「被害者を食い物にする父娘」長崎の郵便配達 ababiさんの映画レビュー(感想・評価)
被害者を食い物にする父娘
娘イザベラが、父がかつて訪れた長崎にて、父の小説を追体験していくお話。
ずーっと芝居がかった表情でイザベラさん喋るなあ〜…と思ったら、
児童演劇の演出も手がけておられて。
そこで長崎の郵便配達のお話を取り込む為の、取材が目的だったようですね。
その父が書いた小説の中で、被爆者であるスミテルさんと家族が海水浴に行くシーンがあり、
そこで裸のスミテルさんの被曝痕を見て、娘が大泣き…という場面に、
スミテルさんの娘は「そんな出来事なかったんだけどね…」と全否定。
また、フランスのTVにスミテルさんが出演した際は、
父ピーターが本番でいきなりスミテルさんを裸にするという暴挙。
イザベラさんは、父とスミテルさんは友情を育んだというが、
友人に対して、そんな仕打ちを果たしてするものだろうか?
友人が被爆して、背中に深い傷跡が残っているのをテレビの前で晒す??
結局のところ、父ピーター・タウンゼントは、小説のネタのために被爆者に擦り寄ったにすぎず、
その娘もまた自身が演出する演劇のネタのために長崎を訪れたようにしか思えない。
本当にスミテルさんの事を思っているなら、
彼が死ぬまで訴えていた核廃絶の精神を引き継いでいるはずで、
ならば、核保有国である、自身の国(フランス)、そして父の国イギリスに対して
何かアクションを起こす必要があるはずではないか。
被害者かわいそう〜、で終わらせて、根本的なところ=自分達の責任から目を逸らそうとしているように見えた。
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