「一体、何が描きたかったのだろう?」ヴィレッジ tomatoさんの映画レビュー(感想・評価)
一体、何が描きたかったのだろう?
題名から、日本の「村社会」の閉鎖性や排他性が描かれるのかと思ったが、そうでもない。
美しい村落の上にそびえる巨大な施設の絵柄から、ゴミ処理場でも誘致しなければ存続できない過疎地の窮状を訴え、その社会構造を批判するのかとも思ったが、それもない。
職場でのイジメや不法投棄も、それにまつわる癒着や隠蔽も、決して「田舎」特有の問題ではない。
ジャイアンが大人になったような村長の息子の失踪が、物語の大きなポイントになるが、彼がどうなったのか、どういう結末になるのかが容易に想像できてしまい、ミステリーとしてもインパクトがない。
そもそも、あんなところに、携帯と一緒に埋めるなんて、間が抜けているにもほどがあるだろう。
その一方で、いじめっ子の彼がいなくなっただけで、すべてが好転し、主人公や恋人だけでなく、村全体が幸せになったかのように描かれることにも違和感がある。だったら、最初から彼がいなかったら、何の問題も起こらない幸せな村だったのだろうか?彼だけが、諸悪の根源だったのだろうか?
いかにも意味ありげに出てくる「能」も、「人生は夢の如し」という言葉も、最後まで物語に活かされず、一体何だったのだろうという疑問が残る。
主人公の罪が、その父親の罪と重なり合うラストも、親子の「業」は繰り返されるということを言いたいのであれば、まったく納得することができない。
主人公に共感も同情もすることができず、観終わった後には、後味の悪さだけが残った。
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