「余韻の波にのまれてます」千夜、一夜 hkr21さんの映画レビュー(感想・評価)
余韻の波にのまれてます
田中裕子さんに痺れました。
尾野さんの演じた田村奈美が旦那さんを待たなかったのも、
彼女の旦那さんが逃げたくなったのも解る気がしたのだけど、
それに反して、若松登美子の旦那さんが出ていった理由が判らないから、
もう彼女に感情移入しまくってしまって、辛かったなー。
刺激のない海辺の町で、
わたしもきっと、彼女と同じように待ってしまいそうな気もする…
辛抱強いのか意地なのか…
いや、違う。
カセットテープの二人は、あんなに幸せそうなのだもの。
ふたりの想い出が、最初の愛し合うシーンとカセットテープの声だけという、この演出は、
視聴者に幸せな二人をインプットさせる効果が絶妙でズルイ。
あの想い出だけで、待ち続けながら生きていけるのかも知れないって思ってしまった。
それだけ、本当に本当に大好きなのだもの。
大好きなままだもの。
帰ってこない理由も帰ってくる理由もないのかも知れないけど、
それなら嫌いになる理由も、またない理由もないのだと思う。
本当にどこかの海辺の町に、
今も待ち続ける若松登美子がいるような気がするぐらい、
田中裕子さんが自然過ぎてすごかった。
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