「一炊之夢」ヴィレッジ いぱねまさんの映画レビュー(感想・評価)
一炊之夢
救われない話は大変好物である ハッピーエンドは確かに幸福感と腑に陥るカタルシスを得る麻薬だが、劇場が明るくなり、スクリーンが真っ黒になった途端にその魔法は溶け、現実が自分に襲いかかる 粟ご飯が炊かれる間の夢だ 逆の意味で自分よりも不幸な世界観の中からの目覚めであっても、その厳しさとは異質な現実が待機されていることでの減退感に苛まれるのも同じかも知れないが・・・
ただ、本作、自分の中で辻褄が合わない些末な筋があり、どうにも心に引っかかる事があった 主人公は小さい頃に能を習っていた件があり、そもそも父親が能楽に覚えがある人なのだろうから、ヒロインの教えを聞くまでも無く、知識は色々知っている筈だと想像出来るのだが、ストーリー中では、まるで記憶が消えてしまったかのような能に関する無知識振りが描かれる 能面等小さい頃からその小道具には親しみがあるだろうに あの劣悪な環境の中で忘却していたとしても、小さい頃に仲が良かったヒロインとの再会で記憶が蘇るという想像は自分の勝手な解釈だろうか? アラ探しは決して褒められるものではないし、そもそも映画はフィクションなのだから、作り手の都合が優先することには受容すべきである なのでこの部分の勝手な解釈は、あの小さい頃の写真に収まっていたり、ビデオ内で舞う男の子はヒロインの弟なのではないだろうか?と 男女の子供が戯れるソフトフォーカスシーンは主人公とヒロインなのだろうと・・・ 疑問点は尽きない本作の構造(余りにも近しい親類内での事件に於ける登場人物達の関係性の希薄さ等々)、なかなか飲み込みづらい展開は否めない
但し、そんな中に於いてキラリと光る登場人物は、主人公を痛めつける村の若い衆の頭(村長の息子)役俳優の哀愁を帯びた演技である 嫉妬の表情迄はそれ程注目になかったが、やはりあの暴行未遂シーンでの、細心な演技や、施される演出の妙は、型どおりの流れ(女性に対してのひっぱたき等、手を出す事)ではなく、体格の威圧感だけで所謂"○付けプ○ス"的な印象を与えるあの流れは、リアリティとしての画作りを作劇している白眉であった "大男に抑え付けられる=社会からの抗えないプレッシャー"は、多々ある今作内のメタファーの中でも最も輝いているシーンであったと感嘆する その後に続く主人公への嫉妬を爆発させた暴力シーンを含めたあのシーンクエンスは演じた俳優が誇っても良い演技であり、認められて然るべき力である
フォローありがとうございます。
私は、主人公が父の事件以来、過去を封印して生きて来たのを感じていた美咲が、彼の心を再び開かせるために初心からやり直そうという気持ちを込めた説明の仕方をあえてしたのかなと思いました。透役の一ノ瀬さん、嫌な感じが上手でしたね。幼い頃からの憧れの美咲の帰郷で浮かれている様子や彼女の気持ちが主人公に向いてるのを嫉妬し、邪魔したい様子など悶々として危険な雰囲気が怖い😱くらいリアルでした。
返信お気遣いありがとうございました。おっしゃるとおり、暴力息子、実は深いかもですねぇ。ただ深すぎてよくわからなかったですねぇ。女性を手篭めにするなら、横浜流星と深い仲になる前に 父親のもみ消すパワーに頼って、速攻手籠にすればイイのに【犯罪ですけど】。そこらへんがもしかしたらポイントかもですね!深い洞察力でご覧いただきありがとうございます😊おっしゃるような女性の視点で描いても良かったカモですが やはり 暴力息子🆚弱々しい横浜流星さん→さらに弱々しい恋人の弟の青年 から感じ取れ ということですかねぇ。すみません支離滅裂で。失礼します。
コメントありがとうございます。
なるほど、確かにその解釈なら既出の情報で筋が通りますね。
透役の演技に関しても、仰る通り。
暴力的なクズというだけでなく「ただ主人公が羨ましかった」という哀切が感じられました。