劇場公開日 2022年11月3日

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「テンドン」恋人はアンバー TWDeraさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5テンドン

2022年11月4日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

この物語、わずか四半世紀ほど前のアイルランドが舞台ですが、元々保守的なイメージが強い同国とは言え、今の時代感でみる同性愛に対する人々の言動が散々に酷く、アンバーの「卒業したら町を出ていく」という決意は「さもありなん」と思います。
そんな悲惨ともいえる世界観なのに何故か苦笑いしながらも観られてしまうのは、どこか可愛げすら感じてしまう「アイルランド方言の英語」にあります。元々英語は字幕頼みの私ですが、劇中の英語は「Thank you」すら字幕で理解できるほど。ただ、辛辣なことを言っているのにも関わらず、聞こえてくるその言葉の感じが可愛らしくて、ついつい笑ってしまうのです。
物語は正にハイティーンの難しい年ごろの男女が、目覚めて間もない「性」について無理解のまま暴走していています。その上に時代や宗教、且つ地域性、そして家族に対する後ろめたさも相まって「同性愛者」である自分を否定しようと、必死に、だけどついつい間違った方を選びがちなエディ。
そんなエディの「救いの神」とも言えるのがアンバーなのですが、まぁ兎に角チャーミングな彼女。一人拗らせて周りが見えなくなっているエディに、「あるギミック」で気づかせる方法が酷過ぎて、3度あるその「テンドン」につい吹き出してしまいます。(下手したら死ぬよw)
本人たちの身になればホントに残酷な状況なのですが、「ティーンエイジャー拗らせ物」は観ててキュンとなりますよね。そしてこの作品も約束通り、終盤涙腺を刺激してくれるシーンで清々しい気持ちにさせてくれるのです。素敵。

TWDera