「ミルワームのすまし汁がクリアできれば・・・」唄う六人の女 カールⅢ世さんの映画レビュー(感想・評価)
ミルワームのすまし汁がクリアできれば・・・
四国の国道439号線のような対向車がすれ違えない細い山道。トンネルを抜けるとセミを咥えた水川あさみが立っている。急ハンドルを切る山田孝之。断崖絶壁から転落したら即死です。
青銅色の湖沼や渓谷のシーンは四国の仁淀ブルーや中津溪谷や安居渓谷にいるみたい。虫はちょっと勘弁だけど、マイナスイオンのシャワーを映画館で浴びてちょっと健康になった気分。素晴らしい映像。
唄わないし、しゃべらない女たち。
森の精霊や生き物の化身の異界の女たち。
妖艶で幻想的なシーンに魅了されました。
アオイヤマダの水中遊泳シーンが妖艶。
草彅剛のミッドナイトスワンのイチカ役でデビューした服部樹咲。木製のデッキに横たわっているだけなのに色香が漂い、脚が長くてキレイで色っぽくてドキドキ。まだ17歳。ヤバいよヤバいよ。
桃果の緑色の瞳に見つめられると吸い込まれそう。吸い込まれたい。その瞳は男のリトマス試験紙。あなたは宇和島か箕島か?試される。
ひとりだけ、武闘派の女の萩原みのり。コスチュームが洋風なのがちょっと残念。くノ一風がよかった。
もう一回行ってみたい。観てみたい。
奇跡的に助かったのに年の離れた若い奥さん(武田梨奈)に書類を託して、またあの異界に戻って行った箕島森一郎(竹野内豊)の復讐プラスワンの気持ち。わかりますねぇ。
ミルワーム(爬虫類のエサ)の吸い物もクリアしたから、戻れなくてもあの異界でなんとかやっていける自信があったのでしょうね。
テーマもスッキリしていて、後味がよい大人のファンタジー。
自然保護。環境保全。
デベロッパーたちの強欲に任せた企みに対するアンチテーゼ。
あの書類は大臣に渡って、核燃料廃棄物処理場建設計画は廃止になり、デベロッパーの幹部たちは社会的制裁をちゃんと受けたのでしょうか。宇和島を使った嘱託殺人の可能性も大きいですからね。
子供の頃はアマガエルになりたいと父親に言っていたカメラマンの箕島森一郎。
カエルはフクロウなどの森の捕食者のエサ。自然界の食物連鎖ではきわめて自己犠牲的な存在です。人間の醜いエゴvs.自己犠牲精神がメインテーマなのかも。
官能ロマン礼賛映画でもあります。
サドvs.マゾの要素もありました。
細い棒を鞭のように操る和服姿の水川あさみに濱田岳と共演した喜劇愛妻物語を思い出し、自宅でこんなプレーをしてもらえる窪田正孝はなんて幸せなんだろうと思っててしまいました。
白川和子を入れると7人の女たち。
春画先生でもそうでしたが、最近いろんな映画でお目にかかる白川和子様もエロス溢れる異界への水先案内人役として適役でした。
草刈り機にちょっとビビる竹野内豊の細かい演技も毎度のことながらさすがです。
共感ありがとうございます。
最後の方の竹野内くん、深海へ旅立ったジャックマイヨール?と一瞬思ったが・・何の事は無い、アニマル美女たちの元に帰りたかったんじゃないか!