天間荘の三姉妹 : 特集
【号泣率100%主題歌が話題】もう会えない“あなた”に
会いたい――人生と重なり、涙があふれる感動作の魅力
とは? 映画感想TikToker・しんのすけが超解説
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胸の奥底から感動があふれ出すような映画だ。のん、門脇麦、大島優子が三姉妹を演じる「天間荘の三姉妹」が、10月28日から公開される。
物語の舞台は、天界と地上の間にある街・三ツ瀬。死去した人たちや、死と生の間をさまよう人たちが過ごしている。そこへ1人の少女がやってきて、腹違いの姉2人と出会うのだが……。
ストーリーもさることながら、「号泣率100%」と話題の主題歌(玉置浩二×絢香)の魅力もすさまじい。この記事では、TikTokで人気を博す“しんのすけ”による感想と、映画.com編集部による見どころ解説・レビューを掲載。
「次にどんな映画を観ようかな?」。そんなふうに探している人は、ぜひ参考にしてもらえればと思う。
【人気TikTokerしんのすけの感想】
「全貌が明らかになったとき僕は泣いてしまいました」
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まずはTikTokフォロワー66万人を誇るしんのすけが、わかりやすく本作の魅力を語っていく。
【見どころ】もし“あの人”に会えたら何を伝えますか?
この秋、最高級の感動と涙を届ける“超大作”が堂々完成
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「天間荘の三姉妹」の見どころを、映画.com編集部が別角度からご紹介。あらすじ、感動的なテーマ、豪華キャスト、日本を代表するスタッフ、そして主題歌の5つにわけて語っていく。
●あらすじ:ここは天界と地上の間にある街 少女はそこで“家族と初対面”する
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物語の舞台は、天界と地上の間にある街・三ツ瀬。美しい海を見下ろす山の上に、老舗旅館「天間荘」がある。そこで暮らすのは、若女将の天間のぞみ(大島優子)、のぞみの妹でイルカのトレーナー・かなえ(門脇麦)、ふたりの母で、逃げた父をいまだに恨む大女将の恵子(寺島しのぶ)。
ある日、小川たまえ(のん)が、謎の女性・イズコ(柴咲コウ)に連れられて天間荘にやってくる。たまえは、のぞみとかなえの腹違いの妹で、現世では天涯孤独の身。交通事故にあい臨死状態に陥ったのだった。
イズコはたまえに、「天間荘で魂の疲れを癒して、肉体に戻るか、そのまま天界へ旅立つのか決めたらいいわ」と伝える。しかし、たまえは天間荘に客として泊まるのではなく、働かせてほしいと申し出る。
●テーマ:もう会えないあなたに会いたい もっと一緒にいたかった――
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この街はなぜ存在し、なぜ人々の魂が暮らしているのだろうか? その背景にあるのは、瞬時に多くの人の命を奪った、2011年のあの大災害――。重大な秘密を抱えた街で、たまえはさまざまなことを経験し、人々の思いを知り、そして成長していく。
もう会えないあなたに会いたい。もっと一緒にいたかった。もっと、もっと……。大きすぎる悲しみに、人はどう向き合えばいいのだろうか? 本作が語りかけるメッセージに耳を傾ければ、きっとあなたの人生と重なり、胸の奥から“想い”があふれ出す。
●豪華キャスト:のん×門脇麦×大島優子、さらに高良健吾に永瀬正敏に寺島しのぶに…
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多くの作品に主演してきた“主役級”の俳優たちが、次々に登場することも本作の魅力。メインとなるのは、のん(「この世界の片隅に」「さかなのこ」など)、門脇麦(「あのこは貴族」など)、大島優子(「紙の月」など)と、この時点で非常に魅力的なキャスティングだ。
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さらにそこへ、「きみはいい子」などの高良健吾、「あちらにいる鬼」などの寺島しのぶが登場。さらにさらに山谷花純、萩原利久、平山浩行、柳葉敏郎、中村雅俊、三田佳子、永瀬正敏、柴咲コウも……。あまりに豪華な共演に酔いしれること間違いなし。
また、カメオ出演にも“まさか”が隠されているので、画面の端々をチェックしてみてほしい。
●日本を代表するスタッフ陣:北村龍平監督×「この世界の片隅に」プロデューサー
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監督は「あずみ」「ゴジラ FINAL WARS」「ルパン三世」など話題作を手がけ、現在はハリウッドを拠点とする北村龍平。そして原作は、「スカイハイ」「JUMBO MAX」などで知られる漫画家・髙橋ツトム氏による同名コミック。20年来の盟友である北村監督&髙橋氏の絆が、このヒューマンファンタジーにさらなる力を与える。
さらに、プロデューサーには「この世界の片隅に」の真木太郎。戦時下に「人が生きること」の強さと美しさを描き出した同作を大ヒットに導いた真木が、「大切な人を亡くした方々が今生きておられることに、精一杯の拍手を贈りたい」「ひとりひとりが “次の一歩” を踏み出す勇気をもらえる映画にしたい」との思いを貫き、「天間荘の三姉妹」実写化を実現させた。
●号泣率100%の主題歌:玉置浩二×絢香、究極のユニットが映画館全体を震わせる
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本編の感動を、信じられないほどパワフルなエネルギーで後押しするのが、この主題歌「Beautiful World」だ。
日本トップクラスの歌唱力を誇る玉置浩二と絢香がコラボレーション。玉置が作曲、絢香が作詞し、本作の世界観をストレートに表現した。アコースティックの優しい音色に、2人の力強くも温かい歌声が響くバラードに仕上がっている。
以下の予告編に歌の一部が収録されているので、なにはともあれ、一度聞いてみることをおすすめする。きっと、予告編だけでグッと感動するはずだ。
【レビュー】編集部も実際に観て、確かめてみた
魔法のような映像美に感服、主題歌は本当に凄まじい…
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最後に、映画.com編集部が実際に鑑賞した感想をお伝えし、特集記事を締めくくろう。泣けると評判だった本作。結論から先に言うと、しっかり涙があふれ出したし、本記事の内容に少しでもピンときたのならば、ぜひ観ることをおすすめする。
●「泣ける」と評判 → 実際に観ても、やっぱり「泣けてきた」
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事前に「最高の涙と感動を届ける超大作」と聞いていたので、仕事柄どうしても「本当に泣けるのか?」と身構えつつ鑑賞した。
すると「大切な人の死を通じて、今ある生を全力で生きることの大切さを説く」という物語展開に、やはり涙を禁じ得なかった。細かい状況は違えど、大なり小なり自分の人生とリンクすることが多く、自然と映画に感情移入していったのだ。
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この街に来る人はみんな、一筋縄ではいかない過去を背負っている。貧さから逃れるため必死に生きたが、晩年は家族も視力も失ってしまった老女。イラストレーターとして脚光を浴びるも、盗作疑惑により挫折した少女。そして、天涯孤独の末に交通事故にあった主人公・たまえ……。
彼女らの魂が決断を下すとき、論理も理性も飛び越えて、筆者の感情は最高潮に達した。
●キャスト陣の好演が胸に沁みる… 大島優子ら“姉妹”の自然な会話に注目
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自然で素朴で、だからこそスッと染み入ってきて「ひたすら良い」と心地よくなる芝居も、とても印象に残った。
大島優子と門脇麦がこたつに入ってビールを飲みながら(もう寝る直前だからほぼすっぴんみたいに)、ああだこうだ駄弁っている。そんな日常描写が、ずっと観ていられる。
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のんもひたむきな好演を見せる。たまえと、腹違いの姉2人。感動の再会を果たすも、やはり最初は気まずかった関係が、旅館で働き心を通わせるうちに雪解けし、最後には何ものにも代えがたい絆になっていく。そんな過程が丹念に表現されるし、役柄とのん自身の真っ直ぐさが混ざり合い、単なるフィクションの枠を超えて筆者の心を熱くさせた。
●“天界と地上の間”の表現が至高… 昼と夕方の中間のような映像美
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「現世とあの世の間にある街」を、視覚的に表現した映像美もお見事だった。どこか現世感のないルック、儚げなライティング。昼間と夕方の中間のような絶妙な光加減が、全編にわたって続く。
明け方と日没の前後の“マジックアワー”で主に撮影された「レヴェナント 蘇えりし者」を彷彿させる映像美だったが、これが実現できるか否かで、作品への評価は全く変わるといっても過言ではない。街へのリアリティがセリフや設定だけでなく、目でも感じられることで、物語と登場人物にさらに深く感情移入していって仕方なかった。
●主題歌が凄まじすぎる… エンドロールでさらに涙腺崩壊、極上の鑑賞後感に
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本編にじ~んと感動していると、エンドロールに破壊的な衝撃が待っている。玉置浩二と絢香による主題歌「Beautiful World」が鳴り響き、高ぶった感情をさらなる高みへと連れ出してくれたから驚いた。
“日本で最も歌がうまい”とも言われる玉置と、彼に負けず劣らず素晴らしい絢香の歌声が、耳を通じて全身に活力を与えてくれる。そして劇中の名セリフが、自然と頭のなかでリフレインしていきた。
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のん扮するたまえが、「生きることは大変だけど、世界はそんなに悪くない」とほほ笑む。これらのセリフが脳内に駆け巡り、「Beautiful World」が交錯しもう涙腺は崩壊、目ではなく心が涙を流すのを感じるほど感動した。
“号泣率100%主題歌”との惹句に偽りはない。映画館で本作を鑑賞する際は、ハンカチやティッシュなどを忘れずに。きっと、心地よい気分で劇場を後にできるはずだ。
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