「昔『人喰いアメーバの恐怖』という映画があったが、この映画はさしずめ『人喰いパラシュートの恐怖』というところか。全く恐怖感はないけど。」NOPE ノープ もーさんさんの映画レビュー(感想・評価)
昔『人喰いアメーバの恐怖』という映画があったが、この映画はさしずめ『人喰いパラシュートの恐怖』というところか。全く恐怖感はないけど。
①『ゲットアウト』は着想の面白さとそれを活かす映画作りとが良いバランスを取れていて感心したが、『アス』といい本作といい着想を元に映画にするのに話を広げすぎて散漫になっている。基本に戻ろうよ。②ホラー映画という触れ込みで見に行ったのに全く少しも怖くない。では何を言わんとした映画というと、怪物を退治しつつちゃんとカメラにおさめて疑いのない映像をとってオプラの番組に出たい、という動機を妹が最期まで忘れなかった、というところからすると一種のショービジネス(ハリウッド)や、衝撃の映像を取って世間の注目(と金)を集めたい特ダネ野郎をパロディった映画としか思えない。③思わせ振りや問題提起は良いから先ずは面白い映画を作ってくれないと。④黒人が黎明期から映画に貢献していたことを言いたかったのか(どうもこの辺りが着想の出発点のような気がするが)何故黒人がハリウッドのスタント用の馬の牧場を持っているのか説明したかったのか、どちらにせよ此の部分が中途半端で不必要に長い。妹の啖呵はなかなかよかったけれど。兄貴頑張れ。早く本筋に入れ。⑤映画の頭からゴーディ(チンパンジー)の挿話が何回か挿入される。SNLでパロディられたという話が出てくるが聞いたことないぞ。キレたチンパンと子役時代のジューブとが「ET」なみに心を通わせた(?)エピソードが、ジューブが謎の飛行体を調教しようした伏線になっているのだろうが、これまたいやに勿体ぶっている。フィリップ・マーロウ物じゃないんだから脇筋は短く纏めないと。こぶしがくっつく前にチンパンは銃殺されるが、ここはジューブの調教が失敗する暗喩にはなっているとは思うけど。大体あの飛行体を何故調教出来ると思ったのか、どう調教したのか(失敗して大惨事になったけど)描写が全くないので説得力ないこと甚だし。穴に吸い込まれたら終わりじゃなくてその先の四角いのが本当の口らしいが、そこに犠牲者が吸い込まれる前のところも遊園地のアトラクションみたいで怖さや禍々しさが少しも感じられない。⑥渋い声の撮影監督が「光だ」と言って自由行動して何かやってくれるのかと思いきやあっさり飛行体に吸い込まれて御陀仏になるところはワケわからないし、何も知らない闖入者が現れた挙げ句言うことを聞かなくて結局怪物に食べられちゃうお約束のシーンはありきたりで映画の尺を伸ばしただけでいらなかったと思う。ホラー映画の怖いシーンは夜や薄暮が舞台が相場だが(豪雨の中で襲われるシーンはそれなりに迫力があったのに)、真っ昼間の見通しの良いところで繰り広げられても何かのジョークかパロディだと思ってしまう。何より謎の飛行体に生物感がなく、表面は布地みたいで円盤形の時は何かの気球・広がった時はパラシュートの変形にしか見えないのが致命的。⑦“見たらいけない”とか“馬や籏が苦手”とか主人公が言ってるだけで根拠を表すような描写がどこにもなかったし、ラストあのバルーンを怪物が食べるとどうして分かったのだろう。生物でも非生物でも自分の方を見れば吸い込んじゃうのだろうか(京唄子みたいって古う~)。あのバルーンにも籏が一杯付いていた様に思うけど。⑧こういう題材は変にA級ぶらずにB級映画のテイストで撮った方が良いのに。将来的にカルト映画になるようにも思われないし(人の好みは様々だからここは確信を持って言えませんが)。「面白かったか?」と問われれば“NOPE!”
もーさん こんにちは
映画レビューは好き勝手に書くは 同意です。映画の解釈や好みは、人さまざまで感じ方は自由と思います。ちなみに、映画は、作品内容50%╋音50%で観賞するのが私流です(少数派と思いますが)。今後とも、レビュー楽しませてもらいます。
もーさん こんにちは
もーさんの 考察深くて 大変参考になりました。
旧他作品も あらためて読ませていただいて、懐かしく 同意見多く見させていただきました。ありがとうございます