ヴィレッジのレビュー・感想・評価
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キラキラした地方復興の裏
地方創生の難しさというか、過疎化が各地で進む日本ならではの物語だなと思った。産廃処理の補助金頼みで運営されている自治体、その誘致も運営もきれいごとでルール通りにやっているだけではままならない。村を守りたいという意志はウソではないが、守るためにたくさんのウソが必要になる。村のPR事業に駆り出されることになった主人公も、ウソが必要である現実にのみ込まれていく。表向きのキラキラ感との現実のギャップがすごい。
主演の横浜流星がすごくいい。前半のにごった目つきから、生き生きとしてくる中盤への変化、そして転落しかける終盤へと変わりっぷりが上手い。彼を始め役者がみなよかった。特に奥平大兼の捨てられた子犬のような青年役がはまっている。一ノ瀬ワタルの迫力は特筆すべきものがある。ちょっと他の俳優には出せない味がある。
村の閉塞社会は、息苦しいが、その中で守られてきた美しい伝統もまた存在したいたりすること描かれているのも良い。社会全体が下降している日本の現実の一端に確実に触れた作品だと思う。
藤井道人監督、期待値の高さゆえの
観始めて早々に、これは同じ藤井道人監督の「デイアンドナイト」(2019)とよく似た話ではないかと感じ、その感覚はずっと続いた。地方の閉鎖的なコミュニティー、地元の権力者(組織)の不正と抗って自殺した父親、主人公が巻き込まれていく昼の表向きの仕事と夜の裏稼業、内に募らせた恨みや怒りを外からのプレッシャーによりついに爆発させる主人公。
生前の河村光庸プロデューサーから与えられた「お面をかぶった人々の行列」「能」というお題を取り入れて、狭い村ならでは同調圧力や因習を強調してはいるものの、「デイアンドナイト」と「ヴィレッジ」は同工異曲と言えるだろう。
河村氏が立ち上げたスターサンズが制作と配給に名を連ねた作品でもあり、藤井監督とスターサンズのタッグでは「新聞記者」(2019)が高く評価された。スターサンズは「パンケーキを毒見する」や「妖怪の孫」といった当代の政権や権力者を批評するドキュメンタリー映画も手がけるなど、今の日本では本当に希少で貴重な存在だ。
そんな藤井監督とスターサンズの最新のタッグということで、当然期待値も高かったが、先述のように既視感のあるストーリーが惜しい。社会派のスタンスは評価するが、もっと新しいものを見せてほしかったというか。ついでに書くと、「宮本から君へ」(これも河村プロデュース、スターサンズ制作)に出ていた屈強でこわもてのラガーマン役の一ノ瀬ワタルが本作にも出演しており、「宮本から君へ」を鑑賞済みの人なら彼の役に“嫌な予感”を抱くだろうが、やはり予想通りの展開に。この点も既視感を強める要素になっている。
それから、作中に登場する能の演目「邯鄲」(かんたん)で語られる「平民から栄華を極めて五十年、と思ったらほんのひとときの夢だった」という話と、横浜流星が演じる優の浮沈との呼応もやや表層的。人生とはしょせん儚い夢なのか、というテーマをさらに深掘りしてほしかった。
ある意味ありきたりな内容でもあり、だけど恐ろしい。。。結局誰も報わ...
ある意味ありきたりな内容でもあり、だけど恐ろしい。。。結局誰も報われなかった。
母親や村長の息子には腹立ちながら見てましたが、横浜流星演じる主人公も同じ感情で見てた。殺人犯の父親と母親の事をじっと耐えて背負って‥もどかしさとか苛立ちとかこちらの感情も複雑に動かされた。
村長は根っからの人でなしでしたねw
でも何故村長のところだったんだろうと。みさきの罪を被るために警察に行くと思っていたので不思議でした。でも最後はある意味壮大な復讐だったように感じた。
最後まで救えなかった中村獅童は悔しかっただろう。
あの、もうすぐ抜け出せるバイトの子は報われてほしかったですね‥。弟は村を出たのだろうか。
閉鎖的な村で風習等に縛られ生きていくってこういう事でもあるのかなと。
村に限らず色んなしがらみや家族関係、完全には逃れられないこともあるし、それによって自分の人生歩めない場合もあるけど。
ズシッと思い内容でした。
前半は横浜流星演じる煮え切らない主人公にとにかくイライラさせられる...
前半は横浜流星演じる煮え切らない主人公にとにかくイライラさせられる。
小さい声でボソボソ話し、いじめられて言いたいことも言えずにイジイジしている。
後半は生まれ変わったかのようにキャラ変するのが一つの見どころ。
閉鎖的な村での息苦しい生活。
早く村から出て行きたいと考える若者たちの姿が全てを物語る。
黒木華が村のマドンナ的な存在であることが何ともリアルだ。
小さい村の小さいなりの苦悩
<映画のことば>
子供の頃、この風景が怖かった。
全員が同じ表情で、同じところに向うの。
何の疑問も抱(いだ)かずに。
不自然で、この世の世界じゃないみたい。
小さな村落であるが故に、村民同士の結びつきも強く、一筋縄ではいかないことも少なくはないのでしょう。
そして、その「同調圧」も、半端ではないことでしょう。
個々の村民の本心とは別に、それが本作の「能面」につながってくるのかも知れません。
前傾の映画のことばは、そんな意味だったかも知れないと思います。評論子は。
そのことを浮き彫りにする優と美咲の姿は、一編のドラマとして仕上がって、充分な良作だったと思います。評論子は。
(追記)
そして、小さな村落ではあっても、浮世の風は吹いてくるようで、人間関係のさざ波も立てば、事件も起こる。
そして、小さな村落であるが故に、それらを飲み込むキャパシティも決して大きくはなく、その都度、その都度、翻弄される―。
清濁併せ呑むようなスタンスで、その波風に立ち向かう大橋村長の演技も、際立っていたと思います。
<映画のことば>
ぜんぶ美咲が一人でやった。それで終わり。な?
…あとは俺が何とかする。二人で、この村を立て直そう。
(追記)
人が日常で暮らしている限り、ごみの排出は避けて通ることのできない問題です。ごみの処理の問題は。
(ごみという概念は、人間が地球上に存在するようになって生まれたものであって、自然界にごみというものは存在しなかったと言われますし、家庭から排出されるごみは消費文化のバロメーターとなるという研究もあります。)
そこで、くだんの霞門村は、廃棄物の受入れと処理に起死回生の「夢」を託したーざっくり言えば、そういうことなのだろうと思います。評論子は。
そういえば、別作品『海炭市叙景』でも、かつては基幹産業の地位を占めていた「海」=造船産業、「炭」=石炭産業の斜陽化から、大型ショッピングセンターの開発に乗り出した海炭市当局の政策転換に翻弄される市民の姿が描かれていたようにも記憶します。
実際、「将来的には消滅の可能のある自治体」などが発表されると、正直、心中穏やかでは、ありませんし、評論子としても。
まして、そういわれる自治体が、たくさんある都道府県に住まう者としては。
それだけに、観光開発に乗り出したりする自治体もなくはないことも理解ができないわけではないのですけれども、その、いわば反面として、多額の投資に失敗して、2006年には、計算上の「返済可能額」の8倍を超える借金を抱えて財政破綻した市町村も出てきてしまったりしているのもまた事実です(毎年、国際的な映画祭を開催していた、映画ファンには「お馴染み」の市町村でもありますけれども)。
反面、そういうリスクも冒(おか)しながら、小さな村落は頑張っていると言えます。
小さい村でも…否、小さい村であるからこそ、それなりに。
その点、廃棄物ビジネスに村の命運を賭けること自体を、のっけから「邯鄲の夢」と決めつけるかのような印象も与えかねない本作のエピグラフは、いかがなのもでしょうか。
その点は、少しく、気になってしまいました。
本作を観終わって。評論子は。
(追記)
不法投棄やら、暴力団員の暗躍やら、その業界には「さもありなん」というダークな面ばかりが、本作では描かれてはいるのですけれども。
しかし、今の実際の廃棄物業界に少しでも取材してもらえれば、そういうことは、いわば「過去の遺物」で、今は業界を挙げて適正処理、そしてその適正な処理を可能とするような適正な処理料金の設定(業務の適正化と、適正な業務を継続可能とするような正当な利潤の確保)に努力されていることは、すぐにも分かることですし、もちろん、廃棄物処理業者の免許基準も、暴力団などの反社会的勢力を閉め出すこととしているところです。
そして、人が日常で暮らしている限り、ごみの排出は避けて通ることのできない問題であることは上に触れたとおりで、その意味では、この業界は社会的には欠くことのできない産業であることには、多言を要しないと思います。
ひところの廃棄物業界には、必ずしも社会的に適正ではない面があったことは否定はできないのではありますけれども。
しかし今になっても、そのイメージに引っ張られて…否、そのイメージだけに乗っかってしまって、ずいぶんとステレオタイプ的な視点から本作は製作されているといったら、それは、映画の評としても「厳しすぎる過ぎる」との批判があるでしょうか。
(確かに映画は製作陣の「知的創造の産物」で、必ずしも常に現実とイコールでなければならないものではないことは、百も承知、二百も合点はしているのでは、ありますけれども。)
当該の業界の人が本作を観たら、けっして良い気持ちはしないだろうとも思います。
その点は、残念というほか、ないかとも思います。
横浜流星さんが素晴らしい!
藤井監督作品が好きで、また横浜流星さんのファンなので、暗く重い内容だが何度か観ている。
横浜流星さんの新たな一面、素晴らしい演技、お顔の美しさが印象的。やはり魅力的な俳優だと感じた。
周りを固める個性的な実力派キャスト陣も良かった。黒木華さん、古田新太さん、西田尚美さん、中村獅童さんなど。
ディープな衝撃作だ。
ネット掲示板でも書けるような二番煎じの作品
最後まで見たけど、なんか某ネット掲示板の偏見みたいな文章ネタとマスコミの取材ネタと某電波系アングラ作品みたいな二番煎じの作品をその場凌ぎで混ぜ合わせた映画でした。
マスコミネタを真実のように吹聴しながら、「実際に必ずあるんだよ!間違いない!」とマスコミの二番煎じを映画に仕立て上げてる。
映画制作の資金提供をしたスポンサーのせいで、投げやりな映画にしてしまってる。
出演してる役者の無駄遣いもあるけど、役者の演技がいい加減で無理してる所が目立ってしまってる。
手厳しい評価しただけで陰∅ャ呼ばわりか∅ー牛呼ばわりって、軽々しく決めつけないでほしいと思います。
シナリオ通り、まさに「ごみ漁り映画」です。
良くも悪くも村に吸い取られ積み上げてきた何か
2023年劇場鑑賞28本目 良作 64点
藤井道人ファンとして期待の作品
結論、ファンとしてハードルが高かったのはあるし、それを度外視にしても、期待はずれかなぁ、残念
ストーリーの随所に感じる、こうなるんだろうなが全部セオリーすぎるのが、ハマらない人にはハマらないのだろうけど、個人的には別にそこはそーゆー監督だし特別マイナスには感じなかったけど、、、
なんというか、伝えたいことの核心が朧げで深く印象に残らなかった
一部では能面がいらない等あり、個人的にもその意味合いやシーンが無駄だったり、中途半端だとういのはわかるけど、要はそこに住む村の住人が何か問題を抱えたり、はみ出したりしない様にいい顔してやり過ごす、平穏を保つみたいな、そこに住む個人と集団での顔のギャップをテーマとして描きたく、それに古くの文化として顔を隠して踊るこれを採用したのだけど、何かグッとこない
ヤクザと家族が大好きで、新聞記者も当時から評価は落としたものの好きで、余命10年は嫌いな当方ですが、今作は正直監督の底を知れちゃった気もします
というのも、ファン以外がよく口にするのは絵や撮り方が綺麗だったり匠なのはこだわり伝わるけど、キャラクターの設定や演出、展開やセリフが古典的で普遍的で面白みがなかったり、薄っぺらいという意見が散見しますが、それもよくわかるし、ファンは賛否を許容した上で好んで観てるので、問題ではないのだけど、今作は確か監督交代があったりと聞いたので、ちゃんと正面でぶつけられなかった印象があります
若い監督なので、わたくしの鑑賞の眼と共に成長していきたい人ではあります
お面
映画全体で何度も展開があり、飽きずに見れた。
良い時、悪い時、良い時、悪い時、、、繰り返されていく。そしてあのラストは切ない。
ずっとお面を被って生きていくしかなかったユウには、やりきれなさしかない。あの幸せな時間は夢でしかなったなんて信じたくない。
閉鎖感のある村の悪いところを全部つぎ込んだような
致命的に悪いことをしてきた訳でもないのに、村の悪い部分(集大成と言っても良い)のせいでここまで堕ちることが出来るんだと言う映画でしたね。
仕事が限られている、悪い事でも稼いでいる。
臭いものに蓋をする、親も堕ちている、権力者が暴走してる。
かなり堕ちるので何か刺さるモノはあると思います。
能もテーマの一つでしたが、狂言で何を言っているのか解らなかったので、そこはモヤモヤしました(不気味さが伝われば良いと言う事なら納得ですが)
美しい地方の日向と陰
地域格差による皺寄せで、地方に押し付けられてしまう産廃や原発。そしてそれに当然のように関わる反社組織。この国のあちこちで起きている問題を題材にした骨太の作品。
闇で踏みつけられながら生きてきた主人公が、あるきっかけで光(表面)側に身を置く立場になっていく様を演じている横浜流星の演技は鬼気迫るものがあった。
完璧なキャスティング。全ての出演者の演技が素晴らしかった。
能の面に塞がれた感情が一辺に溢れ出たとき!! 蘇る悪夢と消し去りたい過去が混じり合う作品
美しい村の風景に相応しくない産業廃棄物
ゴミの不法投棄され、埋立地となった場所。
母親のギャンブルにより、借金を抱えて
孤独に生きる優くん、横浜流星さんを
悲しい気持ちで見ていました。
やりたくない仕事をしなければいけない境遇
村おこしとの名目で、マスコミの取材
小学生の案内人、説明をしていた優くんを
妬みのような感情で見ていた透くんが
何となく美咲を乱暴しそうな予感がしていました。
抜け出したくても、村から抜け出すことの
出来ない呪縛を感じました。
優くんの父親が10年前に起こした事件!
自分に都合の悪いことは、無かったことに
しようとした大橋に、人間の非道さがありました。
屋敷に放たれた火、亡くなっていく人間は
能面の顔のように冷たく、乏しい表情に
見えました。
カエルの子はカエル
閉鎖された村の諸々‥はよくあるテーマだが、それをゴミ処理場、産業廃棄物、不法投棄などの社会問題が併さっているのは斬新。それにしても彼は救われないですな。そんなに人って変わるもんでしょうか。村長のとこもそうだし、なんていうか、やっぱ育ってきた環境って大事ですね。
これが村か?
藤井道人監督と言う事で期待し過ぎたのかもしれない。
村と言う閉鎖的な環境の社会問題をあぶり出すのかと思ったけど、これは都会で暮らしてる人の村の悪いイメージでしかないのかなと思った。
ゴミ処理場を作った事で起こる大気汚染やら水質汚染の
問題に若者が苦しむ展開かと思ったら、
家族や仕事場の権力者に苦しむ主人公に
都会が舞台でも同じような事が出来たんじゃないかと
思いました。
能の件も話にあまり関わりがなかったように思う。
昔は優秀だった主人公を見せるためのものだったのか?
「新聞記者」をや張り手思い浮かべてしまうので、
見方を間違えてしまったかな…
横浜流星くんのラストカットは「悪魔を見た」の
イ・ビョンホンを彷彿とさせました。
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