「逃れられない運命」ヴィレッジ 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)
逃れられない運命
4月21日公開の「ヴィレッジ」が6月16日からNetflixで世界配信になりました。
(興行収入が2億円ほどで振るわなかったそうです)
観ました。
娯楽性は殆どありません。
「能」の舞台や舞(まい)、
薪能(たきぎのう・・・夜に薪をたいて野外で能を行う)
能面の行列、
伝統芸能の美しさ、
謡曲の調べも聴き惚れました。
(外国人視聴者には、新鮮に映りそう)
内容は暗いです。
片山優(横浜流星)の父親は、かもん村のゴミ処理場の建設反対派で、
賛成派の住民を殺して、自らは家ごと火をつけて自殺した。
優は犯罪者の子と罵られ、母親は酒とギャンブルに溺れて
多額の借金がある。
能の演目に「邯鄲(かんたん)」があるそうです。
意味は、
「栄華を極めたと思っても、ほんのひとときの夢」
優にも栄華の時が、訪れるのです。
幼馴染の美咲(黒木華)との、肩の荷を下ろす憩いの時。
もちろん長続きせずに、悲劇が・・・
横浜流星の演技のギャップが、驚くほどでした。
血走った眼と鬱屈を抱えた前屈みの無口な男。
美咲の愛で見違えるように闊達に話す好青年に。
大した役者です。
目の演技に惹きつけられる。
山の上に聳えるゴミ処理場。
かもん村の厄災の根源にもなるその施設。
利権と悪の温床。
村の利益のためなら交付金詐欺的裏仕事も厭わない村長。
黒木華が透(一ノ瀬ワタル)に襲われるシーン。
透はオートロックもない家にずかずか上がり込む・・
田舎ならではの怖さ。
一ノ瀬のニヤケ笑いが心底怖い。
「サンクチュアリ聖域」でブレークを果たした一ノ瀬は、
ある意味で流星より悪目立ちをした。
ここでも血生臭い殺人事件。
100キロもある大男をどうやって移動する?
そして更なる惨劇。
まるで、金閣寺炎上のように燃え盛る金色。
逃れられない運命の果てには破滅しかなかった。
ムラ意識、因襲、閉塞感、
かもん村が日本の縮図だとしたら・・・
暗澹とした気持ちで見終えました。
こんばんは。
横浜さんは惹きつける目で魅せますねー。怒りにも安らぎにも華があるというか。
そして一ノ瀬さんの迫る感じ…ただただこわかった😱
もちろん、おばあさんの勘のさえわたったあの表情も😱
共感有り難うございます。
そうですね。横浜流星の前屈みの姿から日々、立ちのぼる鬱屈を見るために、私たちはこの作品を観たとしてもよいぐらいですね。
それから、私は美咲の部屋に鍵が掛かっていなかったことに気づかなかったです!