「男なんて皆同じよ! と言う怒り」MEN 同じ顔の男たち Uさんさんの映画レビュー(感想・評価)
男なんて皆同じよ! と言う怒り
前半からずっとヨーロッパの童話や寓話を読んでいるような気がしていました。男は傲慢で身勝手である。暮らしの中では女を必要としているし、生理的に女を求めるが、深く尊敬はしていない……
◉美しい風景の中に現れる同じ顔
暗いトンネルの向こう側にもこちら側にも、褐色と緑色を基調にした景色が広がっていた。迷路のような道が抜けて行く森や、柔らかい風と光が溢れる草原がとても美しかった。ただ、長閑な牧歌的景観とは違う。人からは遠い所にある田園であり、館だと感じました。その中で男と女の対決が繰り広げられる。しかし、どちらも決して悪くない。
傷心を癒しに館に訪れた妻ハーパー(ジェシー・バックリー)の心にサワサワと忍び込む男たち。妻は改めて男への不信感に晒される。妻にはタンポポの綿毛が吹きかけられ、裸体の不審者は顔や身体から綿毛を生やす。綿毛はつまり、どこへでも飛んで行く「精子」ですね。
◉男を生むのは男
妻は夫ジェームズ(パーパ・エッシードゥ)と諍いの挙句、離婚話になってしまうのだが、まさか夫が飛び降りるとは予想外の展開。更に冷静さを失わない男の代表みたいな顔をしたジェームズが、妻をグーで殴ったのには驚いた。ここから、妻の不思議の旅が始まった。と言うか、夢の旅。あるいは神に憑かれた旅。
無表情もしくは薄ら笑いを浮かべた、同じような顔の男たちに弄ばれた妻は逃げ回るが、その果てに一つの無理矢理な答えに辿り着く。男を生むのは女じゃない。ぶちのめしたい男を生み出すのは、ぶちのめされて当然の男たちだ‼︎ 執拗に出産シーンが繰り返される。
分かった、もう分かったと観る者が辟易した頃に、夫が産み落とされる。このオチは読めましたが、ジェームズの何ともしみじみした顔。だから男は何にも理解していないのよ……と言うパーパーの心の叫びが響きました。この後、妻は夫の正体を葬ることになる。
ただし、「男」へのあからさまな嫌悪を感じ取ることはできたのですが、前段階と言うべき夫婦の亀裂、男女の断絶をもう少し観る者に突きつけて欲しかったと感じました。ハーパーの女の炎がメラメラ燃えてから童話が始まれば、そこにはきっと女性の「独善」もほの見えたのではないかと思うのです。
説明無いから?ってなるんですが
わかればめちゃくちゃシンプルな話で凄く面白いんですがA24で監督が監督なので こうなっちまうんですね!
多分心療内科系の先生や臨床心理士のアドバイザー居ますね確実に👍
コメントそして共感ありがとうございます♪
似たように言葉をタイトルに使ってすみません。
妙な映画でしたね。
おっしゃるように内容はそれほど論理的な感じはありませんでした。
この監督にあまり馴染みがなくて、寡作みたいですものね。
「ザ・ビーチ」の原作者。
調べて分かったのですが、古い映画で、ディカプリオの主演で
前評判の割に、あまりヒットしなかったような。
気持ち悪さ不気味さは同じ感じでしたね。
裸の男は、本当に笑うしかなかったですね。
今晩は。
レビュー、拝読しました。
私とはやや違った視点でのレビュー、とても面白かったです。
”そこにはきっと女性の「独善」もほの見えたのではないかと思うのです。”
このコメントは、私と同じです。私は、男性優位主義者ではありませんが、今作からはそれを感じてしまったのです。
恐ろしくも、面白き作品でありましたね。では。