「三作目にして思い切った意欲作」NOPE ノープ ヘルスポーンさんの映画レビュー(感想・評価)
三作目にして思い切った意欲作
IMAXカメラで撮影された映像は迫力があります。
製作風景を観ると"それ"以外は極力CGを使わずに撮影に挑んでいます。
「インターステラー」、「007 スペクター」、「ダンケルク」、「テネット」の撮影監督を務めたホイテ・ヴァン・ホイテマがジョーダン組に初参加。
「ゲット・アウト」、「アス」とは規模が全然違います。前2作はコメディアンだったジョーダン・ピール監督の思想から社会風刺的な要素を盛り込み、コメディとホラーの境界線のギリギリを攻めていましたが、本作は思想も全然違う。かなりコメディ寄りの作品だったと思います。
世界最初の動く映像「動く馬」で馬に乗っていたのは名もなき黒人騎手で、その曾孫である兄妹が主人公。
世界最初の"それ"の撮影に挑むというストーリー。
冒頭の聖書の引用から、難解映画のフィルターがかかりますが、実際は未知のものは怖いという人の根源的な恐怖と、でも未知のものを見たいという人の好奇心もあるよねという話。
序盤から挿入されるとあるシットコム劇場でチンパンジーのゴーディが起こしたある惨劇。
未知のものがチンパンジーからUFOと変わり、惨劇もグレードアップ。
人は未知のもの/見せ物に翻弄されるが、家族を見つめようというメッセージで、父親を殺したのはUFOからの落下物のコインであり、UFOの存在を証明しようと兄妹が力を合わせて奮闘するストーリーで、ラストでUFOをSHOT(撮った)のは同じく落下物のコインを使ったカメラで復讐に成功した。そして本当のラストショットはUFOではなく、騎乗した兄の姿だったのが良い。
物語に関係あるのかないのか、ただの映画オマージュ・小ネタなのかわからないやりとりが多いのは少しタランティーノ映画っぽい印象で楽しめたのですが、後半色んな設定が雑になってしまい少し緊張感がなくなってしまったのは残念。
インディーズ映画で小さな劇場にかかっているならある程度覚悟できますが、大手シネコンでかかるということで、大手配給会社のユニバーサルは良くこの内容で配給したと思います笑
YouTubeで配信されている予告編、製作風景を観て予習をバッチリした方が見やすくなると思います。