「シリーズ物の見事な終活作品」インディ・ジョーンズと運命のダイヤル かぜさんの映画レビュー(感想・評価)
シリーズ物の見事な終活作品
あっぱれハリソン・フォード!ルーカスのスターウォーズが、当初に構想した9話完結をどうにか青息吐息でゴールテーブを切ったのに比べたら見事な締めくくりである。アラエイティのハリソン・フォードが、インディをやると聞いて、正直耳を疑った。おそらく若手のニューヒーローを育てる指南役ぐらいで出てくるんだろうと思っていたが、全くのうれしい想定外。最後の最後までインディは健在だった。第1作からリアルタイムで観ている者にとっては、涙なくしては観られないのは、この作品にヒーローの老いもきちんと描かれているからだ。インディの上半身の裸体は、かつては筋骨隆々だったであろう高齢者の肉体そのものだし、カレン・アレン演じるマリオンが皺だらけの、でも円熟した初老の女性として登場する。一作目の船上のラブシーンの再現で、キスする所を指さすラストは、感動的ですらある。人間は、老いることで、確実に弱くなる、生きて来たことで心身共に傷をおっていく。でもその分、強くもなる、優しくもなる、知恵もつく。体の痛くない部分に愛を込めて接吻し、お互いを癒す術を学んで行くのだ。映画の登場人物と一緒に生き、老いて、人生を見つめる。そんな現体験が出来た。これもまた映画の醍醐味だと思う。
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