劇場公開日 2022年12月9日

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「もはやスラッシャー」MEN 同じ顔の男たち 津次郎さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0もはやスラッシャー

2023年3月28日
PCから投稿

ハーパー(バックリー)は夫の自殺について良心の呵責に苛まれている。
トラウマから逃れることができず心の療養をとるため郊外へやってきた。

──という話を考えすぎにこじらせたホラー映画。
裂けや分娩の描写がもはやスプラッターだった。
もっと大人しくしておけばたぶん傑作だったw。

映画は輪廻の構造をしている。
輪廻とは「けっきょくそれは自分だった」という結末を迎える話。

強迫観念が、まがまがしい敵/怪物/魔物/襲撃者(の妄想)を創り出し、事が済んでみると、すべてじぶんが犯していた──ことを知る。
微妙に違うがアレクサンドルアジャのハイテンションみたいな仕組み。

雰囲気や話の流れがEx MachinaやAnnihilationを彷彿させアレックスガーランドの作風の一貫性を確認することができた。
が、前述のごとく完全にやり過ぎたスプラッターだった。

ジェシーバックリーと不条理のセットなのでもう終わりにしよう。(I'm Thinking of Ending Things)も思わせる映えな絵づくりだったのに、なんでフランクへネンロッターにしちまうわけ?分娩が繰り返されるところはもはや笑った。

そうは言っても、そそられる話ではあった。

ガーランドの来歴を見たらライターからはじまっていて、いい映画を書いている。28 Days Later、Sunshine、28 Weeks Later。カズオイシグロのわたしを離さないでもガーランドが映画用スクリプトを書いていた。そのあと監督としてEx Machinaでブレイク、Annihilationから今作へ至った。不条理、不安、恐怖、加虐、欺瞞、トラウマ、扇情とセクシュアリティ。そして美しいシーナリー。空気感が一律だと思う。

本作に定まった解釈が必要だとは思わない。同じ顔なのもメタファーってよりはたんに面白いからという感じではなかろうか。

しかしジェシーバックリーってなんでエキセントリックな役しか振られないんだろ?
むしろこの人でふつうの町娘が見たいわ。

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津次郎