劇場公開日 2022年12月9日

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「男の本質への批判と心のデトックスのプロセスがうまく噛み合っていない」MEN 同じ顔の男たち tomatoさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0男の本質への批判と心のデトックスのプロセスがうまく噛み合っていない

2022年12月9日
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理想の田舎暮らしが、恐怖に塗り替えられていくサスペンス描写に引き込まれる。理屈では説明できない不条理な出来事が次から次へと起こる展開からは、片時も気を緩めることができない。
それを生み出しているのが、主人公の幻覚なのか、死んだ夫の怨霊なのか、はたまた森の精霊なのかは定かではないが、ラストの吹っ切れたような表情からは、トラウマを克服し、罪悪感から解放された主人公の心情を伺い知ることができる。
誰もが同じ顔をしていて、何度生まれ変わっても同じ顔の男たちは、「女のことを見下し、支配したがるエゴイスト」という男の本質が、皆同じで、変わることはないということの暗喩なのだろう。
ただし、彼らか引き起こす悪夢のような出来事は、主人公の抱えるトラウマとうまく結び付いておらず、特に、クライマックスの修羅場は明らかに「やり過ぎ」で、呆れ顔の主人公と同じく、恐怖を覚えるよりもシラケてしまった。
そこのところが、もう少し納得のいく形で描かれていたならば、より物語を楽しめたのではないかと残念に思った。

tomato