劇場公開日 2022年12月9日

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「同じ顔に見えるのは、主観か客観か」MEN 同じ顔の男たち TOKIESさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0同じ顔に見えるのは、主観か客観か

2022年12月9日
iPhoneアプリから投稿

『進撃の巨人』から着想を得たと言う脚本家でもあるアレックスガーランド。今回も映像美に抜かりなく、最後まで独創性のある作品に仕上がっている。

A24が好みそうな、村の男が全員同じ顔で登場するという不気味なテーマ設定で、男性社会で誰もが経験しうる女性差別やハラスメントを描いた。

旦那の自殺から、心を癒しに来たはずの主人公ハーパー。しかしそこで待っていたのは、主人公を追い詰める様々な同じ男たちだった。サイコホラーのねっとり感を保ちながら、最終的には同じ男が再生産される様をミスティックかつ、ファンタジックに締めくくる。

アダムとイブの禁断の果実や教会の葉の仮面のレリーフなど、聖書にまつわる話を盛り込んであるので、じっくりと読み解くともう一段味わい深いものになるだろう。

トンネルのシーンでは、声が反響する様が、全体を支配するサウンドとなり、強烈なインパクトを残す。神秘的かつ不気味さを演出する印象的なシーンなので注目したい。

SEで無理くりホラー感を演出しているところは強引さも感じるので、ややマイナスな印象。

TOKIES