「トリッキーなハードボイルドドラマ」MEMORY メモリー うぐいすさんの映画レビュー(感想・評価)
トリッキーなハードボイルドドラマ
スタート時点で主人公・アレックスが認知機能に関する病を患っているため、いわば彼は「信頼できない語り手」であり、アレックスの視点で描かれる物は本物なのか?アレックスの読みは正しいのか?という疑惑が、観客に対して常にスリリングに機能していた。流れるように相手を制圧するのに、武器を降ろした途端に観客を不安にさせるリーアム・ニーソンの演技は流石。
そして一番のインパクトは、本作がリーアム・ニーソン演じるアレックスの物語と思いきや、ガイ・ピアース演じるセラ捜査官の物語だったこと。正義と秩序の間の隔たりをストレートに描くとしたらセラ捜査官が主役のドラマになり、視点を捻ってアウトローが流儀を貫くアクションとして描けばアレックスが主役のサスペンスになる。
アレックス、地元警察、FBI、地元実業家、人身売買グループ、殺し屋組織...と様々な勢力が登場し、それぞれが表に出ないドラマを抱えていることを匂わせているものの、なかなか点と点が繋がらず、終盤になるまで各エピソードが散漫な印象になるのが残念。
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