とら男

劇場公開日:

とら男

解説

刑事歴30数年の元刑事が本人役として主演を務め、かつて自身が捜査にあたった未解決事件の真相に迫る、セミドキュメンタリータッチの異色ミステリー。

1992年に起きた金沢女性スイミングコーチ殺人事件。担当刑事のとら男は犯人の目星をつけながらも逮捕に至ることができず、未解決事件のまま2007年に時効が成立した。15年後、警察を退職したとら男は事件のことが忘れられないまま孤独に暮らしていた。ある日、とら男は東京から植物調査に来た女子大生・かや子と偶然出会う。とら男の話に興味を持った彼女は、当時の事件について調査をスタートさせる。現実とフィクションの二重構造によって、闇に葬られた事件の謎と真実を世間に問うていく。

とら男役を元・石川県警特捜刑事の西村虎男、かや子役を「海辺の映画館 キネマの玉手箱」の加藤才紀子がそれぞれ演じる。監督は「堕ちる」の村山和也。

2021年製作/98分/日本
配給:「とら男」製作委員会

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(C)「とら男」製作委員会

映画レビュー

4.0ドラマ+ドキュメンタリー+本人主演=とにかく新感覚

2022年9月15日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 1992年9月30日、殺害推定時刻19時45分。遺体が発見されたのは金沢市三十刈。その頃医療関係の仕事をしていた私kossyは、隣町くの医院にて院長と1時間以上話し込んでいた。現場近くにいたので、いつ自分のところに事情聴取が来るかとヒヤヒヤしていた。結果・・・全く来なかった。まぁ、建物内にいたから何の目撃も出来ませんでしたがね・・・でも、近くで殺人事件が起こっていただなんて信じられないほどでした。

 映画は、事実を基にした新しいスタイルであるドラマドキュメンタリー(そんな言葉ある?)。とにかく本人役で出演している西村虎男さんの眼孔の深さだとか、70歳くらいの彼の皺から滲み出る経験値。金沢弁丸出しのひと言ひと言に重みがあった。また、警察用語の「帳場」だとか、調査方針などの詳細は興味深かった。

 東京の女子大生・梶かや子が生きた化石メタセコイアに興味を持ち、卒論のテーマに選び、研究のため金沢を訪れる。あるおでん屋でとら男と出会い、未解決事件に興味を持つ・・・といったドラマ仕立て。そこで西村虎男の実家に帳場を立て、市内の人たちにインタビューを始めるのだ。いわば時効警察?

 最初宿泊していたのがホテルシャンテ。それってラブホでは?などと、懐かしくもあり、そこから金沢へと向かうだが、メタセコイア並木道があるのは金沢市太陽が丘。『冬のソナタ』の有名スポットそっくりになるので、秋にはソレ目的で訪れる人も多い。何だか金沢観光映画のようでもあるけど、観光スポットは特に出てこなかった。スーパーのひまわりチェーンが結構雰囲気良かったなぁ。

 犯人の目星はついている!などと、真相に迫るような描写もありましたが、結局は警察組織の矛盾もあり、担当を外されたとら男が嘆くように呟く。その点で、実際の元刑事(?)の言葉で「真犯人は自責の念にかられながら一生を終えるがよい」と言ったことも印象に残る。犯人はまだのうのうと生きている!殺人罪の時効は迎えたが、刑事の執念、そして虚しさを感じざるを得ない。そんな映画でした。

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kossy

5.0映画史に残る試み

2022年9月12日
Androidアプリから投稿

2022年劇場鑑賞209本目。
クリント・イーストウッド監督の「15時17分、パリ行き」は事件に遭遇した人たちが本人役を演じて当時の事件を再現する、という実験的な作品でした。しかし、これはあくまで自分たちが経験したことをなぞるだけなので素人でもそれなりの演技ができていたと思います。
しかし、この「とら男」という映画は金沢スイミングスクールコーチ殺人事件という実際の未解決事件をその時捜査していた元刑事を東京から来た女子大生と再捜査する、という「設定」で主演にした、前代未聞の映画です。
自分が生粋の金沢生まれ金沢育ちということで事件が単純に気になったことと、演技素人の刑事がどんな演技するのか興味本位で観に行きました。
いやぁ、すごいですね、とら男さん。台詞回しもちゃんと棒読みではないですし、ちゃんと表情の演技もばっちりです。特に女子大生と会った最初は優しい目をしていたのに、初めて事件の事について再始動するぞ、という時急に目つきが変わる所とかプロ顔負けだと思いました。

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ガゾーサ

4.030年前の未解決殺人事件を追う映画に当時の担当刑事が主演し、当時近所に住んでいた少年が監督した異端作...  "調べても意味が無い"に抗い続ける映画

2022年8月19日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 今から30年前に発生し、2007年に公訴時効が成立した実在の未解決事件である金沢・女性スイミングコーチ殺人事件を題材に、なんと非俳優の当時の担当刑事が主演し、事件現状近くで幼少期を過ごした監督が撮り上げたセミドキュメンタリーという異端作…。
 その根底に警察組織の縦割り社会と無謬性への強い抗議があるため、警察内部での物語とは成り得ず、一人の女子大生の卒論研究という体裁を取ってはいますが、それゆえに単なる内部告発ではなく、周縁に忌避されて忘れ去られた事物に敢えて踏み込むことへの倫理を問う作品にもなっていると感じました。
 一人の誠実で愚直とも言える熱意を持った元警察官の生き様が彼の険しい表情に現れており、それが映像ディレクター出身の監督の示した画角で有無を言わせぬ圧力になっていたように思います。
 事件のルポとしては些か中途半端だったかもしれませんが、間違いなく執念は感じられる作品でした。

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O次郎(平日はサラリーマン、休日はアマチュア劇団員)

1.5私のこれ何なの?!

2022年8月16日
PCから投稿

とらおが真犯人の目星はついてるのにも関わらず、自分は延々と無駄な聞き込みとかさせられてたわけですから、女主人公がそう思うのは当然ですよね
女主人公と同時に、意味のない当てずっぽうな聞き込みシーンとか、DNA鑑定の取材とか、観客も無駄なものを1時間ぐらい鑑賞させられてるんですよね
……私の一時間もなんなの?!

マジで時間と金返せよ、って思いました

インディーズ映画にしては良い切り口の企画だと思って観に来ましたが、構成がクソすぎてムリです
大前提の事件の説明が足りないし、なぜ未解決になったか? なぜとらおだけは真犯人にたどり着けたのか?
その辺が全部ルーズすぎて人から金取るレベルの物語になってません
脚本書いた監督がバカだからハードルが下がった杜撰な物語にしかならないわけです
おかげで女主人公もとらおもバカな言動しか出来ません
頭が良いと未解決になるわけないし、真犯人に辿り着けてしまうから、偏差値30ぐらいの問題が解けずに悩んでいる偏差値27ぐらいの登場人物の行動を1時間半も見せられ続けるわけです
おかげでこっちはずっとイライラさせられます

あと、女主人公が教授にメタセコイアの研究したいと言い出したときに「やり尽くした分野でもう新しい発見ないからダメ」つて断られるシーンがありましたが、それでいうとこの映画自体が新しい発見が無いから作ってはダメなはずではないですか?
新しい発見が無い論文を書いてはダメなように、新しいものを生み出していない映画も存在してはダメなはずですよね?
この場合、未解決事件を生んだことを悔いている元刑事のドキュメンタリーを撮っていたら、なんと真犯人が見つかってしまった! けど時効だから捕まえられない
が唯一のゴールだったと思います
これ、テレビで流す予定のドキュメンタリーなら編成部にお蔵入りさせられるレベルで発見ゼロですよ

まぁ、自分に甘い監督は仕方ないですが、この映画に出資してる人がいること、これを流す劇場があることに驚きますね
芸術っぽく振る舞えば許されるものでもないです
未解決事件を扱っていても新発見が無いんだから、まったく存在価値のない映画です
最高に見かけ倒しのハッタリ映画でした

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東鳩