アンデス、ふたりぼっち

劇場公開日:

アンデス、ふたりぼっち

解説

南米ペルーのアンデス山脈を舞台に、社会から隔絶された高地にふたりきりで暮らす老夫婦の姿を描いた人間ドラマ。アンデス山脈の標高5000メートルを越える地で、都会に出た息子の帰りを待ちながら暮らす老夫婦パクシとウィルカ。アイマラ文化の伝統的な生活を送る彼らは、コカの葉を噛み、母なる大地のパチャママに日々の糧を祈る。そんなある日、飼っていた羊が狐に襲われ、さらにマッチを買いに行ったウィルカが道中で倒れてしまう。ペルー映画史上初の全編アイマラ語による長編作品として注目を集め、ペルー本国で大ヒットを記録。監督のオスカル・カタコラは第2作撮影中の2021年11月に34歳の若さで他界し、本作が長編初作品にして遺作となった。夫ウィルカを演じたのは、カタコラ監督の祖父ビセンテ・カタコラ。

2017年製作/86分/ペルー
原題:Winaypacha
配給:ブエナワイカ
劇場公開日:2022年7月30日

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(C)2017 CINE AYMARA STUDIOS.

映画レビュー

5.0文化の単位を考える

2022年8月30日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

私たちは文化を考える時、ついつい国単位で捉えがちだけど、それはずいぶん荒っぽい考え方なのだとこの映画を観て思い知らされた。この映画は、ペルーの少数民族、アイマラ族の2人の男女の生活を描いている。全編アイマラ語で演技されていて、スペイン語は一切聞こえてこない。山奥でたった2人で動物たちを飼いながら暮らしている様子をカメラは静かに写し取る。伝統を守って暮らす2人には息子がいるが、街に出たきり帰ってこない。標高5000メートルの地点で大地と共に生きるこのような文化と言語があると言うこと自体が感動的であり、世界の広さと深さに驚嘆する。
少数民族の言語は、世界的に減少しつつある。インターネットは世界の文化を近くしたが、基本は英語の世界だ。少数民族の言語のキーボード入力ができなかれば、その言語は使われにくくなる。少数言語はAI時代の機械学習の素材として不利だろう。そうなると、その分文化は消滅し、多様性が失われる。帰らない息子はきっと街で「今の生活」を満喫しているだろう。その裏では文化が消えようとしている。この映画は、その消えようとしている側に徹底的にカメラを向けている貴重な作品だ。

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杉本穂高

1.0アンデス山中で消えゆく老夫婦の退屈な話

2023年6月11日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

難しい

寝られる

私は来年、南米大陸のアンデス山脈、その村々を訪ねて見たいと思っている。それで今回、もしかしたら何かのヒントがあるかもしれないと思い、この映画を見た。
映画案内には標高5千mの高地に住む老夫婦、全編アイマラ語で語られペルー本国で大ヒット、とあった。小津安二郎を彷彿させる雄大な自然と二人だけの宇宙とも。
小津安二郎との関係性はほぼないと思うけど。

この映画がなぜペルー本国で大ヒットしたのかには興味がある。見方によっては、かなり退屈な映画です。

私が感じたのは、スペインに制服される前、さらにインカ帝国よりも前のアンデス山地にはアイマラ語を話すアイマラ族がいた。当然、前近代的だ。

この映画は見てる者を苛立たせる。それは我々が近代的な価値観やものの見方、枠組で生きているからだ。
例えば、我々の思考には時間軸が明確だ。原因と結果、知識と過去の経験則に基づく未来予測、それが映画の中の二人にはできない。全てが行き当たりバッタリで計画性がない。
例えば、羊が死んだら埋葬するのではなく食べる。そうすればリャマを殺して食べるのは避けられたはず。
マッチがなくなる前に、体力があるうちに買い置きしておくだろう。そのマッチを絶やし種火を絶やさぬ様にすることが火事に繋がった。
二人の行為の合理性のなさが見てる私を苛つかせる。つまりこの映画は近代の枠組みの外側に生きている人々を描いた作品なのだ。
近代の象徴としてのマッチ、サンダル、息子、ペルーの人々がこの映画にならかのシンバシーを感じたとしたら、自分達のDNAに受け継がれたアイマラの遺伝子とか、燃える家の十字架とかにではないか。

これは失う事、失い続ける事を描いた映画だ。希望はどこにもないし、そもそも、アイマラ語には希望という言葉も存在しないと見た。
逆にあるのは、精霊、祈り、大地、笛、踊り。挿入された音楽は皆無。風、小川のせせらぎ、業火、犬、二人のいびきと呻き、笛の音のみだ。
近代的な思考をする私にはとても退屈で何が言いたいのかよく分からなかった。しかし、八百万の神々を信仰し、自然の脅威にひれ伏し、色んなものを失い続け、それでも生きていかなくてはいけない私には、ラストのパクシは神々しく見えた。

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アツサミー

5.0人生の本質

2022年11月6日
Androidアプリから投稿

一つの文化の途絶える瞬間と、もっと本質的な人生の儚さをこれでもかと凝縮させた静かな大傑作である。

ずっとドキュメンタリーだと思っていたので、どんなカメラワークと奇跡的なアングルだよって思っていたけど、演技だったんですねー( 。゚Д゚。)

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雨の夜はヤバイゼ

2.5山や川の自然は美しい

2022年10月23日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

寝られる

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りあの