「人間は変わらない」こどもかいぎ Scottさんの映画レビュー(感想・評価)
人間は変わらない
ユミコ先生が木竜麻生に似てるの。それは、どうでもいい情報だけど。
こどもかいぎの様子は大人の会議と全く同じなんだよね。
みんな自分の言いたいことを言って、聞きたいことだけを聞いて。自分の話を最後まで聞いてくれないと怒って、でも話が長いとやんや言われて。
大人の会議はこうした感情に、色んな理屈を持ち出したり、綺麗なプレゼン資料を作ったりして何かを被せて、感情を見えづらくしてるんだよね。ストレートに出してる分だけ、こどもかいぎの方がむしろレベルが高いと思うの。
子供がケンカをすると ピーステーブル というところで話し合いになるのね。互いの言い分を論理的に解釈するわけではなくて、互いの感情を吐き出すの。そうすると落ち着いて「じゃ、どうしようか?」ってなる。これも多分、大人と一緒。
感情を吐き出して、落ち着くのがまず大事だね。それから相手と「どうしようか?」と考えることができる。論理的には全く噛み合ってないんだけど、解決に向けて進む。
だから大人の会議も、数字作ったりプレゼン資料作ったりする前に、互いの感情を吐き出した方がいいと思ったの。『私は、これが、やりたい。どうしても、やりたい』『俺はヤダ。別にやってもいいけど、なんかお前嫌いだからヤダ』みたいな感じで。
それで互いに落ち着いて『でも、どうしようか?』となってから数字やプレゼンを作ったらいい。
数字やプレゼン資料を隠れ蓑にして『感情的に言ってんじゃなくて、論理的に考えてるよ』いたいなポーズで話し合ってたって始まらない。
あと作品の中で一番感動したのは、会議と関係ないんだけど、三輪車に乗るシーンだったの。
保育園にカッコいい三輪車が何台かあって、それで庭をグルグル回るんだよね。
それで一回乗った子供は、三輪車をゆずらないの。『そりゃ、そうだろうな』って思う。カッコいいし楽しそうだもん。
でも乗りたい女の子が体を張って止めて「一周したんだからゆずって」と懇願すんのね。でもみんな振り切って行っちゃうんだよ。
それで先生と「誰かゆずってくれないかなあ」とみてると、男の子がゆずってくれるの。
女の子は「ゆずってくれた」と何回も驚いたように言うのね。ゆずってもらえると思ってなかったんだよ。
今度はゆずった男の子と先生が「ゆずってくれないかなあ?」って待ってると、一周してきた女の子がゆずるの。そして、その後は、一周ずつかわりばんこに乗っていく。
こどもと大人は全く同じだからね。僕らの中にも、この「ゆずってあげる」感情があるはずなんだよ。
実社会ではね、せっかく乗った三輪車をゆずったら馬鹿って言われるよ。ゆずられた方も二度と譲り返さないよ。
でも、ゆずれる奴はいるの。そうするとゆずり返す奴もいる。
そういうのを、引き出して、生きていきたいと思ったな。