天間荘の三姉妹のレビュー・感想・評価
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のんに圧倒される
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事故で生死をさまよい中ののんの魂が、天間荘へ来る。
そこでしばらく生活する間に、蘇生するか死ぬかの選択ができる。
そこには腹違いの姉である大島と門脇、その母の寺島がいた。
先に答えを書くと、天間荘のある町は死人だけが住む町だった。
津波で大勢が死に、天国との間に一時的にできた町だった。
住人は大島ら以外、自分が死んだことに明確には気付いてない。
のんはタダ飯は悪いからと、そこで仲居として働き始める。
そして同じ半死半生の意地悪婆やヤンキー女と仲良くなる。
その2人は最初は仲が悪かったが、
選択から逃げてる自分と向き合い、共にに蘇生する道を選ぶ。
やがて寺島が終わりにしようと言い出し、のん以外みんな成仏。
のんは、寺島や姉らの思いを背負って生きる決意を固める。
で蘇生し、記憶は残ったままだったんで2人に会いに行く。
天間荘の時、姉の影響でイルカショーのトレーナーを頑張った。
その時は成功できなかったが、現生でショーを成功させる。
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のんって超久々に見た。あまちゃん以来とちゃうのかな。
異常に天真爛漫ゆえ、扱いにくい人達の心も開かせられる。
そういう役って何かわざとしかったり、反感持たれたりしそう。
でもこの人がやると自然で、何か納得できるから不思議。
演技とは言え、その一途さや一生懸命さに涙腺崩壊されっ放し。
改めて、すごい女優やなって思ったわ。
他の配役もみな素晴らしく、キャストの演技も素晴らしかった。
どの登場人物にも感情移入できて、ホーム感みたいなものがあった。
三田佳子もやっぱり大した女優やなあ。この人も超久々に見たわ。
最初はサングラスで顔を隠してたが、雰囲気と声で分かった。
こんなに久々に見るのに分かってしまう存在感はやっぱりスゴい。
あと寺島しのぶも素晴らしくハマってたなあ。
最初は自分勝手で言葉遣いも荒い、ガラの悪い印象、
そのうち心根の優しさや真剣さが表面化する難しい役柄やったが。
ワガママだったり、嘘つきだったり、人を傷つけてしまったり、
人間ってろくでもない部分を持った生き物ではあるけど、
でもみんな本当は自分と向き合って真摯に生きていたい。
人々のそんな本音が、一途に生きてるのんに引き出される。
そんな感じのいい映画やったな。あっという間やった。
願い
途中からこの天間荘や周りの人はどんな人たち
なんだろうと思った。
現世と来世の中間地点みたいな位置。
その中でも生きている人とそうでない人?
もしかして、この人数だと?
海辺の閑散とした風景からも。
高良健吾が生きて?いる世界と
高良健吾の写真に手を合わせる父がいる世界。
やはり地震や津波の映像。
もしあの日のことが無かったら、
天間荘や周りの人々の存在は無くて
どんなストーリーになるのかと思った。
あの日突然奪われた命の魂の叫びを伝えたかったのか。
その魂からの信望でたまえは生きようと思えたのか。
かなえの水族館でイルカの調教をする、とたまえが思いついたのもわからない。
ただ、死者の伝えられなかった気持ちを生きている者に伝えるというのは、身近な者を亡くした者にとっては垂涎の願いだろう。
こうあって欲しいな、と思わせる作品。
皆々の望みを叶え賜え
何の情報も入れないで見たら…
海辺の町の老舗旅館。若女将として切り盛りする長女・大島優子と自由気ままに生きる次女・門脇麦の元に、腹違いの妹・のんが現れて…。
三姉妹や周囲の人々が織り成すハートフルな感動作。『海街diary』のような。
監督は北村龍平。アクションが多いこの人が感動作を…? そんな驚きもあるが、
実は本作、『スカイハイ』のスピンオフ。その昔、劇場版かTVシリーズを一話か二話見た事あるくらいだが、一応漠然とは設定は知っていたつもり。釈由美子の決め台詞「おいきなさい」は詳しくなくとも。
開幕早々、“この世”ではない設定は語られる。
のん演じる腹違いの妹は現世では生死の境を彷徨っている。
そんな人たちが訪れ留まる“天間荘”。ここは、現世とあの世の境の場所。現世に戻り人生を続けるか、天に行き生まれ変わるか、自分で選択する。
人の生死について問うヒューマン・ファンタジー。何にせよ、北村龍平がこの手のジャンルを手掛けた事はやはり驚き。
是枝裕和監督の作品で死んだ人の魂が留まる場所と人々を描いた『ワンダフルライフ』があったが、あちらのような何処か不思議な世界観ではなく、こちらもファンタジーではあるが、作風は完全ヒューマン・ドラマ。より等身大や身近に感じる。
旅館の雰囲気や過ごし方や仕事。まるでご当地お宿探訪ムービーみたい。素直に泊まってみてぇ…。こんな美人三姉妹も居る事だし。
客として留まるのではなく、働きを申し出る妹のたまえ。性格はとにかく明るくピュアでポジティブ。彼女自身の選択と成長の物語であるが、彼女のひたむきさが周囲の人々をも変えていく。あんなたまえの屈託のない笑顔を向けられたら。天賦の魅力。それは演じたのんにも言える。天賦の才。
長女ののぞみ。若女将として奮闘するも、まだまだ未熟者で、ある客に底の浅さを見抜かれる。真面目な性格故度々それが裏目に出る事も…。大島優子が好演。
旅館の仕事は長女に任せっきり。水族館でイルカの調教師として働く次女・かなえ。性格は自由奔放。漁師の青年・一馬と恋仲。自然体の門脇麦。
三人が織り成す姉妹愛の物語でもあり、家族の物語。
旅館の大女将の母・恵子。裏切った元夫を未だ許せず、元夫がよその女に産ませたたまえに当たりが強い。かと言って、実の娘たちにもガミガミガミガミ嫌みがうるさい。口も態度も性格も悪い。が、厳しくも一本筋が通っている所も。寺島しのぶが巧演。
姉妹喧嘩、親子喧嘩はしょっちゅう。結構キツイ事も言い合う。が、一晩明けたら…。皆で食べるオムレツの美味しそうな事。
三姉妹は父が同じで母親違い。その父親は…? 実は意外な近くに。
終盤はこの父親も含めて。確執や本音をぶつけ合って。
他人には分からない色々あったかもしれないが、何だかんだ最終的にはいい家族。特に現世で独りぼっちだったたまえにとっては。
お客様と、町の人たち。
長らく宿に留まる老女。頑固で扱いづらい性格だったが…。
見た目も言動も破天荒の若い女性。現世では人気のイラストレーターだったが…。
各々に訳ありの人生。
天間荘ではお客様にこれまでの人生が見える“走馬灯”を見せる。
後悔のない人生だったか、最低な人生だったか…? もしあなただったら、自分の人生を見る勇気がありますか…?
それは選択のきっかけにもなる。現世に戻るか、生まれ変わるか。
生まれ変わるからと言って、それは自分の人生からの逃げじゃない。文字通りの再出発。
いい事なんて一つも無かった人生に戻る。ここで得た事…美しいものを見る、初めての友達、それが出来たんだから現世に戻ってもきっと出来る。
老女役で三田佳子が存在感。
かなえの恋人に高良健吾、旅館の板前長に中村雅俊、現世のある男に柳葉敏郎…豪華なキャスト。
中でも案内人のイズコ。柴咲コウがミステリアスでクールな役柄でハマり役。あの名台詞も。
欲を言えば、釈由美子のSP出演もあったら…。
ここで、家族や多くの人たちと触れ合って、居場所を見つけるたまえ。
旅館の仕事に奮闘し、かなえに習ってイルカの調教も。
ずっとここで皆と暮らしたい…。
が、それは叶わぬ事。たまえもいずれは選択し旅立たねばならないが、たまえや客たちと姉や町の人たちとは事情が違う…。
姉や町の人たちは普通にここに暮らしているようだが、彼らもまた。が、たまえたちのように選択は出来ない。行く先は天に召されるだけ。まだそれが出来ずここに留まっている。何故なら彼らは…
あの日あの惨劇で、町もろとも一瞬にして命を奪われた。
原作者の高橋ツトムが本作を描くきっかけになったのは、東日本大震災。
突然、多くの人たちが命を失った。その魂を悼む。
命ある者、残された者。彼らの分まで、思いを胸に。
やり直せる者。ここでの出会い、触れ合い、癒しを胸に、新たな美しい人生を開く。
皆の望みを叶え賜え。
偶然にもスピリチュアルな作品を続けて見たが、本作が一番良かった。
北村龍平は怪獣王をとんだ駄作にして劇中の寺島しのぶよろしく許せないでいたが、少し救われた。
美しき世界・・・鎮魂とありがとう
気持ちいい楽しい美しい映画でした。
私的にはそんなに泣かず、むしろ楽しい面白いとの感想です。
泣けたのはラストの曲です、
玉置浩二の声を聴いた瞬間泣きました。
絢香の歌詞と玉置浩二の曲そして2人のハーモニー。
めちゃめちゃ琴線に触れました。
【ストーリー】
震災で亡くなった人が多く住む三ツ瀬の町。
そこに建つ由緒ある旅館「天間荘」の大女将(寺島しのぶ)と
娘ねがい(大島優子)その妹のかなえ(門脇麦)の家族、
そこに父親違いのたまえ(のん)が加わります。
天間荘は天空と地上を繋ぐ宿。
たまえは臨死状態で天に昇るか地上へ戻るかを天間荘で決めるために
来たのです。
原作は高橋ツトムの「スカイハイ」のスピンオフで「天間荘の三姉妹」
高橋さんは描き初めから“のん“をイメージして書いたそうです。
天海と地上を行き来するタクシーがあって、
運転手は訳あり(大きなマスクとサングラスに運転帽)
案内人はイズコ(何処?)は柴咲コウ。
「お生きなさい」「お行きなさい」の決め台詞も聞けました。
運転手さんの正体はバレバレなのですが・・・
《実はねがい・かなえ・たまえの父親(永瀬正敏)》
この映画は実は3・11の震災で「サヨナラ」も「ありがとう」も
交わせずに亡くなった多くの方々への「鎮魂の想い」が込められて
いるのです。
でもけっして重苦しくなく、
三ツ瀬の町が、天間荘のような場所が実際にあって、
今一度、別れた愛する人々とお別れが言えて、安堵して成仏して貰えたら
どんなにいいだろう・・・そんな願いが叶う・・・
(と言ったら言い過ぎですが、・・・)
ロケ地のどれもが美しくて、
港は・・・静岡県稲取港
………………稲取展望テラスからの眺めは本当に美しい。
三ツ瀬の町・・・震災前の宮城県女川に似ている伊豆半島がロケ地
水族館・・下田海中水族館
イルカの奇跡のラストシーンの撮影は、
…………………仙台市の「仙台うみの杜水族」だそうです。
天間荘は小樽の鰊御殿(にしんごてん)、銀鱗荘が使用されました。
撮影が素晴らしかったですねー。
イルカのタクトくんもいい働きしてましたね。
最後に、
“のん“は「あまちゃん」のイメージそのままにピュアですね。
東北と海と魚には縁が深いようで・・・
年齢不詳、性別不詳(?)の謎の美女・・・
とっても存在感があり大物ぶりに嬉しい限りです。
思っていたのとは違った
ストーリーについて予備知識なしで鑑賞。
ライトなコメディものかと思っていたが、実はかなり重たいテーマ。柴崎コウさんが出ていることもあり、「黄泉がえり」を思い出させますね。
また「さかなのこ」要素もたっぷり。
説明不足のところがあるものの、最後に救いがあってとても良い締めでした。
なぜ、、、、
死んだ者には、死んだものにしかその後の世界なんて分かるわけない。そりゃあそうでしょ
死と生きているものの間の世界が天間荘?ファンタジーにも程があるよ、笑
おばあちゃんも天国に行くまでに何ぼけーっとしてんねん。死んだ者に報われる場所なんてないと私はないと思いますよ笑そりゃ⬆に書いた通り俺にも分からんだけどさ生きた心地のない場所でぬくぬく生きとんのもなんか変でしょ笑
しかも震災に対しての解釈(?)考え(?)表現方法(?)というか雑というか扱いが難しいなら最初から扱いほうが良かったんじゃないと思いましたし途中から飽きて寝てましたね。
今のドラマでのブラッシュアップライフみたいに徳を積んで人間になるみたいな構成のほうが見やすいかなと、、、
のんさんがこうしてスクリーンで観れて良かったかなと観れるならさかなの子も観ようかなと思ったり思わなかったりの今日この頃、、、、
快作でした
「すずめの戸締り」と似たテーマの作品が、偶然同時期に公開されたのは不思議なシンクロでした。
妻の勧めで一緒に観に行きましたが、贅沢なキャスティングにも支えられて、2時間半の長尺が短く感じられる快適な鑑賞体験が出来ました。
設定はファンタジックですが、大部分は地味な人間ドラマで、奇抜さやあざといお涙頂戴がないのが好印象。
それにしても、のんさんの復活は嬉しいです。あの生命感は、なかなか余人をもっては代え難いでしょう。
音楽もすべて画面に合っていて、感動を高めるのも良かったところ。
大泣きするようなタイプの作品ではありませんが、映画による供養のようなものと素直に受け止められました。
私は「スカイハイ」旧作(釈由美子さん主演)を知っていて、予備知識なしに鑑賞したので、最初の方で「イズコ」と聞いて、「え? これは続編?」と違和感を感じる面もありましたが、旧作のような怖さはない、しみじみと味わえる作品でした。
今年は良い滑り出し。またこのような真面目な感動作に出会いたいものです。
初めて集う家族のドラマ
天と地の間に立つ天間荘を舞台に震災で亡くなられた方々の心の拠り所として存在してる港町の舞台に、そこに訪れる1人の女性を通して自身の生きてきた過去、そしてこれからの未来を考え進む道を模索する物語。
女性が初めて会う姉たちとの関係性を描きつつ、離れ離れで育った家族のドラマとして作り込んでます。
家族ドラマとしては面白いですが、復興後の街を訪れてからのシーンは必要なかった様に思えた。
彼女が伝える言葉は真実であるのだが、そこまで素直に受け入れることが出来るものだろうか?という疑念が湧いてくるから。
もやもやした
リアルシリアスとメルヘンファンタジーの融合をこのテーマやることに意味があるのか、見ながらずっと考えてしまった。
ファンタジーにすることでとっつきやすくなるから重いテーマも幅広く考えてもらうきっかけになるのかもと思いましたが、あの震災をそのまま使うのはどうなのか、そもそもあの震災を描いた話ではないからよく似た架空の震災でも良いのでは?と思った。
まあ、見てる時にこんなこと考えてしまうのは話に入り込めなかったからで、設定が多いし色々盛り込みすぎて話は長い上にどっち付かずって感じでした。最後のシーンは良かったので色々がっつりカットして震災なら震災をメインに描いた方が入れたと思う。
原作は読んでないけど漫画には合うんじゃないかなと思った。もっと細かく書けるだろうし、映画向きではなかったのかなと思った。
役者さんだけは本当にみんな良かったと思います。演技はすごくレベルが高くてそこは見応えありました。
天涯孤独な少女・小川たまえ(のん)が黒ずくめ女(柴咲コウ)に連れて...
天涯孤独な少女・小川たまえ(のん)が黒ずくめ女(柴咲コウ)に連れていかれた先は、海にほど近い旅館「天間荘」。
黒ずくめの女が語るには、「たまえは交通事故で臨死状態になり、「もう一度現世に戻って生きる」か「天へと旅立つ」か自らの魂の決断が出来るまで、ここで暮らすのだ」という。
理解不能なことだったが、出迎えてくれた3人は、たまえの腹違いの姉ふたり(大島優子、門脇麦)とふたりの母親(寺島しのぶ)。
天涯孤独と感じていたたまえにとっては、突然、家族ができたようなもの。
しかし、3人を含めて、この町で暮らす人々は、現世に戻ることもできず、天へと旅立つこともできない。
決断ができるのは、「天間荘」の客人だけなのだった・・・
といったところからはじまる物語で、海に近い立地から、ははん、これは東日本大震災で津波に襲われ、行方不明になったひとびとが暮らす町なんだな、と察しが付く。
さもありなん、で、町の住人のひとりの青年(高良健吾)とその父親(柳葉敏郎)が交差するエピソードが描かれて、察したとおりだったもよう。
なので、この設定が受け入れられるかどうかどうかで面白さが具合が異なると思うのだけれど、個人的は、設定は受け入れることができました。
で、前半、老若ふたりの客人(三田佳子、山谷花純)のエピソードまでは、描かれているのが不安などの普遍的な心のありようなので、かなり面白く観ることができました。
ですが、中盤から、あらあら。
町の住人たちが天へ旅立つことができないのは、「行方不明で遺骨が発見されず、成仏できないから」と勝手に思い込んでいたのですが、なぁんだ「本人たちの死にきれない思いが残っているから」って、それってどうよ。
たしかに「死んでも死にきれない」という言葉があるから、そうなのかもしれないが、劇作的にはお手軽な設定に思えてしまいました。
結果、「半分死んでるってことは、半分生きてるってこと」という「生への執着」を示すいいセリフもありつつも、後半以降は観ていても気持ちが大失速。
訪問したことのある、下田海中水族館や新興の女川駅前の様子などが登場して、ちょっと好感度は上がったものの、終局は『丹波哲郎の大霊界 死んだら驚いた』か他の新興宗教映画みたいになって呆然唖然。
ちょっと安易にあちらの世界を描いたかしらねぇ。
ひょっとしたら現世も…
⚫︎三姉妹の魅力
【のぞみ】
天間荘の長女として若女将になり切り盛りする責任感とふるまいに男勝りな気っ風のよさと思いやりの深さを感じる。一馬との別れを越えた妹かなえの気持ちを察し、すぐに抱き寄せにかけよるシーンがあるが、「おいで」のタイミングの絶妙さ!今そこで心の内と葛藤してるかなえに対し瞬時にさらりと寄り添う行動はいつも周りの流れを把握してる気配りの賜物だろう。しかも自分の立場で踏み出す勇気が自然と身についているからこそできる技。この時、のぞみの体温がかなえに直に伝わることがどれだけ大切だったかなと。
寛容さと飾らない役柄がフィットしていた大島さん。着々と俳優の道に足跡をのこされている強くて柔らかい表情がどこをきりとっても凛と美しく輝いていた。
【かなえ】
等身大の自分で居ることを自分に許しているような大人のゆとり。そのマイペースを保つ芯のぶれなさは同時に他人に求めすぎることもしない。そんなかなえのゆったりした安心感と公平感が好きだ。自暴自棄な優那の行動について
「あわれな子、腹も立たないわ…」と。とても共感した。冷たいのではない。もっと超えたところに意識があるのだ。門脇さんの淡々として揺るがない雰囲気にふわりと肩の力がぬけてる空気感は個性的なかなえ像を魅力的にしていた。私的にはそばにいたらいちばん心地よく惹きつけられるキャラクターだった。
【たまえ】
真っ白な真っ直ぐさ。他人の気持ちを自然にときほぐすのはこどものような天性の資質ゆえだろう。のんさんが演じることで〝そのまんま〟ののびやかでフレッシュな三女の魅力でいっぱいだった。たまえが財前さんに話しかけた言葉「きっと大変でしたよね。」「…素敵ですよ。」などがある。他人との間に高い壁を長い間つくったままだった彼女は敬遠されてきたと思う。たまえが発したのは普通の言葉なのだが、誰かにあのまなざしとあの真心で言われたことはなかったかも知れない。若女将ののぞみも、それまで財前さんの担当だったが心を開かせるのは難しかったことをぼやいている。相手によって自分を変えることなくありのままで接するたまえ。財前さんにだんだんと笑顔がみえ気持ちの変化があらわれる。最後には後からきた客人の優那と共に天間荘を去るのだが、これはたまえの存在が、自分以外の誰かのことまで考えられるようにさせた証だったのではないか。
⚫︎印象的なシーン
・エンディング
胸震う主題歌は地球のすべての魂に捧げる壮大なレクイエムだった。これを受け、オーブが穏やかに舞いあがりやさしく光る星へとかわっていく気がした。
(もしかしたら、この楽曲をもう少しだけ音量をセーブして聴き始めれたなら、もっと余韻を重ねたまま物語をじぶんの心の中でゆっくり閉じていけた気もするなぁとも感じた。)
(たまえが飛び立つ時のCG?特撮?は、急にCMが入ってしまった時のように引き戻されたのでやや残念感あり。)
・父さんのカメラが残されていた場面
あれだけ誰にでも厳しく口も悪く強気な母(大女将)の心の底にある家族への愛と、こうしてまわりの人々に伝える役目として存在してる人がこの世にはいて、必要なのだと思った。
・家族のお別れの夜
食卓を囲むあたたかい笑顔と声。
何気ない日々にある尊さの象徴だった。
そこにあるのは紛れもなく安らぎのなかに〝通う気持ち〟なのだ。
特に、お椀を渡す手 受け取る手のアップのカットは胸がぎゅっとなった。いろんなひとの思いがよぎり涙になって、ぽとぽと落ちてきてマスクに染み込んだ。
⚫︎感想
奇跡のような命をもらい、奇跡のような世界に生かされている私たちへの言葉がセリフを通じたくさんあった。
「自分でもわかっているから腹が立つ」
「自分の不幸や不運を人のせいにして…」
「人にやってもらおうなんてあまいんだよ…」
どんなに思いを寄せ合っていたとしても永遠に一緒にいられることはなく、ここにとどまる者も誰ひとりとしていない。いつかわからない旅立ちに際して遺された私たちへのメッセージも続く。
〝人は死んでも終わりじゃない
愛する人のなかでずっと生きている〟
(だから)
〝おいきなさい つぎの世界へ〟
そう考えられたらお互いにのりこえられるかも知れない。
なるほど、そうか。
あれ?
ひょっとしたら
現世もあの町とある意味おなじ…なのかもしれない。
未練と往生際の物語
高橋ツトムさんの漫画「スカイハイ」の本編は読んでいます。深い魂の哀しみや苦悩にまみれる内容ながらも、硬質な絵が迫力だったのを覚えています。
◉哀しい普通の景色
ありし日のままの姿と風景で、人と町が残っている。作品の前情報で、天間荘が魂の空間に在ることは知っていましたが、震災に遭った海辺の町が、途方もないファンタジーの力でそっくり残っている設定とは意外だった。広がりや癒しのあるファンタジーではなく、一人一人のこれまでや、これからに関わっていくファンタジーであり、死者の景色と生者の景色が入り混じって描かれる。
◉生を全うすることは残酷なこと
繰り返される「記憶の中に存在すれば、その人は永遠に生きる」と言う言葉。「リメンバー・ミー」の世界であり、亡くなった人を悼む気持ちと、覚えていることと、思い出すこと。つまり死者と如何に接するかと言う問題。
でも一方で、この言葉は生者のものであり、死にゆく者が「死ぬ」と言う行為をどう捉えるのかこそが問題。三瀬の人々は死者であることを知らなかったと言うよりは、目を背けていたんでしょうね。やはり、家族や仲間と離別して旅立つのが怖かった。
私もそこで生を全うしなきゃならない境界線にいたら、絶対に震えます。だからイズコがいても、まだ漂っていた。未練と往生際の綱渡りをずっとずっと続けていた。でも、現世に戻った二人の娘と老婆は別にして、三瀬の町の人々はまだそこに残っていても良かったのではないかと、思えてなりません。
往生際が悪い…のは悪いことではない。
◉往生際から現世へ
のんが境界線上で生をセレクトして、現世へ戻るVFXが、かなり不自然に見えました。
それと、のんたちと三田佳子さんとの再会シーンは良かったですが、死んだ町の人々とした約束を、三瀬の水族館で回収するシーンは、やや駆け足の感じが強かったです。ではどうすれば、映画の読後感に浸れたかと問われても、答えは用意できないのですが。その後の日々の暮らしの中で、次第に死者の言葉が生者に伝えられるのでは、尺が足りませんしね。
◉天国の海
三瀬の町に接する海の景色と、天間荘から訪れる海の景色が違うものに見えました。天間荘からの海の方が、より透明感が高かったような。つまり天国に近づいた証? 美しいより寂寥感が強過ぎて、ここは胸が詰まる感じでした。
のんさんは不思議な温度感みたいなものを結構、ぶっきらぼうにそして柔らかく醸し出しますね。むり押しはしない感じ。
大島優子さんが楚々たる若女将で、特に素顔に戻って眼鏡を掛けた表情がとても可愛いらしかった。門脇麦さんも、決して愛嬌はないけど、温かな感覚を与えてくれる。襖を開いて現れた寺島しのぶさんが、貫禄が有りすぎ。
そして、腰の低い永瀬正敏さんは永瀬正敏じゃない。
悲しいのも幸せなのも一人じゃない
原作を読んでないので予見なしに観ました。
ここはどこにあるんだろう?
お父さんはどこにいるんだろう?
えっ、もしかしてこの姉妹達も死んでるの?心中?
なるほど、、震災だったのか
という頭の流れでしたが、三ツ瀬の街にキャンピングカーが走ってたり、一馬が船で天に召されたあとあの船はどうなったんだろう?と所々謎が。
あと記憶だけでなく、お姉さんからもらったイルカの笛も現世に持ち帰るなんて、ちょいやり過ぎ感ありですが。
でも、もう命もなく先のない家族が最後にああして団欒をとり、わだかまりを癒やして、一緒に召されていくというストーリーには涙腺が破壊。
最後はとても幸せになる映画でした。
しかし、のんと永野芽衣が、見た目もキャラも被りすぎでしょう。ビックリ。
この二人の共演も興味があります。いつか見てみたいものですねぇ。
命の尊さをあらためて思う
前評判通りでした。勝手にノン演じるたまえが死後の世界から家族のもとへ帰ってくるひとときの映画だと思ってましたが、死の淵をさ迷う人間の物語。
この数年自殺者が増えてますが、自殺は絶対にして欲しくない、生きることがどんなに辛くても自分自身で命を絶つのは止めてと訴えてるなとも思えました。
ましてや残された家族の気持ちを考えさせられます。
ただ最後の方のVFX を用いたシーンは宗教じみてたけど、そもそも内容が宗教論と言えばそうかな。
そうはいっても俳優さんは渋い役者揃い、私の好きな永瀬正敏が出演の映画は間違いないは続いてます。
話題のロールエンドで一番泣きました。玉置浩二は反則級でした。
生きるのはわ大変なことです。た
東日本大震災から、着想した作品だけあって、深い悲しみが伝わります。
主人公の小川たまえ、を原作者の高橋ツトム氏ものんさんをイメージしたキャラクター設定をしているだけあって、むりの無い演技に沁みますね。
スカイハイ自体が好きな作品なので、
こんなに大勢の人達の突然の不幸に、イヅコも手に負えない状況だったのでしょうね、
故に、町ごと、天界と現世のハザマに移動させざる負えなかった。
のだと解釈しています。
死を受け止めるのも、生きている現世の人間の責任、である。って素敵な感じです。
人々の記憶から、消えるのも、故人の第二の死とも言えるのです。
お逝きなさい、お行きなさい、お生きなさい・・・
ひとはみな一人では生きてゆけないものだから・・・孤独に生きていた小川たまえ(のん)もその後にやってきた芦沢優那(山谷花純:宮城県出身))も孤独な人生を歩んでいたところを事故、自殺によって天界と地上の間にある天間荘へとやってきた。天界に旅立つか現世に戻って生きるのかの決断を迫られる場所。
『スカイハイ』のスピンオフ版だということを知らずに鑑賞しましたが、監督も劇場版を撮った北村龍平だとわかり驚き。知らなかったのに、玉置浩二と綾香のデュエット曲が脳内に刷り込まれてしまい、観なきゃいけないという使命感さえ湧いてしまった。宮城県が舞台となっていること、カメオ的な豪華なキャスティングでも中村雅俊(宮城)、柳葉敏郎(秋田)、高橋ジョージ(宮城)、つのだ☆ひろ(福島)などが固めていた。ミュージシャン繋がりで大友康平が出演してれば最高!
『あずみ』や『ゴジラ FINAL WARS』ですっかりファンになってしまった北村監督。もちろん『劇場版スカイハイ』も監督していたのですが、最近メジャー作品でお目にかからなくなり心配していました。『劇場版スカイハイ』でもアクションは多かったし、北村作品らしかったのに、どうしたことかこの静かな展開。あのよ~と文句もつけたくくなるほど。
まぁ、笑えるところもあるにはあるけど、こんな美しい作品では笑いづらい。のぞみ・かなえ・たまえというネーミングもそうだけど、どこまでやるの?!といった怒濤の展開が欲しいのだ。勝手に笑ってしまったのは、『あまちゃん』ののんが主演なだけに母親役の小泉今日子が出てくれば最高だったのに、「来てよタクシーつかまえて~♪」と、出てきたのが永瀬正敏(写真家がよく似合う)。二人とも好きな俳優だったのに・・・逃げちゃったのか。そしてのんちゃんは文字通り「三途の川のマーメイド」「友だち少ないマーメイド」に・・・妄想です。あ~「潮騒のメモリー」を聴きたくなった!
ネタバレになりますが、三ツ瀬の住人はみなあの世へ行けない状態。東日本大震災で亡くなった人たちがあの世へ行けずに時間の止まった世界に住んでいたのだ。劇中でも述べられていたかもしれないけど、ホラー映画じゃない!これはヒューマン・ファンタジー映画なのです。前向きに生きて、死者を尊ぶこと。この世は生きにくいけど、美しき世界なのだ。序盤はゆるく、宗教映画のような雰囲気さえ感じられたけど、三ツ瀬の出来事がわかると泣くしかない!あーもう、また「Beautiful World」聴きたくなった♪よし、カラオケで歌うぞ!(誰と?)
演者は素晴らしいが…
残念ながら、この作品に北村龍平監督はミスマッチ感が強かったです…。
おそらく私が気になったのはこの作品全体を通して言える「チープさとくどさ」です。
ごめんなさい…辛辣な感想になってしまいますが、出演者の演技に文句はありません。
以下が主にチープさとくどさを感じた点です。
・BGM→多用しすぎです。これでもかってほど安っぽい音がくどいくらい鳴ってた印象です。
・CG→今の時代にいくらなんでもチープすぎて興醒めします。(ゲームでいうとプレステ2あたりの感じがしました…)下手にデジタル処理するくらいならアナログな特撮技術で頑張ってくれたほうが良いです。せっかく演者が良いのだから余計なことしなくても良いです。
・セリフ→なんだか不自然なセリフが多く感じました。(漫画やアニメならすんなり受け入れられるものでも実写となると違和感がでます)あとなんとなく説明過多で説教臭いです。
・脚本・演出→BGMもそうですが、ちょっと感動させようさせよう感が鼻についてくどかったです。
・カメラワーク→これも演出なのでしょうが、正直今回の作品ではくどく感じる時が多かったです。
・カメオ出演→作品のジャンルによっては大いにありだと思うんです。ただこのテーマのこの作品においては正直チープ感が増した感が強かったです。
・災害→作品のテーマに大きく絡んでくる日本人の琴線に触れるあの出来事を扱うにはもっともっと繊細さを必要とするはずです。
重ねて言いますが演者さん達は基本みな素晴らしいと思います。
別のもっと適した監督で撮っていただけてたら…低予算でももっと良いものが出来たのでは?と思ってしまいました。(ヒューマンや美しい映像をおすなら森淳一監督とか岩井俊二監督とか予算かけてファンタジーをおすなら山崎貴監督とか…)
辛辣な感想ばかりになって申し訳ないです。
ですが、個人的にはこれまでの北村龍平監督の作品は大好きなものが多いです。
これまでもゴジラやルパンなどで色々言われてきた監督ではありますが、
北村監督、負けないでください。
今回、北村監督がヒューマンドラマを撮る新境地に挑戦した事自体は素晴らしいと思います。
しかしながら、個人的に受けた印象は「万人受けを狙った無難なところに行ってしまった」「手堅くとりにいった」「丸くなってしまった」という感覚が強かったです。
たぶん真の北村監督ファンの多くは北村監督にそれを望んではいないと思います。
そういうのは他の監督に任せてもいいと思うんです。
北村龍平監督にはいつまでもハチャメチャクールバカ(良い意味です)でいてほしいんです。
血みどろだったり、中二病的だったり、ある意味B級テイストあるケレン味こそが北村龍平監督の醍醐味であり最大の魅力なんです。
私はそう思ってます。
今回の出演者の方々も大好きな役者さんが多かったです。
しかしながら映画『天間荘の三姉妹』という作品全体の感想となると個人的には総じてモヤモヤする感じが残る印象でした。
☆三つは全て役者さんの演技です。
のんちゃんに、本名の能年玲奈を返してあげて欲しい。
auマンデー『天間荘の三姉妹』
この作品、劇場予告で観た時・・・・
なかなかのキャスティングな旅館を舞台にした三姉妹の物語だと思ってました。
<チョイネタバレあり>
*東北の震災が舞台って事もあり、観て辛く感じる方もいるかもなので注意です。
観る前に事前チェックしたら昔〜深夜に釈由美子さんがやってたドラマ「スカイハイ」のスピンオフだと知る^^;
でも釈さんの名前はキャスト欄にはないと思ったら・・・
柴咲コウさんがイズコを演じて”あの名セリフ”『おいきなさい』を劇中披露してくれます!
ドラマのファンからしたらキャスト変更は残念なのかもしれませんが、私的には柴崎さんドンピシャって感じでした。
しかし今回の三姉妹(のん・門脇麦・大島優子)&母親役(寺島しのぶ)さん、チョイ役で出てくる役者さん含めすごく良かったです。
このメンバーを脇にまわして主演する”のん”さんはやっぱり唯一無二な魅力ありますね。
ただ舞台が舞台だけに”じぇじぇじぇ”って言いそうな感じでした^^;;;
彼女がこの10年地上波ドラマに出れなかったのは残念・・・早く本名の能年玲奈を返してあげて欲しい。
まぁスピリチュアル系ですし、賛否は分かれるとは思います。
その部分の演出映像もチープですが、最後の家族団欒のシーンとエンドソングが凄く良かったです!
で、余談ですが、上記シーンで、父親役の永瀬正敏さんの後ろに、何か見えたような気がするのは気のせいなのか!?
配信になったら再度確認しよう・・・・スタッフが写り込んでたのかな!?
ファンタジーだったんですね💦
勝手に、「海街ダイアリー」のような映画かと思っていました。
のんと天間荘の人々が魅力的でした。
海が常に穏やかな、美しいけど時が止まったままのかりそめの世界と、美しいばかりじゃないけど少しずつでも歩んでいける現実の世界の見せ方は分かりやすくて良かったと思います。
イズコについては、そういう存在なのねと思えるし、「お行きなさい」は釈由美子を思い出しました(あっ、同じ物語なのか)
”のぞみ””かなえ””たまえ”は、昭和生まれには懐かしいです。
釈然としないのは、かりそめの”三ツ瀬”の存在意義です。
あの日以来魂がさまよったままの人々の救済の為であるなら、そこにたまえがやって来た理由も、いずれは消えるのだというのも分かりますが、財前さんや優那はどうして連れて来られたのでしょうか。たまえの成長の為に送り込まれたように感じます。
演出について思ったことですが、たまえがプールに落ちた(?うろ覚え)水中に、津波に流された車を出してきたのは、ちょっとやりすぎな気がしました。それから、三ツ瀬の門を通ったあとのシーンがダサいし、音楽が大袈裟でうるさかったです。イルカショーのトークも楽しくないですね。
全体的にしつこかったです。でもハンカチは要りました。
主題歌は素敵でした。
ーーーおまけーーー
昔のドラマのタイトルを忘れていたので、エンドロールを見て、「スカイハイ?なんだそれ」と思ってしまいました。ドラマの中に飛ぶシーンってあったかな、覚えてないです。
釈ちゃんは表情とポーズはビシッと決まってましたが、「お行きなさい」がちゃんと言えてなかったので、私は柴咲コウさんの方が好みです。
”スカイ・ハイ”と言えば、ミル・マスカラスの入場テーマなんですが、元々は、「スカイ・ハイ」という映画の主題歌です。テレビで観ましたが、「燃えよデブゴン」のサモ・ハン・キン・ポーが悪役でした(まだ太ってない)。大した映画じゃないですが、曲は大ヒットしました。
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