「愛すべきただのおっさん。」インディ・ジョーンズと運命のダイヤル 頼金鳥雄さんの映画レビュー(感想・評価)
愛すべきただのおっさん。
インディはスーパーヒーローだと思ってた。実際は考古学愛故のトラブルに遭いやすく、ものすごい頻度で火事場の馬鹿力を発揮する、普通のおっさんだったんだなぁ。
大切な息子を失い、妻も離れてゆき、社会的な尊敬も得られない現実。終盤、「古代のシラクサに置いていって欲しい」と力のない目で哀願するインディの気持ちはすごくよくわかりました。
「必要とされてない世界に帰っても虚しいだけだ。誰も待っていないのに」って。「それくらいなら焦がれるほど憧れた古代で死にたい」って。
だけどそこで手に汗握ってしまうのです。
そんなことダメ!
あなたをこんなところに置いてゆけない。
一緒に帰るの!
ウォンバット!頼む彼を説得して!
真剣に必死で祈っていました。
だってインディ、そんな理由で残るなんて嫌でした。
古代にインディを取られるなんて嫌でした。
まさかぶん殴って連れ帰るとは思いませんでした。笑 でもヘレナグッジョブ!心から彼女に感謝したいです。
そんな流れからのマリオン登場。涙なしには見られませんでした。「痛くないところはここ」と指さすマリオンがこの世の誰よりも、若い時の彼女よりも、ずっとずっと美しく輝いて見えました。私はインディと冒険するはずだったのに、気がついたらハンカチで嗚咽を堪えながら啜り泣きしていました。
今回もトレードマークのフェドーラ、ウィップ、革ジャンを着て頑張るインディでした。しかしバイクに乗ったり、飛行機に飛び移ったり、派手な立ち回りは相棒のヘレナが担当していました。もしシャイア・ラブーフが問題児でなかったら彼が請け負っていたかもしれないなあ。見た目と同じくらいの中身も可愛ければ良かったのに。
しかし女性の役回りはすっかり変わりましたね。もはや骸骨や暗闇如きで怯えませんし、したたかで果敢です。虫には驚いていたけど。笑 私もヘレナのように強く生きて行きたいものです。
追記
監督によるとシャイア・ラブーフが良い子だったとしても殺してたみたいです。スピリットを受け継ぐのは血統でなくても男でなくても良いのでしょう。同じものを持った人が受け継ぐのでしょう。そうして繋がってゆくのでしょう。