「それでも友達」プアン 友だちと呼ばせて せつこんさんの映画レビュー(感想・評価)
それでも友達
白血病で余命宣告を受けたウードとかつてNYで共に過したボスがウードの元カノに会いに行くロードムービー。
この映画、前半ウードの元カノに会いにいくという表向きの目的(A面)と、後半2人の出会いとウードがボスを誘った本当の目的(B面)に分かれる。死ぬ前にわざわざ誘うぐらいだからそれはもう特別な友達なんだろうと思いきや2人はウードの酷い"ある行為"から始まった関係。
とはいえウードもボスも未熟だったが故のこと。ウードはプリムにこっぴどく振られた時のウードの振る舞いは最悪だし、自分の夢に向かって進む女性について行くことも出来なければ応援することも出来ない。アリスとの関係が比較的今でも良好だったことを思うと少しずつでも成長してたかもしれないけど結局何者にもなれなかった。
ボスもプリムと別れた時の対応は最悪(2人とも違う方向で典型的なダメなやつの例で面白かった)だったし、その後自分の置かれた立場を理由に成長しようとしなかった。ウードの償いは自分のためでもあるだろうけど、プリムの気持ちを伝えることで結果的にボスの背中も押すことになる。
最終的に前にも後ろにも進めなかった2人が、ウードは前にプリムは後ろに進んだんだなと思った。ウードは過去にケリをつけて前に進み(化学療法を受ける)、ボスは過去へと戻る(プリムに会いにいく)。映画で左か右に進むと過去と未来を示してるっていうけど、ラスト見ればそういうことかなと思った。
ここまで酷い始まりでないとしても、自分にも仲の良い友達の中にウードとボスのような友達は必ずいて、ずっと一緒に過ごしていてもどこかでずっと軽蔑してたり、好きになれないところがあったり、1度は傷つけたりしたことがあったり。これは女友達特有かと思ってたけど男も一緒で安心した。
それにしても余命を知った時に知り合い全員に謝りボスへの償いをしに来たウードは、「恥の多い生涯を送ってきました」という太宰の言葉が聞こえてきそうなぐらい自分の人生を振り返った時に楽しかったことよりも後悔に目がいってしまうタイプだったんだろうな(笑)