「夫の投身自殺を目の当たりにしてしまった妻ハーパー(ジェシー・バック...」MEN 同じ顔の男たち りゃんひささんの映画レビュー(感想・評価)
夫の投身自殺を目の当たりにしてしまった妻ハーパー(ジェシー・バック...
夫の投身自殺を目の当たりにしてしまった妻ハーパー(ジェシー・バックリー)。
心の傷を癒すため、英国・田舎町の郊外にある一軒家に滞在することになるのだけれど、出逢う人々は管理人のジェフリー(ロリー・キニア)のよく似た人々だった。
ジェフリーの年齢に近いひとだけでなく、少年の顔も同じように見えるのだ。
そして、庭先には、悪魔のような奇妙な彫刻のある敷石が・・・
といった内容で、ま、簡単に言うと、よくわからない映画。
でね、個人的な解釈としては、ニューロスティック+フォークロア(多分にラブクラフト的)といったところなんだけれど、あっているかどうかどうでもよろしい。
作り手もよくわからないなかで作った映画、とみると楽しめる類の映画なのよ。
さて、独自解釈なのだが、
ハーパーは夫の自殺の要因もわからず、心に傷を抱えている。
訪れた田舎町は、これが曲者で、いわゆる自然の輪廻転生の地であった・・・と解釈したい。
さらに、輪廻転生の世といっても、自然の草木が一年で生まれ変わるように、それが動物的な生殖がなくとも繁殖できる地であったとしたら・・・
人間が生まれる前の奥深い自然の地、といわけ。
雌雄がなくても子孫を残すことができる世界、そこで、そこに棲まう生き物(管理人を筆頭にした)と出逢ったなかで、夫を深く愛していたことを自覚する物語・・・
と解釈すると、まぁ、わかりやすかったかな。
岩に刻まれた悪魔じみた顔つきで女性器を持ったイコンは、人間から見た、植物的な生殖を繰り返す自然のメタファー。
よくわからないなりにも面白い類の映画として記憶しておいていい作品なのだが、ハーパーが暮らした田舎町の成り立ちなどを説明すると、東映の『〇〇村』のようになっちゃうので、それはそれで評価が落ちそう。
こういう映画は、白黒はっきりさせたい観客向きではないんだよねえ。
連想した映画は、東映の一連の『○○村』の他に、70年代前半のニューロティック映画や『ウッィッカーマン』『ザ・シャウト』、最近の作品だと『ミッドサマー』。
小説だと、ラブクラフトの初期作『ダゴン』あたりです。