劇場公開日 2022年12月9日

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「アレックス・ガーランド監督節炸裂!」MEN 同じ顔の男たち Minaさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0アレックス・ガーランド監督節炸裂!

2022年12月18日
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「エクス・マキナ」で注目され、後に手がけた作品が毎度の如く話題になる時の人、アレックス・ガーランド監督。私は彼の作品を一貫してこう見ている。

"観る芸術"

この言葉を聞いて、鑑賞を止めようと思う人もいるかも知れないが、この言葉が最も当てはまるのが彼の作品なのである。ナタリー・ポートマンを主演に迎えた「アナイアレイション-全滅領域-」も、監督の示したラストがあまりにも難解な故、配給元が劇場公開を渋るという作品になったのも有名な話?である。

本作は、「ミッドサマー」等ヒット作を産むA24製作の最新作になるのだが、本当にこういう映画が好きなんだろう。もはや確信犯だ。
邦題の"'同じ顔の男たち"という興味をそそるフレーズに惹かれてしまうが、本作のヒロインは劇中でその事に気づいたのだろうか。私は集中して観ていても主人公がそういう素振りを一切見せていない様に思えていた。劇中のワンシーンである、草原にフルチン男が立っていた時の主人公の反応と同じ位の衝撃が走ると思うのだが。それは恐らく本作の言わんとする事が自分なりに理解出来れば多少は理由が分かるはずである。少々宗教の説教臭い展開や演出を見せる本作だが、主人公と自殺した夫の関係性、時折現れる意味深な描写を注意してみるとそれ程理解に苦しむ事は無い気がする。終盤の強烈シーンが数を重ねる毎に変化していく主人公の表情には注目だ。監督自身もやはり観客にそれぞれ考えて貰いたいという様な発言(それで分かり易くしたよなどと言ったら本当に監督はイカれている)をしていたが、結末はそれぞれが思う所のある形で考えて観るのが正しいのだろうか。

映画は楽しいのが1番!という人には決して向かないが、本年度に公開された「LAMB/ラム」もそうだった様に、A24の作品が大衆向け一般映画の枠で普通に公開されているのがそもそも異質なのかも知れないとさえ感じてしまう。とにかく、冒頭から息を潜めてじっくりと鑑賞する事をおすすめする。

Mina