「とにかく荒々しく死にたいカルトにどっぷりな男どもの悲喜劇。」ノースマン 導かれし復讐者 村山章さんの映画レビュー(感想・評価)
とにかく荒々しく死にたいカルトにどっぷりな男どもの悲喜劇。
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アレクサンダー・スカルスガルドがずっと温めていたヴァイキング映画の企画を、ロバート・エガースに依頼したら「悪魔合体的にとんでもない怪作ができてしまった!」的な。ヴァイキングや北欧神話に登場人物たちは、とにかく荒々しく戦って死ねばヴァルハラに行けると信じていた、という雑な認識しかなかったが、この映画の主人公たちはそんな先入観そのままに、いや、それ以上にワイルドに殺し合っていて、もうこれはカルトの映画である。
そのカルト思想を、作り手が半ば惹かれ、半ば呆れているのではないかと思わせるような、やたらと力が入ってるけどどこかヘンテコで可笑しい描写が満載で、何を見せられてるんだという戸惑いが作品の面白さに直結していると思う。マチズモ、暴力、復讐、どれもこれも針がマックスまで振り切ることで、よりバカバカしさが浮き彫りになるのは、監督の意図なのか、こちらが勝手にそう受け取っているのか。いずれにせよ、珍品であるとは思うが、ちゃんと批評性も兼ね備えている。
にしても溶岩の中で全裸バトルって思いついてしまい、バカバカしく思われないかなと心配したというエガースのインタビューを読んで、エガースのことがさらに好きになった。
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