「ハーパー」MEN 同じ顔の男たち ブレミンさんの映画レビュー(感想・評価)
ハーパー
今年最後のA24関連作品、ここまで空振り多めでしたがどうなることやら…と思っていましたが、中々の当たりを引かせていただきました、未知の体験も同時にできました。
R指定なだけに、そこそこの残虐描写はありつつも、肉体変形が凄まじかったです。連続出産、羽化しているかのように体のあらゆるところからあらゆる人々が生まれてくる様子が生々しかったです。股間から生まれてくるのは人間そのものですが、頭や背中、口から生まれた時にはクリーチャーにまみれるスクリーンに釘付けでした。腕がナイフを伝って裂かれていく様子もグログロで腕がプランプランしてんのも悍ましいです。
同じ顔の男(説明する分には便利ですが、この邦題はキライです)をロリー・キニアが演じ切っていたのもお見事でした。変わり者の管理人や生意気な子供、神父にまで幅広い"顔"がそこにありました。とにかく表情が怖いというのも表現力あってのものだと思います。ニコッと笑う瞬間も怒る瞬間もどこを切り取っても怖いそのものでした。
今作は音も怖がらせる描写として活きていて、反響する音がやまびこのようにトンネル内でこだまして、それにつられて変人がやってくるという繋がりとしても面白かったです。主人公の名前・ハーパーをこだまさせたものが予告で使われていた謎めいた音だと気づいた瞬間にはそのセンスを褒めちぎらないといけないなと思えるくらい良かったです。何かわからないけどヤバいのがいるというのを1発で分からせた後に、これでもかとその変態を近づけてくる演出もまた憎いです。
正直、話はあってないようなものに近いと思います。女性差別やったりを含めてんだろうなとは思いましたが、癒しを求めた街で自分の過ちに追いかけられるみたいな感じのホラーであり、A24らしく尖ったジャンルに特化した作品などで、ゴリゴリのきしょい描写を映像に投下しましくったクリエイター大喜び作品です。自分はそういうものが好物なので、話云々よりも楽しめました。
こういう緻密なアイデアから練り込まれる作品が日本でも多く生まれればなと思うばかりです。ハーパー…
鑑賞日 12/9
鑑賞時間 9:30〜11:20
座席 E-6