劇場公開日 2022年11月4日

「最高の143分だったな」窓辺にて まつこさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0最高の143分だったな

2022年11月5日
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時間というのは不思議なもんで、開始5分で面白くないと感じた映画の10分、30分、60分…はとても長〜く感じる。反対に、面白い映画や惹きつけられる映画というのは、5分、10分観ただけで、もう面白いし、なんなら1シーン1シーンにいとおしさすら感じるケースもあり、同時に、今後もうこのシーンを初見という状況では観れないのか…と喪失感を感じるところまで行き着いたりする。不幸な感じもするけどそれは幸せな不幸なのでご安心を…。
何が言いたいかというと、「窓辺にて」は143分ある割と長めな作品なのですが、開始5分で「こりゃ幸せな143分を過ごせるな」と確信出来ます。
むちゃくちゃ面白いし、今泉作品ならではの、愛くるしい・いとおしい・人間らしい魅力的な登場人物達ばかり出てきます。まじで最高◎

妻が浮気をしているけどそれに対して自分がショックを受けていない事に対してショックを受ける主人公。職業がライターということがきっかけで、ある文学賞の授賞式で知り合った高校生の小説家の女の子。主人公の昔からの知り合い(友達?)のまさ。主人公を取り巻く色々な立場や年齢、境遇の登場人物達が織りなす人間ドラマとラブストーリー…という内容なのかな。映画のあらすじを話すのは大の苦手なのでそこは置いておいて。
この人とこの人のやり取りから見える関係性だったり、きっかけというものがなかったら出会わなかった人と人との出会いのきっかけとか描くのうま過ぎ、面白すぎ。簡単に言えば淡々とした空気感が終始漂っている、はずなのに…このエンタメ性はなんなの。言葉で例えようのない高揚感(言葉だけど)をいつも与えてくれる今泉力哉監督。の生み出す作品。何のテンプレートにも俗さない、強いて言えば今泉力哉という、本人の実績と映画の神様が与えて作られたテンプレートを持ってるのかなあ。信者ぽくなるので監督の褒め称えもその辺にしておいて、、、。(いやでも映画って人間が作ってるものだから、良い映画や面白い映画って、作り手の人間性出るよね?という事はやはり…褒め言葉しか出てこないんよ…くう〜)

なんだろうなあ…ドラマティックじゃないのに凄くドラマティックで、かつナチュラルで、多分この世のナチュラル(私自身はナチュラルって言葉は意識が高い感じで性に合わない)(しかし憧れはある)の中でも本当に気持ちの良いナチュラルさで。それはストーリー展開も、そして我々がスクリーンで観ている間の、それ以前の登場人物達のビフォアストーリー(と言うの?)過去の歴史がちゃんとそこにあったことも、気持ちの良いナチュラルな展開や一人ひとりの濃厚なキャラクター性を創りあげてる要因なんだろうと思った。ちなみに私が何かほろほろ涙出てしまったのは、彼氏を初めて紹介する留亜のシーンと、ゆきのが過去の話をするシーン。(細かく言うとネタバレぽくなるのでおおまかに)
大感動のシーンという訳ではないのに出てくる涙って、なんか凄いね。なんで出たか分からん涙。幸せハッピーとかショック泣いちゃうみたいなシーンじゃないのにあったかい涙出させる脚本・演出・演者さんたち…素晴らしいなあ。

いつも言いたい事をまとめられない私の映画の感想はこれにて終わりますが、とにかく最高の143分を体験したい人は是非。
あとパンフの若葉竜也君のコメントは笑えたなあ。楽しい。宝物映画増えたね◎

まつこ