劇場公開日 2023年4月21日

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「一体、何が描きたかったのだろう?」ヴィレッジ tomatoさんの映画レビュー(感想・評価)

2.0一体、何が描きたかったのだろう?

2023年4月21日
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題名から、日本の「村社会」の閉鎖性や排他性が描かれるのかと思ったが、そうでもない。
美しい村落の上にそびえる巨大な施設の絵柄から、ゴミ処理場でも誘致しなければ存続できない過疎地の窮状を訴え、その社会構造を批判するのかとも思ったが、それもない。
職場でのイジメや不法投棄も、それにまつわる癒着や隠蔽も、決して「田舎」特有の問題ではない。
ジャイアンが大人になったような村長の息子の失踪が、物語の大きなポイントになるが、彼がどうなったのか、どういう結末になるのかが容易に想像できてしまい、ミステリーとしてもインパクトがない。
そもそも、あんなところに、携帯と一緒に埋めるなんて、間が抜けているにもほどがあるだろう。
その一方で、いじめっ子の彼がいなくなっただけで、すべてが好転し、主人公や恋人だけでなく、村全体が幸せになったかのように描かれることにも違和感がある。だったら、最初から彼がいなかったら、何の問題も起こらない幸せな村だったのだろうか?彼だけが、諸悪の根源だったのだろうか?
いかにも意味ありげに出てくる「能」も、「人生は夢の如し」という言葉も、最後まで物語に活かされず、一体何だったのだろうという疑問が残る。
主人公の罪が、その父親の罪と重なり合うラストも、親子の「業」は繰り返されるということを言いたいのであれば、まったく納得することができない。
主人公に共感も同情もすることができず、観終わった後には、後味の悪さだけが残った。

tomato
tomatoさんのコメント
2023年4月24日

せっかく題材として「ムラ」を取り上げながら、それが何も活かされなかったのは残念としか言いようがありません。

tomato
トミーさんのコメント
2023年4月23日

作り手は「活劇」の舞台としてだけで「ムラ」を使った印象でした。

トミー
tomatoさんのコメント
2023年4月21日

コメント、ありがとうございます。
おっしゃる通り、劇場を後にするときの足取りが重たかったです。

tomato
大吉さんのコメント
2023年4月21日

同じように思いました。なんて言ったらいいのか。観て良かったとは思えない作品でした。

大吉