「女の絶望、男の絶望」MEN 同じ顔の男たち summer eyesさんの映画レビュー(感想・評価)
女の絶望、男の絶望
口先だけで「愛してる」と言いながら実際は服従を求める男の実相をこれでもかと描く。田舎に行ったあと現れる同じ顔の男の「これでもか」感。チクチクと言葉で刺したり、罵ったり、素っ裸がうろついたり、タンポポの綿毛(精子の暗喩)を吹き付けたり。女は拒絶し闘う姿勢を鮮明にしていくが最後は「はいはい、もうえーわ」という感じになる。女の視点からは「結局男はみな同じ(性的欲望の捌け口)」の一言に尽きる。中身おんなじなんやから顔もおんなじでえーやろ的な。美しいはずの田舎の緑も林檎が示すように再生産される絶望のメタファだ。その女の絶望を男の監督が描いたところに男の絶望がある。グロテスクに矮小化、限定化された男像は両性の未来に希望を抱かせない。エクスマキナでもそうだったがロマンはないのだ。最後に友人?の女性が迎えに行く。しかし実はこの女性も実際はどんな人間かわからない。ピラニアのような内面を持っているかもしれない。そういう暗示があり、迎えに行く車も女が乗るにしては黒色なのだ。
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