「やってる映画館少ないけど絶対観て欲しい!ここ何年かで一番感動しました!」雄獅少年 ライオン少年 snowwhiteさんの映画レビュー(感想・評価)
やってる映画館少ないけど絶対観て欲しい!ここ何年かで一番感動しました!
いやービックリしました。中国アニメがこんなに進化しているとは!
最初の自転車で主人公ちゅんが走るシーン、まるで実写かと思う程の美しさ。顔がアップになるまで本当にアニメなのかと半信半疑になるほど美しかった。疾走感や光の描き方半端ない!こだわって画面を作り上げているのが分かる。素晴らしいクォリティーだ。
ストーリーも素晴らしい。ドキドキ、ワクワク。泣かせたと思ったら直後に笑わせてくる。そしてラストは凄い高揚感と感動だった。
やってる映画館が少ないのが残念だ。是非映画館で観て欲しいです!今年度のマイベスト映画になりそうな予感がしている。
(以降ネタバレあります。)
両親が出稼ぎに行ったまま帰ってこない少年ちゅん。貧しいことと両親が帰らないことで周りの人たちから蔑まれている。
自転車で着いた先は獅子舞の大会。既に大勢が観に来ていたので人混みを掻き分けて前まで行く。
この時の雑踏(観客)が凄い。普通なら観客の足の中をかき分けて進む主人公だけ動かせばいいのに、雑踏全ての人が動いている。ここでもこだわりの画面だ。手を抜かない仕事とはこの事だ。
やっと観客の前まで出た主人公ちゅんは興奮して皆の前で踊っていると黒獅子の男にいちゃもんをつけられておじいちゃんからもらったお年玉を取りあげられてしまう。
そこに現れた赤獅子の頭を被った人。黒獅子と獅子舞バトルをして打ち負かしてお年玉を取り返してくれた。恥をかかされた黒獅子たちは追いかけてくるがちゅんは赤獅子を自転車に乗せて逃げる。
自転車で坂を駆け下りながら逃げるシーンはまるでディズニーアニメの『あの夏のルカ』のよう。
やっと黒獅子をまいて逃げ切ったちゅん。赤獅子が獅子の頭を取るときれいな女性が現れた。名前がちゅんと同じちゅん。漢字も同じ字なので親近感が湧いたのか赤獅子の頭をくれた。自分に自信のないちゅんが聞く。
「僕も獅子舞出来ますか?」
「できるよ!花に選ばれたんだからね!」そう言って彼女は去っていった。
ちゅんは友達を誘って師匠に獅子舞を教えて欲しいと頼みに行くが最初は断られる。が、子供たちの熱意に負けたのか教えて貰えることに。師匠は生活の為に獅子舞を辞めただけなので本当は師匠も獅子舞が大好きなのだ。奥さんにばれないようにこっそり教えだす。
厳しい訓練の結果ようやく様になってきたというのにちゅんの父が怪我をして意識不明となる。ちゅんは生活と父の治療費の為に働きに出ることとなる。三人+師匠の運命はいかに?そして父は?
最初の自転車のシーンもそうだったが随所に何かの映画のオマージュ?みたいなものを感じた。香港時代のジャッキーチェンの映画みたいな音楽だったり、🎬ベスト・キッドみたいだったり、エンディングの曲に至ってはまさかのインド映画、みたいな?笑
心に残る言葉がいくつもあった。
「李白の詩を暗唱するとどうしようもなく胸が熱くなるんだ。」
「そっかあ。出ないのかあ。今年は私と同じ名前の男の子が出てくれると思ってたんだけどなあ。」
「(あなたじゃなくって)私が後悔したのっ!」
単純なストーリーだが面白かった。こんな単純なストーリーで泣かされるとは思わなかった。でもただのお涙頂戴ではない。泣かされたと思ったらすぐその後に笑わしてくる。登場人物の背景や心情が実によく表れている。見事だ。
困難があっても諦めずやり続けること。友達を信じること。素敵な師匠と友達がいてくれてちゅんは幸せだ。女性のちゅんに出会えた事も幸運だった。
獅子舞の最後のシーン良かった!!
女性のちゅんの太鼓につられて敵までが太鼓で応援してくれて心が熱くなった。太鼓の音に韓国ドラマの『梨泰院クラス』の石ころ(ダイヤモンド)という曲を思い出してしまった。曲に乗せたあの高揚感。
監督さんが本当に映画が好きなんだなと思った。
色んな映画を彷彿とさせるところが随所にあって、にやにやしてしまいそう。
ラストの二つの奇跡も本当に良かった!!(奇跡は一つじゃない。ここ大事!)
いい映画を観たという満足感に浸れたのは久しぶりだ。
(追記)
ひとつだけ良く分からなかったのは女性のちゅんの横にいた男性。彼は誰なんだろう?旦那さん?女性のちゅんが立ち上がって少年のちゅんに「ちゅんー!」と叫んで応援しようとしているのを何故止めるのか?彼があのスマホを触ってこそこそ会話するシーンに何か意味があるのか?何かの暗示なのか?
オープニングで中国語で監督やプロデューサーの名前が出てくるところの最後の方に「面白映画」という文字があった。コメディのことを中国語では面白映画というのかと思ったがGoogle翻訳にかけると白いフィルムと出てきた。
(追記2)
@大吉さんから「面白映画」は映画会社の名前だと教えて頂きました。有難うございました。
(追記3)
映画仲間から、ちゅん(女性)と一緒にいた男性は格差社会の象徴なのではないか言われました。確かにそうかも知れませんね。ちゅん少年やその周りにいる人々は貧しい中で一生懸命生きてる人達でしたものね。