千夜、一夜のレビュー・感想・評価
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裕子はいい男が似合う
健さん、ジュリー その他共演者は必ず色気ある男性スターいわゆる男前。
そしてその男たちを虜にしてきた田中裕子。
今回はそんないい女の裕子を、千夜の苦しみを与えて30年も帰らない男の物語。
待ち続ける理由がわからなくなり本当に夫を愛しているのかさえ疑うようになったが、たった一夜の出来事で解放された妻の物語かなあ、良いストーリーでした。
もう少し日本海の厳しい海の背景を神的描写に落とし込んで欲しかった。
やはり裕子は演技力NO1❣️
待つ身と待たせる身
「夫は死んでると思ってるから、待っていられる」
このセリフが、この作品の全てでは。
田中裕子、今や、「サンダカン八番娼館 望郷」の田中絹代ですね。女優を全く感じさせないんですから。俳優の極みですね。
生き様にみる幸せの尺度
あの日から出かけたまま帰らぬ夫。
登美子は、30年ひたすら待っている。
夫は、嫌いだった実父からの救いであり心が解放される存在だった。
昔からの友人春男は、夫が蒸発して長い登美子を心配し、一緒にならないかと言い続ける。
しかし、登美子は頑なに断る。
それでも春男の母が直談判したり、仕事仲間が気をきかせ縁を繋ごうと試すが、たぶん周りが手を回す程、無理、無理、無理なのだ。
春男がなぜ夫の代わりになれないかがそこにあるような気がする。
登美子が待ち焦がれるのはただひとり。
ふらりと自由な空気でまわりとのしがらみを感じさせないあの頃の夫なのだ。
登美子は、同じように失踪した夫・田村に見切りをつけ、新たな人生をみつける覚悟をした奈美に出会う。
そして、町でたまたま見かけた田村に声をかけ話をしてみる。
田村は失踪の経緯などを説明。
そんな田村には夫を思い出させる雰囲気がちらつきなつかしい面影を見たに違いない。話をしながらどんなに心が揺れただろう。
その後、田村を連れ奈美の家に案内するのだが奈美は動揺と憤慨で田村を罵る。
その姿は、もう自分の気持ちが田村に戻らないようにする区切りの行為にみえた。
夜になり、雨の中、奈美子に追い出された田村が登美子を頼りに訪ねてくる。
ずぶ濡れの田村に白湯を渡し、夫のであろう服を貸す。
大きいと思われた夫の服がぴったりだったところあたりから、心中を察して胸がざわざわした。
夜中に隣の部屋でみえない夫と会話している登美子を目撃してしまった田中。
会話の内容はふたりがまだ若い時のようだ。
切ない孤独を自分なりに紛らわせながらぎりぎりの精神状態でずっと生きてきたのだろう。
田中は、犯した間違いがどれだけ奈美を傷つけることだったかをこのときはじめて深く理解した。
嗚咽し悔やみうなだれる田中。
ぎゅうっと離さないように抱きしめる登美子。
田中のなかで、田中を抱きしめるのは、もう夫との決別をきめてしまった妻・奈美。
そして
登美子のなかで、登美子が抱きしめるのは、いまも帰らず許せないが許したい夫。
2人は偶然にもそんな立場で出会い
そうやって今の自分の気持ちの在処をみせた。
明け方に田村がそっと出て行く音。
登美子の記憶は、あの別れの日と重なっている。
高台の家の玄関をあけ、外を眺める登美子の年老いた横顔。
それきり帰ることのない夫を『再び』待ち始めた意志のあるまなざしだ。
登美子は浜辺に来た春男の更なる告白を跳ね除ける。
それが登美子の納得の尺度。
何を信じるか、何を求めるか。
仕方ない。
登美子には待ちたい夫がいる。
今までも今も。
ダンカンが本当の漁師にしか見えない…。
しかし、田中裕子さんは素晴らしい。
なんなんだろう、この表現力は…。
演技派揃いで、現実と演技の境目がなくなってしまっている。
ダンカンさん、生まれながらの漁師じゃないですか。
しかし、田中裕子さん走りますね。まだまだ、元気でご活躍の姿を見れそうですね。
待つ時間は長い。そして、待つ人間にとっては何もできない。
勝手に失踪するのはいいが、失踪している間に人も世の中も変わってしまう。
この映画は、北朝鮮の拉致問題にはそれほど触れず、島にすむ人達の人間模様を丁寧に描いているところが素晴らしい。
また、印象に残る一本に出会えた。やはり映画は素晴らしい。
#169
そこまで誰かを愛せますか
失踪した夫を30年待つ女。
尽きるところテーマは「男と女」なのかなと。
冒頭の場面が物語っていることに観終わってそう感じました。
男はどれだけ自分が女に愛されていることを理解していたのか。
女はどれだけ愛した男のことをわかっていたのか。
男はどうして何も言わずに突然消えてしまうのか。
女はどうしていつまでも信じて待ち続けられるのか。
タイトルは「待つ女」でもなく「消えた男」でもなく「千夜、一夜」
待ち続けて過ぎていった夜はたった一度の夜で全てが埋まってしまう…ということなのか。
それとも幸せが続いた日々がたった一夜で昨日までが幻だったかのように変わってしまう…
ということなのか。
一番印象に残ったセリフ「わたし狂ってるから」
自分のこれまでの人生でそこまで誰かを愛したことなんて、
あったような無かったような…
役者がいい
ストーリーはともかく役者がいい。
尾野真千子の最後の出番と田中裕子の後半の場面は本当によかった。
失踪者を待つのは、確かにしんどいよね。
何かでバランスを保たなきゃね、というのが苦しいほどわかりました。
内なる心のタイムリープ
意外そして圧巻。
田中裕子さんは勿論なのだが、ダンカン氏がお見事でした。あのキャラクターは大っ嫌いですけどね笑
ほとんどの登場人物が何かを「待っている」物語。表向きは「失踪」に対する「喪失感」を描いている様に映るが、その実「愛」を探す物語であり「距離感」を探る物語である。私は登美子にかなりのシンパシーを覚えてしまったので、閉塞的な社会の善意の押し付けや、「不器用」では片付けられない愛の押し売りに辟易していたし、奈美の「自分の計画ばかり推進します(共有してるつもり)」も嫌悪でしかなかったが、人に寄ってはそちらに寄り添って登美子や洋司が気持ち悪く映ったりもするんだろうな、なんて思って終わった後も暫く関心しきりでございました。
イメージなものなのか年配のお客さんが多かったのだけれども、広い世代に是非とも観て頂きたいと強く思った次第です。
田中裕子
この人は改めて言うまでもなく、名優。
この映画を見ただけでも、40年以上、第一線で活躍している理由が充分わかる。
声の張りはもののけ姫の頃と変わらないし、表情の機微でその時々の心象を微細に表現する力などは男女合わせても全ての俳優さんの中で一番じゃないかと思っている。
ただ、ストーリーはいまいちかな。
失踪人(いなくなってしまった人)をキーワードにしつつ、身寄りに急に先立たれたり、認知症で自分のことを忘れられてしまったり、いくら思いを寄せても応えてもらえなかったりと、自分の存在をないがしろにするかのように置いてきぼりを食らう人々の姿を重ねていくのはいいと思う。
ただ、そんな中に漂着した脱北者は必要なのか?
なんだか、あれで拍子抜けしてしまったし、設定を佐渡島にしたのも、北による拉致という政治的要素まで絡めて話を大きくしたほうが、文化庁の文化芸術振興費補助金を受けやすいだろうというソロバン勘定まで透けて見えてしまった、というと下衆の勘繰りが過ぎるか?
愛する人への想いの濃さ、人によって様々
愛する人への想いの濃さ、人によって様々。
2人の女性、激動の昭和の女性を演じる田中裕子さん、平成の女性を演じる尾野真千子さんの2名の演技派。
前者は30年思いを馳せて前に進めない、後者は2年で整理をつける。そこの対立にどちらが正しいかはわからない。
新潟県佐渡の海岸という拉致による行方不明という悲劇の事実と絡めた物語。
「わたし、狂ってるから」
「わたし、狂ってるから」
登美子(田中裕子)のセリフ、こういう言葉をサラッと言ってのける凄み、今回も田中裕子さんは切れ味鋭く、魅力的な女性を演じています。相変わらず、「無言」の中にも多くを物語っているような印象は、特に今作を背景に「男」である自分からしたら肩身の狭い思いすら感じるほどです。
そして尾野真千子さん、この人も田中さんにも負けず劣らず、観ていていつしか「演技」を感じさせないほど自然な感情表現のボリューム調整は、そのミキシングが完璧すぎます。素晴らしい。
他の出演者にも一定の「理解」が出来る違和感のなさは、俳優の皆さんが長けていることも然ることながら、これぞキャスティングの妙だと言えるでしょう。ダンカンさん、実にハマってます。
物語はミステリーを題材にしたヒューマンドラマ。中盤以降の展開はなかなか面白く、意外性もあって前のめりに観られます。特にキーとなる小道具「カセットテープ」から、終盤に起こる登美子の「夢遊」に震えます。
星🌟の数ほど男はいる あ、失踪者だっけ
うーん😔時間がまったりと流れるなか、拉致ダの脱北者ダの日本海側独特の話が進む。プラス地方で特に問題となっている一人暮らし老人や、結婚できない人の話が重なり、地方感を醸し出しながら物語は進む。
対照的な女性二人の思いや葛藤はとても上手く表現されていたし、古風な女性像と現代的な女性像も上手く表現されていたが、結局人の価値観は十人十色と言いたかったのか、最後もよくわからない終わり方で…
重く静かにすすむストーリー
登美子にとって失踪した元夫は、初めて男であり最後の男であろう。また、逃げ出したい父の元からの解放者でもある。そしてイケメン。まさに白馬(漁船だけど)の王子。幸せの絶頂の中で忽然と姿を消す。10年やそこらじゃ忘れられないでしょう。
大都会ならまだしも、田舎じゃ人間関係も狭い。出会いとか、慕われたりとかあっても、結局は失踪した夫の影がつきまとう。切り替えスイッチないですって。
恐らく、10年20年と経ちチラシを配らなくなったあたりから静かに狂い始めてたんじゃないかな。20年といえば子供が成人する頃である。20年は失踪と言う子供と向き合い、また二人の生活を楽しむ頃に失踪と言う狂気に囚われたのかな。
表題通りなので、疲れてると寝るかもなのです。元気な時に見ましょう。
一応、趣旨は理解しなくもないのだけど…(減点対象でネタバレを含みうるので注意)。
今年301本目(合計576本目/今月(2022年10月度)15本目)。
※ 映画館トラブルで上映が3~5分遅くなっているのか、オープニングが変なところからはじまっているので、その部分は除きます(エンディングロールは正常に流れている)。
一言でいうと「雑だなぁ…」という印象です。
ストーリー的には他の方が書かれているものと同じだし(映画なのだから当たり前)、そのストーリーの趣旨も「待ち続けること」に主眼があたっているのは当然理解はできます。
一方で、このサイトや映画内でもちらっとだけ「失踪者リスト」という名称は出ますが、それが何であるのかが明示的に示されず(まぁ、大人の事情…)、さらにエンディングロールまでみると???な状態になっているので、法律系資格持ちはかなり混乱します。
というより、この映画、実はちらっとだけ「法テラス」のポスターが見えるのですが(過疎地まで弁護士をはじめとした法律の相談ができるという趣旨の「実在する」制度)、それも踏まえてみると、何がどうなっているんだろう…という気がします。
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(減点1.2/趣旨が(法律的に)理解しがたい、ぼかした結果よく分からない部分等)
・ まず、この映画には「2組のカップル」が出ます。1つ目は2年待っているという女性、もう1人は30年待っているという女性です。そして「失踪者リスト」という名称から、おそらく想定しているものは「あれなのだろう」ということは理解できても、固有名詞を出すと問題になるのか出ていない…という状況です。
一応にも「固有名詞を出していませんが、現在の日本の国交に配慮したものです」などあればまだ理解もできるのですが、それもないので、民法などを基準にしてみることしかできないのですよね…。
すると、2年帰ってこない、というだけでは裁判上の離婚を請求することはできません(民法770条)。「3年以上生存が明らかでないとき」に該当しないからです。一方、30年というのもきわめて極端ですが、裁判上の離婚は強制ではない(親族相続などは、当事者の意思が尊重されるので、悪用しない限り強制的な対応はとられない)ものの、年金関係など、他の制度と組み合わせると理解が破たんしてしまいます(なお、リアル世界では、このように「実際の参照している事件」のようなケースでは特別法があり、年金関係は別の規定が存在します)。
※ ほか「悪意の遺棄」というのもありますが、判例上「悪意の遺棄」というのは、「常時介護が必要な配偶者を放置する」といった積極的なケースが該当します(「悪意」は法律上は特殊な用法をしますが、ここでは普通の日本語の意味)。
そして前者のほう…は「裁判上の離婚」をへて(この部分は明示的に発言がある)、新しい再出発をしている(映画内では再婚しているっぽい?まだ準備中?)のですが、もとの裁判上の離婚が成立しない以上、再婚が成立するかも微妙です(裁判上の離婚は、協議離婚における「条件を満たしていないものは受理してはいけないが、誤って受理したものは有効として扱う」(765条)の規定を準用していないため(771条))。
※ 765条(誤った受理の禁止、誤った受理の有効性)を裁判上離婚で準用していないのは、「裁判所は間違った処理をしない」という前提があるから。
すると特にこちらの新カップルは法律上非常に怪しい状況になってしまい(法の想定する範囲を超越してしまう)、どうするんだろう…というところです(どうにもこうにも、こういう事例がリアルで存在しないので、どうなるのか謎)。親族相続というものに無効・取り消しというものはなじまないためです(さらに法律関係をややこしくしてしまう)。
※ なお、結婚離婚その他関係なく、すべてに適用される「失踪者」の扱いは、7年(普通失踪)か、1年(船舶の沈没、戦地に赴いたものなど、特別失踪)です(民法30条)。
※ 「船舶の沈没」は、そもそも日本でできた最初の民法から存在するように、当時は船舶や飛行機がそこそこ沈没していた(同様に「戦地に赴く」など、今だとちょっとあり得ないような規定も存在する)ように、「文言通りには読まない」(この「不審船」が「船」だからといって適用はされない。そうだとすると、連れ去り方法が何であるかによって普通失踪か特別失踪かが変わるという珍妙な状況になるため)のです。
・ 映画内では明示的に名称こそ出ないものの、この映画でいう「失踪者リスト」という名称や、「不審船」などが想定する国が何であるのかは明らかです。にもかかわらず、エンディングロールで「韓国語指導・だれそれ」というのはどうなのか…(朝鮮語(便宜上の名称。ここでは韓国に接する「北側の国」を指す))というところです(ある程度韓国映画をみていれば、韓国語と「その国の言語」に差異があることは常識扱いのため)。
まさか「韓国からの失踪者」というように見るのは無理があるし…。
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佐渡へ佐渡へと草木もなびく。佐渡は来よいか住み良いか
その島を初めて訪れた作家が、
その大きさに驚き、小説に書き残している。
作家の名前は『太宰治』、
小説のタイトルは〔佐渡〕。
まぁ無理もない。
東京23区よりもなお大きい面積の島が
日本海にぽっかりと浮いているのだから。
古くは『順徳天皇』や『世阿弥』『日蓮』が流され、
江戸時代は幕府の屋台骨を支える黄金の産出地として栄え、
最近では天然記念物である朱鷺の最後の生息地となり、
今では世界遺産への登録を目指す。
が、一方で、『曽我ひとみ』さんの北朝鮮への拉致で知れ渡った通り、
浜辺で遅くまで独りで遊んでいると攫われるぞ、と
親から戒められたとの話を、島の出身者からは聞く。
拉致問題が耳目を集める以前から、
実は島民にとっては、人が居なくなってしまう事件は身近にあったのだ。
ただ、これは〔砂の女(1964年)〕でもいみじくも語られている通り、
今でも年間に八万人ほどの人が全国で行方不明者として警察に届けられと言う。
申請があるだけでもこの数なのだから、実体は更に多いことは論を待たず。
姿を消す理由は様々だろう。
先に挙げた映画のように、囚われ、しかし魅入られてしまうこともあるのかもしれない。
『登美子(田中裕子)』の夫が忽然と姿を消してから、もう三十年も経つ。
最初の二十年はチラシを配り周囲に協力も呼びかけたが、
今ではそれも沙汰止み。
彼は拉致に遭ったのか、それとも、元々遠洋漁業の船員だった気風が蘇えり、
世界の港を風来坊のように旅しているのか、
それとも不慮の事故で既に鬼籍に入っているのか。
何れも定かではないものの、
歳を経るにつれ、夫の顔や声の記憶も朧げになりつつあるのは確か。
しかし思い起こされるのは「ちょっと出かけて来る」との最後の言葉。
再婚の話も持ち込まれはするものの、
頑として独り身を貫き、
何かが起こるのを、ただ漫然と待ち続けている。
一方で、やはり二年前に夫の『洋司(安藤政信)』が失踪した
『奈美(尾野真千子)』が現れ協力を依頼する。
それが『登美子』の日常に変化を及ぼすものの、
凝り固まった心は、なかなかに解れることはない。
しかし、所用で出かけた新潟市内で、ある事件が起き、
それは彼女の気持ちを大きく揺さぶる。
コトの是非を論じるのであれば、
明らかにふぃと姿を消した方に非があり、責め立てされるのは当然。
のっぴきならない理由があったとしても、
何らかのサインは示すべきだろう、
勿論、突然に攫われてしまうとの緊急時は別として。
残された側の不安は如何ばかりか。
劇中でもそれは、幾度となく触れられる。
他人は確かに心底気遣っているのだろうが、
心細さは当人にしか判らぬもの。
たまさか同じ立場になってしまい、
気持ちが通じ合う場面もありするのだが、
それとて完全に一つになったとは言えず。
『登美子』の複雑な家庭事情や、
そのために男性不信になってしまった過去は語られるものの、
夫の『諭』についてはぼうとして、
キャラクターを構成できる情報すら見る側に与えられないのは特徴的。
我々は、彼女の心中のやり場の無い気持ちだけを
ただひたすらに共有させられる。
エンドロールが流れる段になっても、
事態は蝸牛の歩みほどにも進展しない。
更に孤独を託ち、理不尽さに戸惑う
主人公だけがぽつねんと取り残される。
田中裕子の名演?怪演?
佐渡島の港町で、登美子(田中裕子)は30年前に突然姿を消した夫の帰りを待ち続けていた。漁師の春男(ダンカン)は小さい頃から彼女に思いを寄せているが、彼女が春男の気持ちに応えることはなかった。そんな登美子を、2年前に失踪した夫・洋司(安藤政信)を捜す奈美(尾野真知子)が訪ねて来た。奈美は自分の中で折り合いをつけ、次に進むため、洋司がいなくなった理由を知りたいと言った。ある日、登美子が義理の母の葬儀に船で渡った先(新潟?)の街中で偶然洋司に似た人を見かけて、声を掛けると本人だった。さてどうなる、春男と登美子は?てな話。
日本全国で年間8万人も失踪者がいるなら、警察にいなくなったと届け出てもほとんど相手にされないだろうなぁ、と思った。幼児ならともかく、大人の場合、洋司のようなケースもあるわけで、
とにかく登美子の頑なな失踪夫への思いが病的に感じた。それを演じる田中裕子の怪演も見所。
ただし、夫の父(義父)役の平泉成と田中裕子の年齢差が11歳だからか、親子?、って感じた。もっと平泉成を老けたメイクにするとか田中裕子をもっと若くメイクするとかビジュアルの工夫が欲しかった。
奈美の次を探す行動はもっともだと思ったし、登美子との違いを描く事で登美子の一途な思いを深めたのかな。
人生一度きりなんだから、登美子も次に進めなかったのかな、と思った。子供でもいれば違ったかもしれないけど。
熱く静かに待つ
待つという部分に''超''焦点を当てた映画
一人一人の待つ思いと強さとこだわりを感じさせられた。失踪した方も色んな理由あり。言葉には出さない・出せない部分は他方からは真実は分からない。理由を知りたくとも失踪したままでは分からない。戻ってきて理由を知ったところでお互い幸にも不幸にもなるだろう。
話は静かに地味に進んでゆく。これが長く待つ側の深い感情を表しているように思う。
失踪者
佐渡ヶ島を舞台に、失踪者とその家族や周囲の人々の姿を描いた作品。
夫が失踪してから30年もの間その帰りを待ち続ける登美子のもとを、2年前に夫が失踪した奈美が訪れる。彼女は、登美子の経験を踏まえ、夫の捜索に協力してほしいと訴える。
30年も夫の帰りを待つ女と、2年間で耐えられなくなった女。この対比がうまい。そしてずっと登美子に思いを寄せる男、さらには戻ってきた男を配する。それぞれの心理描写が丁寧で、淡々とした映画だが飽きることはなかった。
全52件中、21~40件目を表示