してだいぶ経つのに、劇場が今も8割方埋まっていた!
京アニファンのロイヤルティはほんと高いなあ。素晴らしい。
そもそも自分がアニメを真剣に観るようになったのも、京アニの『AIR』と『Kanon』があったからだった(あと『ハルヒ』とね)。
でも正直言えば、このところ、京アニとはちょっと縁遠くなっていた。
『Free!』や『ツルネ』はいちおうTV版のみ義務感で観てはいたものの、総じて僕の守備範囲外の作風だし、『メイドラゴン』はどちらかと言うと京アニというより原作者のテイストが強いアニメだ。『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』は脚本と設定双方に関して、TV版にも映画版にも、あまりに納得のいかない部分が多すぎて、どうしてもはまれなかった。
その意味で『リズと青い鳥』および『誓いのフィナーレ』以来の『ユーフォ』の新作映画となる本作は、久しぶりに僕にとっても「京アニらしい少女もの」の渇を癒す一作となった。
― ― ―
冒頭の楽曲から、いきなりぐっと引き込まれる。
おおお、こいつはTHE SQUEAREの「オーメンズ・オブ・ラブ」じゃあーりませんか!
僕らの世代は程度の差はあれ、THE SQUEAREにどっぷり浸かって育ったクチだ。
僕もご多分にもれず、多感だった頃の青春の記憶と分かちがたく結びついている。
高校2年生の文化祭で、僕は美術部員に交じって絵を描いたりしていたのだが、そのとき美術室の隣が音楽室で、そこでブラバンの有志で組んだ精鋭メンバーが文化祭のステージ用に延々と練習していたのが、THE SQUEARE(のちのT-SQUEARE)の「オーメンズ・オブ・ラブ」と「いとしのうなじ」だったのだ。
絵を描いてる横で100回以上も毎日同じ曲を繰り返し弾かれると、さすがにこちらも曲を覚える。
気が付くと、この2曲を聴いただけでちょっとウルっときてしまうような条件付けが身体に刻印されてしまっていた(笑)。
まさに、オヤジ世代にとっては「ツカミはOK」の選曲だ。
そういや客席には、若い子たちに交じって、白髪や禿頭のオヤジたちがちらほら……。
― ― ―
本編に入っても、懐かしさは変わらない。
ああ、これだよ、これ。
俺の観たかった京都アニメーションは。
相変わらず、石原監督の演出は細かく、緻密で、丁寧だ。
実写的な演出法を随所に取り入れながらも、アニメ的な「萌え」をなおざりにしない。
だから本当に、安心して観ていられる。
たとえば、弟子筋にあたる山田尚子監督は、「実写映画的な演出」や「凝りに凝ったしぐさ演技とレイアウト」といった要素をとことん純化させて、きわめて個性的な作風を確立していった。で、純化させすぎた結果として、オタク的な約束事の領域からははみ出して、『平家物語』の世界にまで行ってしまった。
だが石原監督は、いつまでも「深夜アニメっぽい共犯性」のなかに留まり続ける。
実写的かつ説明的な「京アニっぽい凝った演出」を前面に打ち出しつつも、オーソドックスなアニメ的演出や、オタク的な萌えの記号をもきちんと併用してくる。
記号としての「美少女」と「制服のエロさ」、丁々発止の会話劇といった従来的なラノベ/アニメの要素をしっかりと踏まえてくる。
要するに、石原監督という人は、そういうオタクカルチャーの産物が心から大好きで、そこの枠内からは「敢えて出ようと思っていない」クリエイターなのだ。
鍵ゲーを愛し、『ハルヒ』を愛し、そのジャンル愛を実作にも存分に発揮させている。
結果として、彼の監督するアニメは常に、リアリティの描出と、頭のよい凝った演出と、オタク的な記号性のバランスがすこぶる良い。
一般的な深夜アニメの凡庸さからは、一歩も二歩も抜きんでている。
でも、尖りすぎず、突っ走りすぎず、「我々の親しんできた萌えの世界」は堅持してくる。
僕は、この監督のこういう職人的なバランス感覚と、古参オタクの矜持のような旧来的萌えアニメへのこだわりを、こよなく愛してやまない。
― ― ―
たとえば、出だしの演出でまず一番気になるのは、「呼吸」だ。
「はっ」
「ふっ」
「すぅぅぅ」
冒頭から、ユーフォを吹く久美子の息継ぎと、次の音を鳴らす前にふっと息を吐く音、鼻を軽く鳴らす音などが、きわめて丹念に拾われている。
他の箇所でも、今回の音響は、吹き始めの「呼気」をリアルに拾うことにやけにこだわっているのが感じ取れる。
そう思いながら観ていたら、終盤の山場で、まさに「ブレス」と「呼吸を合わせる」ことが本作のテーマそのものだったことを知って、はたと膝を打った。
なるほど、ここにすべて収斂させるつもりで、今までのは全部「わざと」やってたわけね。
やっぱり、頭のいい監督さんだ。本当にそう思う。
一方で、徹底した「煽り」のカメラ位置(階段が効果的に用いられる)と、女子高生の「絶対領域」へのあくなきこだわり、若干ふとましい「太腿」へのフェチっぽい視線は、どこまでも「萌えアニメ的」で、いい感じで「気持ち悪い」(笑)。
キャラクターの美少女性を存分に認識して、彼女たちを動かし、しゃべらせることを心から楽しみ、なおかつそれを(本来なら近づけない距離の視点にカメラを置いて)視姦することをも心から楽しんでいる。
要するに石原監督は、この手のアニメを愛しているその他大勢のオタクファンと同じ趣味趣向を共有し、手放さない。きわめて優秀で才能ある表現者なのに、そこは外さない。
そういうアニメが好きな人だから。
そういうアニメが好きな人のために作っているから。
だから、僕たちも安心して観られる。そういうことだ。
とくに今回、素晴らしかったのは「会話」の妙だ。
物語としての大きな山場や感情的な対立がなかったぶん、石原監督は「少女たちの交わすなにげない会話」の描写に全力を投入してきた感がある。
リアリティと「萌え」を共存させる形で、ふたりの少女の「会話」から、両者の距離感と関係性をつぶさに描き出す。
本作は、無数に行われたその実験の、いわば「集積体」である。
「会話」と「会話」でつながっていった少女たちが、やがて小さなグループを成し、その小さなグループが集まって、ひとつの吹奏楽部という群を成す。
本作の「アンサンブルコンテスト」という枠組みは、まさにそのアナロジーである。
ふたりの少女は、会話を交わしながら、つねに探り合う。量り合う。
相手のことを。相手の自分への想いを。相手の距離感を。
上目遣い。はたと見据える眼差し。そらす視線。さまざまなアイコンタクトが交錯する。
息遣い。声のトーンが上がったり、下がったり。
頻繁に声音の温度感が変わる。親密さ。愉しさ。惧れ。おびえ。
短い会話のなかでも、相手との駆け引きが秒単位で展開され、それに合わせて表情演出と音響演出も千変万化する。
ここに徹底的にこだわって作られているから、ユーフォニアムの少女たちは、アニメ的なキャラクター性を保持しながらも、どこまでもリアルで、どこまでも神々しいのだ。
山田監督ほど徹底して、すべての台詞と立ち位置としぐさに意味を持たせなくとも、石原監督くらいの温度感でも、じゅうぶんに少女たちの「神性」は描出できる。
昔で言うところの、大林宣彦や今関あきよしのような「少女を愛でる」視線がちゃんとうまく機能して、少女たちの「尊さ」を存分に表現し、彼女たちを「まぶしい存在」として輝かせることに成功している。
最近でいうと、この感覚は『明日ちゃんのセーラー服』(大傑作! 久しぶりでパッケージを即断で購入)で感じたものに近いが、カルピス原液のように濃密だったあれよりは若干薄味で、そのぶん一般の人でも受容可能なテイストに収まっているともいえる。
とくに印象的だったのは、鎧塚みぞれと久美子の会話(「窓を開けるのが上手なんだね」)と、音楽室での久石奏との会話。
いかにも名シーンとして特別感をもって描かれている前者以上に、僕は後者の水面下での駆け引きと精神的闘争の情報量の多さに圧倒された。
陽気で飛び跳ねるようなファイティングポーズに秘められた奏のライバル心。
それに対峙しながら、先輩として、部長として対処しようとする久美子。
いやあ、いいねえ。
あと、マリンバを運ぶつばめと久美子のシーンの間合いと空気感も完璧だった。
― ― ―
今回のユーフォの描き出した「日常劇」としての純度の高さ、真実味と、息を詰めたような親密さというのは、石原監督をはじめとするスタッフ全員の作品への共感性の高さが反映されている面が大きいと思う。
なぜなら、アニメ制作の現場もまた、いくつものアンサンブルの組み合わせで成立する、本作で描かれた吹奏楽部の相似形のような場だからだ。
気難しい職人がいて、間をとりもつ進行がいて、新人の育成があって、チームが崩壊しない程度の派閥があって……きっと、スタッフたちはものすごくリアルに、北宇治高校吹奏楽部の内実を受け止めているのではないだろうか。
アーティスティックな作業を、共同体として、アーティザンの集合体として築き上げていく。そんな、アニメ制作の楽しさと大変さ。
その苦しみと喜びを、吹奏楽部の面々と分かち合うような感覚。
しかも石原監督からすれば、この娘たちとはもう8年にも及ぶ付き合いだ。
ほとんど「実の娘」に近い感覚もあるだろう。
すべてのシーンに、監督とスタッフの温かい眼差しと全幅の共感が向けられている。
だからこそ、北宇治高校吹奏楽部は全員が、生き生きと仮想の「生」を生きられているのだ。
それと、ここ数年の京都アニメーションにとって、
「日常」こそは、本当にかけがえのないものだった。
その点は、いくら強調しても、強調しすぎることはない。
喪われた日常。
取り戻すべき日常。
悪夢のような非日常から、それでも立ち上がって、
一歩一歩「実作」の作業を地道に進めながら、
当たり前のなにげない日常に戻ることが、
いかに困難で、いかに厳しい道程だったか。
想像するだけで、泣きそうになる。吐きそうになる。
でも、石原監督ほか京アニスタッフ一同は、そんな葛藤と慟哭を露とも見せずに、この楽しくも輝かしい「少女たちの日常」をフィルムに焼き付けてくれた。
これは、京アニスタッフ自身が取り戻したかった「日常」でもあるのだ。
だからこそ、ここで描かれる「日常」は、光り輝いて見えるのだ。
なにげなさこそが、さりげなさこそが、何よりもかけがえのない宝物なのだ。
黄前久美子新部長のもと、新たに歩み始めた北宇治高校吹奏楽部。
それはそのまま、未来に向かってこれからも進んでいく、京都アニメーションという日本の誇る製作者集団の写し鏡でもある。
― ― ―
声優陣はみなさん完璧な演技ぶりで、すべてが素晴らしかった。
とくに、久美子役の黒沢ともよちゃん。圧倒的。
実は最初に頭角を現したときは、周囲の萌え演技から一人外れてリアル系の演技をやることで「戦略的に悪目立ち」してる「ちょっとずるい声優」と醒めた感覚で捉えてたこともあったんだよね。ホントに見識不足で申し訳ない。
その後、出る毎にどんどん成長して、いまは押しも押されもしないトップ声優さんに。
とにかく、感情を声に載せるのがべらぼうに上手い。
秒単位で、声が軽くなったり重くなったりというのを切り替えられる。
しかも、今回のパンフ観てたら、この子、めちゃくちゃ頭の良い人なんだなあと。
「より渋く、深く、そして左耳の奥が小さく弾けるような、静かな熱のあるドラマでした」
「なんだか、どんどん、この作品の耐久度が上がっていっている気がします。これって、たぶん“時間”ですよね。みんなで積み上げてきた時間の質量がこのドラマの耐久力をさらにさらにとあげている」
なかなか、こんなこと言えないよ?(笑)
あと、さりげに……櫻井くんが外されてなくて、本当に良かった!!(爆)
ラスト、ムーンライト・セレナーデに載せて流れる予告編。
来年公開されるらしい久美子三年生編も、本当に楽しみ。期待してます!
成長を感じられた
次作(主人公・黄前久美子の全国コンクール最終年度を描くはず)との、つなぎ的なエピソードで、久美子が部長として成長していく姿を追っていました。
シリーズを追った人向けの、ファンムービーOVAっぽかったです。
私はユーフォシリーズの「人間関係を紡いだ先に仕上がった演奏シーンによる説得力」に魅力を感じていたのだが……
前作は「北宇治を破ったライバル校の演奏」を見せず。
本作は「麗奈のチームを破った、フルートチームの演奏」をしっかり見せず。
というあたりは物足りなかった。
ただ、感情を作画・演出で描くところのレベルは、高みに登っていたように感じました。
天才型な麗奈にはできない、演奏のミスが出る後輩の「原因に気づく」のは、努力家の久美子ならではという、そのシーンの描き方は見事でした。
クラリネット四重奏は聴かせない?
面白かったです♪
物足りなさを感じしてしまうほどあっという間に終わってしまった。
その分は、来春から始まる3年生編で補うとして・・・
演奏しているシーンがあれば良かったのですが・・・
せめて、管打八重奏はあっても良かったのでは?
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