「少々物足りない」ヴィレッジ 月桂樹さんの映画レビュー(感想・評価)
少々物足りない
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主人公の優の運命を能となぞらえて表現したのは、作品に重厚感を与え効果的な演出だったと思う。
一ノ瀬ワタルさん演じる村長の息子がほんっとうに忌々しいイヤな奴だったが、視聴者にこれだけ嫌悪感を抱かせるほど役にハマっていたということだろう。また古田新太さんの殺された時のあの顔面は!(笑)最優秀助演男優賞ものだと思った。
しかし話自体は何か物足りない。優の人生の好転がまだ中途半端な成功のうちにすぐ暗転してしまったからだろう。結果スケール感が小さくなり後半の盛り上がりに欠けた。横浜流星さんも頑張って演じていたと思うが、もう少し表現力が欲しかったように感じる。
木野花さん演じる寝たきりの村長の母の存在は、あの閉鎖された村の長年蓄積されてきた悪しき澱の象徴のように感じた。その汚れを物言えぬ身で一身に受け持っていた。あの彼女のラストの死は、村の再生を予感されるものではある。
しかし主人公の優に救いがなかったのは残念だった。
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