「スパイ映画としてのジレンマ」ミッション:インポッシブル デッドレコニング PART ONE それもどうかなあ。さんの映画レビュー(感想・評価)
スパイ映画としてのジレンマ
IMAX GTレーザーにて鑑賞。
M:Iシリーズは、第1作を劇場で観て以降、絶対に劇場鑑賞すると意気込んで、毎回公開を楽しみにしているので、本作もネタバレ情報をほとんど頭に入れる事なく鑑賞しました。
1作目ブライアン・デ・パルマ監督作とは、トーンがガラッと変わった為、若干比較が難しいものの、娯楽作として、とにかく格好良いイーサン像を造り上げたいう点も良かった2作目、その後も回を重ねるたびに右肩上がりで面白くなるという稀有なシリーズ。
前作「フォールアウト」は、自分的な最高点に達していたので、本作がそれを超えられるのか⁈ただスタッフ、キャストもほぼ続投で、初の連作という触れ込み、しかも予告編で個人的に大好きな1作目のキトリッジ再登場と分かった時点で、大いなる期待を胸に鑑賞しました。
鑑賞後の感想として、まず1番残念だったのは、イルサのあまりに呆気ない死!
「ローグネイション」で登場以来、イーサンにとって最愛の女性(ジュリア)が存在する中で、特に前作では非常にエモーシャルな複雑な関係を築いて、イーサンが愛するもう1人の女性になったイルサだったが、その退場はあまりに呆気なさ過ぎた....
演じるレベッカ・ファーガソンの商業的な理由があるのかも分かりませんが、お互いが一流スパイとして、過去2作に亘って絶妙な関係性を描いていたのに、死による呆気ない退場は残念でならない。
しかもイーサンの感傷は、一瞬のワンシーンのみ!
これは一流スパイとして、仲間の死にいちいち落ち込まない設定も必要なのでしょうが、映画的には何万人という人命と同じく、1人の命(仲間)を守るというイーサンの流儀からしても、もっと感傷に耽って、観客と同じく悲しんで欲しかった....
これはスパイ映画としてのジレンマと言えるのかもしれない。
期待のキトリッジに関しては、イーサンとの会話シーンでは、デ・パルマ風に顎下からの顔面アップ撮影で
1作目の雰囲気を醸し出すものの、1作目のような緊迫感に乏しく、改めて1作目の出来の良さを再認識する結果に...
キトリッジ再登場が単なる話題性、客寄せではなく、本連作がイーサンの過去に繋がるストーリーということなので、次作での存在感に期待したい。(母マックスと遊ぶ幼きホワイトウィドウを知っているという会話はシリーズファンとして嬉しかった。)
「ローグネイション」辺りから、超絶スタントありきのストーリーになりつつあり、超絶スタントを入れるが為にシークエンスを放り込む傾向になっているように思い、本作の目玉スタントであるバイクジャンプからのパラ降下についても、前作のパリ市内へのHALO降下と同じく、ストーリー上疑問符が付き、折角の苦労が勿体無い気がする。とはいうもののトム・クルーズの生身スタントには度肝を抜かれ、毎回期待してしまいますが...
鑑賞後の第一感想として、個人的には初めて前作を下回ってしまったが、PART TWOと併せて連作として観れば右肩上がりになることを期待したい。
どんだけ金掛けるねん!という迫力の映像、贅沢なロケーションを堪能する為にも是非劇場で鑑賞していただきたいと思います。