「美しき世界・・・鎮魂とありがとう」天間荘の三姉妹 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)
美しき世界・・・鎮魂とありがとう
気持ちいい楽しい美しい映画でした。
私的にはそんなに泣かず、むしろ楽しい面白いとの感想です。
泣けたのはラストの曲です、
玉置浩二の声を聴いた瞬間泣きました。
絢香の歌詞と玉置浩二の曲そして2人のハーモニー。
めちゃめちゃ琴線に触れました。
【ストーリー】
震災で亡くなった人が多く住む三ツ瀬の町。
そこに建つ由緒ある旅館「天間荘」の大女将(寺島しのぶ)と
娘ねがい(大島優子)その妹のかなえ(門脇麦)の家族、
そこに父親違いのたまえ(のん)が加わります。
天間荘は天空と地上を繋ぐ宿。
たまえは臨死状態で天に昇るか地上へ戻るかを天間荘で決めるために
来たのです。
原作は高橋ツトムの「スカイハイ」のスピンオフで「天間荘の三姉妹」
高橋さんは描き初めから“のん“をイメージして書いたそうです。
天海と地上を行き来するタクシーがあって、
運転手は訳あり(大きなマスクとサングラスに運転帽)
案内人はイズコ(何処?)は柴咲コウ。
「お生きなさい」「お行きなさい」の決め台詞も聞けました。
運転手さんの正体はバレバレなのですが・・・
《実はねがい・かなえ・たまえの父親(永瀬正敏)》
この映画は実は3・11の震災で「サヨナラ」も「ありがとう」も
交わせずに亡くなった多くの方々への「鎮魂の想い」が込められて
いるのです。
でもけっして重苦しくなく、
三ツ瀬の町が、天間荘のような場所が実際にあって、
今一度、別れた愛する人々とお別れが言えて、安堵して成仏して貰えたら
どんなにいいだろう・・・そんな願いが叶う・・・
(と言ったら言い過ぎですが、・・・)
ロケ地のどれもが美しくて、
港は・・・静岡県稲取港
………………稲取展望テラスからの眺めは本当に美しい。
三ツ瀬の町・・・震災前の宮城県女川に似ている伊豆半島がロケ地
水族館・・下田海中水族館
イルカの奇跡のラストシーンの撮影は、
…………………仙台市の「仙台うみの杜水族」だそうです。
天間荘は小樽の鰊御殿(にしんごてん)、銀鱗荘が使用されました。
撮影が素晴らしかったですねー。
イルカのタクトくんもいい働きしてましたね。
最後に、
“のん“は「あまちゃん」のイメージそのままにピュアですね。
東北と海と魚には縁が深いようで・・・
年齢不詳、性別不詳(?)の謎の美女・・・
とっても存在感があり大物ぶりに嬉しい限りです。
きっと作品のベースに、人の心の温もりがしっかりした温度であったからこその「気持ちいい」感じだったと思います。切なさに追い詰められるだけの作品ではなかったですよね。
おっしゃるように「けっして重苦しく」ないからこそ、鎮魂の想いは叶うのかも知れないです。
そうなのか。マンガ自体が、のんさんをイメージした当て書きなんですね。納得です。
港が稲取というのも気づかなかったので、教えてもらって、伊豆半島出身の俺としては、嬉しかったです。ありがとうございます。