「「光」と「影」の生き様が、深い問いを投げかける」キングメーカー 大統領を作った男 tomatoさんの映画レビュー(感想・評価)
「光」と「影」の生き様が、深い問いを投げかける
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60年前の韓国が舞台だが、選挙戦におけるネガティブ・キャンペーンの展開や、キャスティング・ボードを握る者に対する駆け引き、あるいは選挙を巡る国民の分断等の描写は、今の時代の、どこの国にも通じるような生々しい面白さがある。
それと同時に、表舞台で光を浴びる者と、影となって彼を支える者との生き様の対比も見応えがある。
そうした権謀術数や人間模様からは、「正しい目的のためには、汚い手段を用いてもいいのか?」とか、「正義が勝つのではなく、勝ったから正義なのか?」といった深い問いかけを感じることができる。
いずれにしても、権力を手に入れるためには、裏で汚れ役に徹してくれる者の存在が極めて重要だということがよく分かる。逆に、権力者には、「この人のためなら自分は影でいい」と思わせるような「人としての器の大きさ」が必要になるのではないか?そんなことまで考えさせられた。
ところで、終盤、「影」は、自ら身を引いたということが分かるが、それが「光」を大統領にするためだったのなら、なぜ、敵陣営に寝返ったのだろうか?それとも、単に、自分が切り捨てられることを悟り、先手を打っただけなのだろうか?あるいは、目的と手段をはき違えて、自らの力を誇示したかったのだろうか?もしかしたら、自分が「光」になることがふさわしいかどうかを、確認したかったのだろうか?
と、最後の最後まで、考えさせられた映画だった。
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