「森を護る男。森の精霊の女たち。」唄う六人の女 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)
森を護る男。森の精霊の女たち。
アート系の映画と思ったら現代的テーマ性のある映画だった。
話さぬ6人の森の精霊のように女たち。
美しい顔の和服を着て物言わぬ女6人。
前半は不可思議なアート映画。
その印象は観終わったら変わっていました。
言いたいことをはっきり伝える映画です。
面白かったし好きでした。
ファンタジーの怪奇ホラーみたいな前半。
中・終盤にガラリとストーリーと主張がリアルになる。
女たちはファンタジー。
男たち・・・特に不動産ブローカーの宇和島(山田孝之)は、
浮世の煩悩そのもの。
《ストーリー》
フォトグラファーの萱野森一郎(竹野内豊)はある日、疎遠だった父親の死を
知らされる。
山奥の自宅の売却を終えて帰り道を宇和島の車で送ってもらうことになる。
しかしトンネルを過ぎた辺りで道が大岩に塞がれていた。
避けきれずに衝突。
気がつけば2人は古い納屋に監禁されていた。
そこは女6人の住む現実離れした空間。
1人目は、刺す女(ハチ)=水川あさみ。
2人目は、濡れる女(ナマズ)=アオイヤマダ
3人目は、撒き散らす女(シダ植物)=服部樹咲
4人目は、牙を剥く女(マムシ)=萩原みのり
5人目は、見つめる女(フクロウ)=桃果
6人目は、包み込む女(ヤマネ)=武田玲奈
今になって思うこと。
この6人の女たちの特性・・・これが意外と生きて来ない。
ただただ美しい森の精霊のようだが、邪悪。
叩いたり刺したり閉じ込めたり虫を食べさせたり、
かなりグロでサディスティックです。
ただ水川あさみは元々が恐いから如何にも“しばいたるでー“
って感じでしたが、
あのやたらと脚の長い美しい女に顔はあったっけ?
まぁ、オブジェみたいな女でした。
長椅子に反り返る女も、
完璧に広場のオブジェでしたね。
と言う訳でこの先何を見せられるか?不安になる頃。
パーンと舵を切ってリアリズムになります。
森一郎の父親の茂(大西信満)は土地を手放さずに何を守っていたのか?
今思えば、息子に相談する。
マスコミに働きかける。
などの行動を起こすべきで、一人で抱え込むことではない、
と思います。
森の護り人=森を深く愛する人。
でしたね、もしかしたら精霊たちに慕われ過ぎてたのかも。
綺麗で力強い映画でした。
美しい森、妖しい女たち、古民家、
竹野内豊の熱演、
悪人に徹した山田孝之の偉さ。
女たちの中では武田玲奈が儲け役で二役。
印象深い素敵なオリジナリティ溢れる映画。
監督・脚本は石橋義正。