「霧のような男」アウシュヴィッツのチャンピオン MARさんの映画レビュー(感想・評価)
霧のような男
第二次世界大戦中、アウシュビッツの収容所にて司令官らの娯楽としてリングにあがることになったボクサー、「77番」ことテディ。勝つことで与えられたパンを皆に配り、いつしか囚人の希望の象徴となっていくが・・・といった物語。
本日ワタクシ、戦争映画2連続鑑賞の第1段。
強制労働中、あることがきっかけで、収容所のボクサーとして活躍することとなったテディ。
理不尽な階級差もものともせず、持ち前のディフェンス力で闘い続ける。
このテの映画やドラマって、時にはボクシングの演技が酷すぎて内容が入ってこなかったりするけど(それは日本だけか?)、本作はその辺もちゃんと見応えがあった。
それでいて、アウシュビッツでの残虐行為は、例の如く目を覆いたくなるほど、こちらもしっかり描かれていた印象。
守るべき少年との話は哀しくも心温まるものだったし、司令官(?)の家族の描写も、彼らの物語に効果的に影を落としている。
屋外試合での出来事は哀しすぎましたね。
気持ちを失ったテディが再びリングに転がり上がるシーンはアツかった。
最後の試合はもうちょっと何かあっても良かったかな~と思いつつ、少年を守り、囚人たちへパンを配り続けるだけでなく、その存在こそが囚人たちの希望になっていたのだなと思うと、やっぱり彼はホンモノの戦士だったんだなと。
ボクシングのシーンだけでなく、ストーリーにも魅せられた良作だった。
ちょっとわからなかったのはウォルターさんの立ち位置。彼も囚人ですよね?
どんな映画でも兵に目をかけられている囚人って一人はいるイメージだけど、彼もそんなところでしょうか?
そして何より、エンディングはちょっと目頭が熱くなった。
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