「現在進行形で従者がいる僕の感想」愛してる! 侍味さんの映画レビュー(感想・評価)
現在進行形で従者がいる僕の感想
僕はかねてからSMをやってる事をここのレビューで小出しにしていたが、満を持して現代SMの映画の公開である。
SMの世界はこの数年で変容していて、今のSMは殆どが何かしらのSNSを主軸に、全国に点在するSMバーなどでの交流でコミュニティが形成されている。
SNSの影響力は大きくて、そのため間口も広くなり、多くの「新規SM層」を開拓した。
結果、SMは今や生活に溶け込み、昔の様な山小屋で監禁し、どこぞの古民家で繰り広げられる緊縛と悲鳴の空気感は薄まってきた。
今作は、今の日本の「主従関係」を牽引するアルカディアのオーナー蒼月氏がプレイ監修を行い、幾多の界隈の関係者も出演している、我々からすれば「SMアベンジャーズ」でも有る。
謎のママが連れて着るHはSMバーというよりSMクラブでは有るが、今作のあの場所は六本木にある某クラブであり、現実にはあんな大箱のSMクラブは無いのであしからず。
しかしながら、異様な世界の雰囲気はよく出ており、今作のキーマンとも言える高嶋政宏氏がSM愛好家と言うこともあり、今作の彼が劇中で演じるコメディタッチな芝居も、あれは本心であり、ほぼ素で楽しんでいる様にしか見えない。
登場するキャラクターはそれぞれが個性的であり、職業は特殊で有るものの、人間関係がSM界隈であるあるであり、冷酷なカノン様の言動は、今のマゾの理想系とも言えると思う。
その関係性に、ドキュメンタリー形式という撮影方法が最初は違和感ありながら、やがてその手法がリアルさを加味して後半のライヴ感はなかなかのもので有る。
今回、僕も従者を連れて鑑賞しに来たが、彼女も劇中2度泣いたとの事。
それ程、主従関係者の内面を描いた脚本は素晴らしく、演者の方々の体当たりの芝居も素晴らしかったと思う。
何より、カノン様の鞭捌き、官能的であり素晴らしい。
そして、高嶋政宏氏はこの映画を通して、自分がやりたい事をやり遂げた最高のマスターベーションだったのでは無いだろうか?記者会見もあれは本音では笑。
SMの世界は特殊で有るが、その世界に浸れば価値観が変わる。劇中後半はほとんど服を着ていない状態だったのに、何故かそれが普通に思えてしまい、最後のスタッフロール中の行為が逆に官能的に思えてしまう。
この映画に協力頂いた界隈の著名人に感謝しつつ、この作品を通して、より満ち足りた主従関係をできる方々が増える事を切に願う。
p.s.
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あとわかる人だけ、美女と野獣が新宿に復活するそうです。
p.s.のp.s.
高嶋政宏氏は3年前にデラックス歌舞伎町で繰り広げられていたSMイベントにもいらっしゃっており、僕の隣で緊縛ショーを楽しんでいたので本物です。